「単機能化」のススメ

ひとつのものには一つの使い道が基本。あるべきところにあるべきものがある。こういった理路整然とした使用方法が、私は好きだ。

ミニマリストを目指していろいろとモノを捨てたりする中で、「多機能」ということに目が惹かれることがよくあった。だが、最近は習慣化を意識する中で「多機能」が必ずしも良いとは思えなくなってきた。

世間的に見ればスマホというのはほとんどの人が保有するものである。ソフトウェアとしてのOSやアプリなどは個人の好みに合わせてカスタマイズできるし、動画も画像も検索も地図も予定も、なんでもござれの万能ハードである。これほどまでに私たちの生活を豊かに、そして便利にしてくれるものは無いように思える。

コンビニエンスストアも最近では生活必需品のほとんどを取り扱っている。スマホと同じく、なんでもある複合施設というのは消費者からすればありがたい。最近ではドラッグストアも生鮮食品を扱おうとしている動きもみられる。


だが、便利な一方で私たちの習慣を崩す原因にもなるのが「多機能」の厄介な点である。コンビニに行った時のことを思い出してほしい。何か飲み物が飲みたいと思って寄ってみたとしても、ほかの食べ物を知らず知らずのうちに観察している自分がいるだろう。レジ横のホットスナック売り場なんかはついつい目をやってしまう場所だ。その時には買わなかったとしても利息のように欲求が貯まっていき、後で買うことになる。だが、そのころには無意識など忘れて顕在意識で正しい判断をしたのだ、と人間は思い込んでいる。買わされたとは微塵も思わないからこそ、次も同じように罠に引っかかっていく。

スマホを使うときも思い出してほしい。何気なく時間を確認しただけだったのに、なぜかホーム画面になっている。なぜかSNSを開いている。なぜか5ちゃんを開いている。次々に連鎖する無意識の行動は気づけば大量の時間泥棒になっている。覚えがあるだろう。明確な目的意識をもって検索し始めたのに、いつの間にかAmazonに辿り着いてしまった。なぜかは分からない。


こうした出来事の原因は「多機能」であることだ。多機能は便利にするが、いろいろな使い道を想起させてしまう。人間の習慣は「きっかけ、行動、報酬、欲求」の4つのサイクルで成り立っている(順番忘れた、また調べておく)。多機能であることは初めのきっかけづくりをいろいろな形で呼び覚まし、無意識の行動につなげてしまう。スマホを触って5ちゃんもするし、エロ動画も観るし、漫画も、予定も、、、といろいろな行動につながってしまう。

これを防ぐには「一つのものには一つの使い道」と制限してやることだ。仕事はガラケーで、プライベートはスマホでと使い分ける人と同じだ。この端末は漫画、この場所は勉強、などものや場所にそれぞれの使い道を決める。これだけできっかけと行動が正しく結びつくようになる。

夜になかなか眠れないあなたは、ベッドに入ってスマホを触るのをやめてスマホを触るのはベッドに座って行うようにしてみよう。座ったときはスマホ、横になったときは寝る、というように姿勢ごとに行う行動を決めるとすぐに寝つけるようになる。

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