「田舎」とは何か#002

前回の記事で「田舎とはあり方である」と書きました。

田舎=〇〇という定義があるわけではない。特有の概念が存在するから田舎であるというわけでもない。その地域のあり方を我々は「田舎」と呼んでいるに過ぎない、と。

そして「どうあるべきか」ということに注力すれば、おのずとその地域が進むべき道が見えてくるのはないか、ということも書きました。今回はこれについて、今私が思っていることを少し掘り下げてみようと思います。

例えば「少子化」について考えてみます。田舎と呼ばれる地域はほぼこの課題を抱えているのではないでしょうか。一般的には「なぜ少子化が進むのか」という課題を提示し、「少子化を止めなければならない」という目標を掲げ、「どうしたら少子化が止まるのか」解決策を議論し実行します。

現代において子供を何人も生み育てることはハードルが高いので、子育て世代が住みやすい・移住してきてくれるような環境を整えることが解決策としては妥当かと思います。新興住宅地の整備、雇用創出のための企業誘致、話題の店を出店させる、などが考えられるでしょうか。

私はこの一連の流れ中で、「どうあるべきか」という問いかけを常に行わなければならないと思っています。

「なぜ少子化が進むのか」という、ある種誘導的な問いではなく、「少子化に対してこの地域はどうあるべきか」という議論をまず行う必要があると思います。少子化というのは数字で表せる事実ですが、それはこの地域にとってどうなのか、良いのか悪いのか、ということから議論を始める。極論を言えば「少子化が進んでも良いのではないか」ということになる地域だってあるかもしれません。それがその地域のあり方なのであれば。

「そりゃ子供はたくさんいた方が良いに決まっている」という意見があるのなら、「なぜ子供はたくさんいた方が良いのでしょうか」という問いをする。当たり前に感じるような問答でも、言葉で理論的に説明できるようにしなければ、次のステップである目標や解決策の提示にブレが起こるかもしれません。

話題の店を出店させることについても、「それはこの地域にとってどうなのか」という原点に正面から向き合えば、メリットの裏に隠れたデメリットを無視することはできません。目指すべきは綻びが限りなくゼロに近い解決策です。そのためには常に「この地域はどうあるべきか」を考えなければなりません。

田舎とはあり方です。加える変化によって、ありのままでいられることも、「田舎ではない何か」になることも可能です。様々な課題に対する解決策が、その地域のあり方までも変えるのか・変えないのかということが大事なのだと思います。

そしてこれは個人的な考えですが、「あり方を変えない変化」という、言葉遊びのような解決策こそが、これからの田舎に求められるのではないかと思っています。このあたりの思いは後日まとめたいと思います。

ではまた。

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