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依存【大西一郎『ある視点』第30回】

横浜市鶴見区・ファンタジーサウナ&スパおふろの国のリラクゼーションコーナー「ケアケア」店長・大西一郎がカウンターの中から繰り広げる視座の世界。

「歌を歌う人なのにタバコ吸っていいの?」とよく言われるけれど、どうだろう、いくらか悪いのだろうか。

そもそも私は歌を歌う人なのか。いや、歌は歌うけれど、それは私の職業なのか。いや、確かに仕事の一貫ではあるけれど、でも歌はどこまで行っても私の一番の趣味だ。一番の趣味なんだったらやっぱり吸っちゃダメなんじゃないか。いや、ずっと吸ってるけど声が変わったおぼえはない。影響ないんじゃないか。だいたい私はもっとハスキーな声に憧れがあって、タバコ吸ってたらいつかハスキーになるんじゃないかとすら思っていたこともある。声がどうこう言う以前に健康に悪いじゃないか。いや、電子タバコだから、ちょっとキレイな煙じゃないか。そういう問題じゃないニコチンはニコチンだ。いや、タバコ吸って100まで生きる人もいれば、人間死ぬときは死ぬじゃないか。いや、タバコはどこまでも値上がりしてお金がもったいないじゃないか。一箱1000円になっても吸うのか。

吸う!

タバコなんて吸って良いことは一つもないのに、結局こういう結論にたどり着く。もはやなぜ吸っているのかもわからない。吸う理由、やめない理由、吸わない人が納得するような合理的な理由はないのに、理に叶わない言い訳をつらつら準備する。誰もそんなこと聞いてない。依存ってこういうことだなと思う。

何にでも依存しやすい傾向があるという自覚はある。

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