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亥の子餅

「亥の子餅」ってご存じでしょうか。

旧暦亥の月(今でいう11月)の亥の日に食べるもので、平安時代から宮中の行事で頂いていたり、『源氏物語』にも登場していたり、お茶の世界では炉開きの茶菓子とされているそうです。

「無病息災」を祈るものだそうですが、いのししの多産にあやかり「子孫繁栄」の意味もあるのだとか。

秋になると、いのししの子(ウリ坊)に似たお菓子を和菓子屋さんで見かけることもあるかと思いますが、川上村の亥の子餅はちょっと違います。

見た目はいわゆる「おはぎ」に似たもので、奈良県では「いもぼた」とも呼ばれているそうです。
(※いもぼた 奈良県 | うちの郷土料理:農林水産省

このプログラム企画のきっかけは、ガイドの塩谷さんが昨年、
「これ食べてみて~!」と亥の子餅を持ってきてくださったことから。

「亥の子餅」つぶあんで作られるところもあるそうです

里芋とお米を炊き少し塩をして、餡をまぶしたという亥の子餅。
甘みと塩気が絶妙のバランスでとてもおいしかったのです。

おはぎと違って里芋が入ってることで、もっちりとしています。
でもどうして、わざわざ里芋をいれているのかな…?
背景にあるお話も、くらしの知恵というのでしょうか、とても興味深いものでした。
そして、これは是非いろんな人にも知ってもらいたい!と思いました。

村の民俗調査に残る「亥の子餅」について調べたり、
(村内でも亥の子餅があるところ、ないところがあり、
 地域によっていわれもちょっとずつ違って面白いです)
郷土誌などで調べたりして、川上村の多くの地域では、
何やら弁天さんと関わりがあったようなことも分かってきて…

ただ亥の子餅を作って食べるだけでなく
地域の魅力を伝えるものにしたいという
私たちの想いも大いに汲んでくださったガイドの塩谷さんは、
ご自身でも地区のお姉さま方に昔のお祭りや亥の子餅のお話を聞いてくださったり、当日も地元の方にご参加いただいて、井光のことやお祭りのことなどお話してもらえるようお声がけしてくださいました。

開催は亥の月。最初の亥の日のちょっと前。
体験で作り方を覚えてもらい、亥の日には自分で作ってもらえたらなぁという願いも含んでいます。

井光神社 昔は他の地域から遠足で来られていたそう

体験プログラムでは、井光神社にいらっしゃる弁天さんにお参りもしてみようということに。せっかく来ていただくので、地域のことも見て、知っていただけたら嬉しいです。
井光のお姉さま方と、わいわい、いろんなお話をしながら、
みんなで楽しく亥の子餅を作ってみませんか。

※体験プログラムの詳細・お申し込みはこちら

ガイドの塩谷さんについての紹介noteも是非ご覧ください!
「草食べに来て~」ピンクのパワフルお母さん(ガイドインタビュー:塩谷加壽子さん)|かわかみ源流ツーリズム(奈良県川上村) (note.com)


昔ながらの、こうした行事食が作られる機会が減ってきています。
地域のお祭りも、縮小したり、なくなってしまったり、そもそも担い手や作り手がいなくなってきたり…
そういった中でも、伝統を残していこう、少しでも知ってもらおうと、地域で頑張っていらっしゃる方々がいます。
川上村の食文化は、お祭りや行事とのかかわりが深いことも、とても興味深いところです。

体験プログラムを企画して実施すること。村民さんにガイドになっていただくこと。
参加される方には、村民さんとの交流を通して、地域のくらしや魅力を知っていただきたい…
そしてそれが今ある暮らしをつなげる一助になればと思っています。


※参考
『ふる里の味を訪ねて 奈良県吉野郡川上村から』 川上村教育委員会 
『川上村民俗調査報告書上巻』 森と水の源流館 2008年
『井光郷土史 ふるさとの誌』 井光郷土史編集委員 昭和57年 
『日本の食生活全集(29)聞き書 奈良の食事』1992年 「日本の食生活全集 奈良」編集委員会

農林水産省 うちの郷土料理 次世代に伝えたい大切な味
奈良県 いもぼた
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/imobota_nara.html

和樂web 源氏物語にも登場。亥子餅に込められた願いといは【彬子女王殿下と知る日本文化入門】https://intojapanwaraku.com/rock/culture-rock/210338/

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