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石川金子
2024年9月27日 20:37
天が高くなったので、少女たちは走らなければいけなくなった。 少女は見ている。 時計の短針が15を指し、ぴったりに少女らが昇降口から吐き出されるのを見ている。 少女らの馬跳びが規則的すぎるのを、オニヤンマが飛んできて誰かの尻へしがみついたのを、ピカピカ光るジャージの青を、雲が一つもない書割りの空を、見ている。 この街はやはり狂っている、と少女は思う。 囚人の如き狂いなく一列に並んだ
2024年9月25日 19:44
少女は学校が嫌いであった。 退屈で、ダサくて、うるさいからだ。 少女は面白くて、カッコよくて、静かなもの(音楽を除き)が好きだった。 しかし、放課後は別である。放課後はアンチテーゼだと少女は思う。 砂漠のオアシス、アスファルトに咲く花、ローリング・ストーンズのシーズ・ア・レインボー、眠りゆく学校で活発になる爬虫類。 科学室はもう夜である。ガジュマルの生い茂る暗い廊下を少女は進む。