遊び球

子どもの頃よく言われていたことの一つに、「勉強と遊びの切り替えをしっかりやりなさい」って言う教えがあった。

だいたい大人の人はどこへいってもそう言っていた気がする。「勉強することも大切だし、遊ぶことも同じくらい大切だよ」とか「遊びと集中してやる時のメリハリをちゃんとつけなさいよ」とか、なんか息抜きのために「遊ぶこと」は大切だと言う価値観をしっかりと植えつけてくれていた気がする。

でも今大人になって思うのは「遊ぶこと」はやっぱり大切。だけどその「遊び方」って言うものはちゃんと考えなきゃいけないということだ。

どういうことかというと、これは子どもでも大人でもそうだと思うけど、「勉強のことなんか忘れて遊ぶぞーー」とか「仕事のことなんか忘れて遊ぶぞーー」とか、完全に遊ぶことと仕事や勉強を分けて考えてしまうと、例えば目一杯遊んだ後にすぐに勉強や仕事のモードに切り替えられるかといったらたぶん無理。やっぱりオフモードの腑抜けた気持ちが仕事や勉強にもどこか出てしまうような気がする。

だからよく子供のころ怒られたものだ。「いつまで遊びの気分でいるんだ!!」「切り替えなさい!!」と。

実はこうなってしまうのは「遊び方」が悪い。というか「遊び」に対する考え方が悪い。


野球には「遊び球」というボールがある。

これは例えばツーストライクノーボールの時などに、ピッチャーがわざと投げるボール球のことである。

ボール球で外す意味というのは、常にガチガチで勝負するよりもちょっと遊びを使って抜くところも作った方が心理的な余裕を持てて良いということがある。

でも、ただ外せばいいのかといえばそうじゃない。たいてい何も考えずにただ抜いた球を投げて遊んでしまうと、次に投げるボールもその感じを引きずってしまいバッターに打たれる確率が高まってしまうのである。

そこで考えなきゃいけないのは、遊ぶことは遊ぶにしても、次の真剣勝負を見据えた次につながる遊び球を投げるということである。

言い換えると、必ずその遊びが次の勝負の布石となるようにしていくことが大事なのである。


これを日常に置き換えると、仕事や勉強の合間にする遊びがただ単に遊んで楽しんで終わりの遊びではなく、それが次の仕事に生かされるとか、次の仕事のベストパフォーマンスのためのリフレッシュになるとか、そういった次の仕事につながる遊び方をしようということである。

でないと、遊びと仕事・勉強の切り替えは難しい。遊びの空気を持ち込んでしまって仕事や勉強に悪い影響を与えてしまうことすらある。

だから、基本的に遊びと仕事・勉強を分けて考えてはいけないのである。


常に頭の中に自分の為すべきことを頭に入れ、その為事で常にベストを尽くすためにはどんな遊びをしたらいいのかな?とそういうことを考えて行うのが本来の「遊ぶ」ということであると思う。


「為事のための遊び」

「遊びのための為事」


この切り替えをしっかりとやっておきたいところだ。

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