「夫のちんぽが入らない」を読んでみて

こだまさんの「夫のちんぽが入らない」読み終わりました。‬
‪正直読んでてしんどかったですけど、ページをめくる手が止まらなかったです。‬


 タイトルがタイトルだけにどんな話しなんだろうと前々から気になっていたけど、このタイミングでやっと読むことができた。僕が予想していた内容とは全く違って、もっと深く近い場所での話しだった。
文字通りセックスができない主人公なんだけど、ちゃんと悩んで、悩んだ延長線上での軽率な行為もあり、でも結局その軽率な行為も無駄ではなく、遠回りでも夫婦のオリジナルの道を歩む。
その道も本当に正解の道か分からないけど、そんなのは分からなくて当然で、僕自身、作者さんとは全く異なる人生のはずなのに何故か共感できて、最初の一文から最後の一文まで胸に突き刺さりまくりでズタズタになった。
「ちんぽが入らない」ってだけじゃない、ちんぽが入らないを中心に様々な事がある。
それは作者さんに限った話しではなく僕や、誰か、誰でも心当たりがあるのではないか。
僕にも大なり小なり悩みや葛藤がある。それをにちんぽが入らないに置き換えて、というより僕自身がちんぽが入らない悩みを持っているような感覚で読み進む事ができて、読み終える頃には僕の持っている本当の悩みや葛藤も主人公の悩みのような気がして、実は主人公は僕なんじゃないかと錯覚させるほど入り込み落ち込んでしまった。
デ⚪︎ズニー映画のようなハッピーエンドではないので後味が悪いと言えばその通りだけど、そもそもエンドではなくまだまだ続く人生、辛くてもキツくても自分を生きる事が自分を保つ唯一の方法なのだ。

 読むのがしんどかったこの小説だけど、とにかく笑える場面が多い。作者のこだまさんの笑いのセンスに僕が合うのか、序盤の少しほのぼのした描写の時も、深刻で救いようのない描写の時も時々挟んでくる笑いが秀逸で、どんな悲惨な状況、環境でもほんの少しの笑いがあるだけで生き延びられるという作者の意図が感じられた。(僕とが勝手にそう感じた)


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