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「働き方改革」立ちはだかる学校外の大いなる壁

書籍編集の仕事をしながら、週1回、小学校へ非常勤講師として勤めています。
教育書を主に扱う出版社―、ということで、ご理解をいただき、学校の教員としても学ぶ毎日。
そんな中で、あまりに愚痴を言いたくなる出来事が起こりました。

授業後。
「S先生、子供たちの書初めを教室前に掲示したいので、手伝っていただけませんか?」
お声がけは、いつもお世話になっているK先生。今年3月から産休に入られる、とのことでかなりお腹も大きくなっておられます。
「もちろんです。先生は後ろから指示など出していただければ」

他の方もやってきて、子供たちが書いた書初め作品を掲示する作業が始まりました。
前任校?では、書初め等はすべて子供が貼っていましたが、ここでは違うのか、大変だなぁ…と思って貼っていると。

横から、
「ここ、少し斜めになっている気がします。貼り直してください」と声が。
「斜めになっている、と言っても、もともと作品と台紙が曲がって貼られています。台紙にそろえると作品が、作品にそろえると台紙が斜めに見えるのですが…」
「そんなこと知りません。直してください」
「直すと、他の同じようなものも直すことになります。数時間かかると思うのですが…。斜めといっても見てわかるかわからない程度ですし、良いのでは…?」
「いえ、直してください。見てると不快になる保護者がいます」

なんじゃそりゃ?それなら、書初め作品だけ回収して、こちらで台紙貼りからすべてやるか、掲示まで子供たちに任せてほしい…。今更何を…。

そんなことを思いながら、作業をして、気がつくと日が落ちてきました。
やっと終了!と思いきや、また魔の手が。

「この子(不登校)のスペースを空けておかないとかわいそう。いないみたいじゃないですか」

耳を疑いました。そもそも、スペースも何も…。
何より、他の保護者の方がそこを見たときに、「なぜこの子だけないの?」と一目でわかってしまうのでは。
その点も含めて、もう明日子供にレイアウトから話し合わせて、貼らせた方が良いのではないか。

そんなことを言う間もなく、他の先生方は納得したように書初めを外して「貼り直し」を始めました。

(これじゃ、働き方改革は進まないなぁ)

ようやく作業が完了したときに、ネームプレートがふと気になりました。

「学校ボランティア○○○○」

なにかと作業を増やすよう、要求していた方。学校が保護者等から募集している「ボランティア」だったのです。
学校の敵は、学校にあらず。
気がつくと冬の夜空を見ながら、つぶやいていました。

(いつも腹ペコS)

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