ガチ産業医3

7.就業制限を乱発するという落とし穴

健診結果をみていると、予想以上に数値が悪い方が多くてびっくりすることもあります。臨床的な感覚からすると、入院レベルの方や、すぐにでも薬を処方したくなるような方もいますし、こんな働かせ方して大丈夫!?という方もいます。そんなときに陥るのが「就業制限を乱発する」という落とし穴です。あの人も制限、この人も制限と産業医の意見を乱発してしまっては企業の事業活動に大きな支障をきたしてしまいます。また、せっかく出した意見がほとんど守られず、形骸化してしまうのも困りものです。どのくらい数値が悪ければ就業上の措置を検討すればよいのでしょうか?そこで参考にするべきなのが、こちらの調査で、産業医の就業上の措置を検討する目安となります。(決定ではなく、あくまで検討するための目安)

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上図引用元である「健康診断の有所見者に対して、健康管理を行う事を目的とした、産業医による就業上の意見に関する実態調査、およびコンセンサス調査」のリンクはこちらです。

産業医の意見を不必要に乱発しないように、また個人としても産業医間でも判断がぶれにくくするために、このような目安を設定することはとても有効です。また、企業内の仕組みに落とし込んで運用したり、従業員に周知することで公平性を保つことや、従業員側にとっても持病のコントロールの目安になります。なお、それぞれの項目で対象となる業務や疾病も異なります。それぞれについてどこかで記事を作成しますが、まずはこちらの資料をご参照ください。

就業上の措置を検討する際には、事業所や従業員の状況だけではなく、産業保健職側のリソース(産業医や産業看護職の数や、配置など)も大事な要素です。そのための仕組みを構築できるかというのも産業保健の戦略ですし、醍醐味とも言えるかもしれません。

一つの事例をご紹介します。産業衛生学会の良好実践例(GPS)を掲載しているサイトの中に、「常勤産業保健スタッフのいない分散型事業所における定期健康診断事後措置の試み」という事例があります。ここでは、図1のようなハイリスク者を抽出したうえで、産業医面談を実施し就業上の措置を検討するというフロー(図2)になっています。図3の産業医意見書は所属長宛てとし、所属長の押印欄があるというやり方も、前回の「産業医が決定してしまう落とし穴」にご説明した通りです。

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山本誠先生の「常勤産業保健スタッフのいない分散型事業所における定期健康診断事後措置の試み」についての事例リンクです。

こちらのサイトには良好実践事例が多く載っていますのでご参照ください。

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また、こちらのサイトには就業上の措置に関する多くの資料が掲載されていますので、ぜひご覧ください。 

就業上の措置支援ナビ





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哲学し続ける産業医たれ
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産業衛生専門医 ・社会医学系専門医・労働衛生コンサルタント 産業医活動には正解がないことが多いですが、ピットフォール(落とし穴)はあります。 落とし穴に落ちない産業医活動ができると、おのずと正解に近い産業医活動になるのではないでしょうか? @fightingSANGYOI
コメント (1)
参考になりました。ありがとうございます!
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