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ビールとスマホと孤独:ドイツの会社で10時間耐久サマーパーティーに挑む

インターン先のサマーパーティーに参加した。朝から同僚たちと団体行動で長距離を移動し、途中で1時間の電車遅延もありながら、やっとパーティー会場に到着した。すでにあちこちでグループができていて、それぞれが話し込んでいる。会社のパーティーだからといって、特に催し物はない。到着したのは昼過ぎ。ここから深夜までこの状態が続く。グループは入れ替わるが、光景自体は変わらない。

日本だったら、部署間で交流したり、同僚の同僚で気の合いそうな人を紹介してくれることもあるだろう。しかし、ドイツでは基本的に放置だ。CEOがやってきて、軽く挨拶をして、後はご自由にどうぞという感じ。自分で入っていけそうなグループを見つけて、能動的に楽しむ必要がある。

とりあえず飲まないことには始まらないので、景気づけにビールを流し込んで、同じ職種の同僚と話し始めた。そのうち、一緒に働いているマネージャーもやってきて、日本に旅行に行った時の話などをしてくれた。

この時点で既に2、3時間が過ぎ、少し飽きてきた。ここまでずっと立ちっぱなしだったこともあり、少し離れたところで座って休憩することにした。

途中で話しかけてくれる人もいたが、何というか面接のような感じになってしまい、いまいち盛り上がらない。日本のマスク文化について聞かれても説明はするが、会話はあまり弾まない。この人と話し終わったらしばらく一人でぼーっとするしかないけど、一晩中同じ人に付きまとうわけにもいかないし、どうしようかな。そんな気持ちが渦巻いていた。

隣の芝は青く見えるというが、こういうパーティーではどうしても自分以外が楽しそうに見える。でも少し様子を伺ってみると、グループにいながらも一言も発せずに喫煙したりスマホをいじっている人もいる。特に外国人の場合、常にグループにいるだけで話している様子はない。やはりネイティブの会話、特にスモールトークに混ざるのは難しそうだ。

同じ会社で働いているからといって、あまり話したことがない人や、そもそもこちらに興味がない人と話すことは異常に難しい。どうしても自分は、少しでも一緒に働いたことがあったり顔見知り程度なら挨拶をしたり話しかけたりしてしまう。でもこれは日本人的すぎるのだろう。「みんなと仲良くしよう」と教育を受けて、愛想の良いことが社会的に良しとされ、輪の会話をする文化で育ってきた。でもここではみんなもっと自分本位で、他人に対する興味も薄い。そのため、同じように気を遣ってもらえることはほぼない。だからといって、ずっと黙っている人を横目に気の合う人とだけ盛り上がるのは気まずい。何回かそういうことが繰り返されて、完全に気疲れしていた。既に帰っている人もいたので、そろそろ切り上げるかと思い、一人でホテルに戻った。

結局、今回の会社のパーティーには10時間ほど滞在していた。こんなに長くいたのだからある程度は楽しかったのだとは思うけど、パーティーのしきたりが違うし、心の底から楽しめるイベントではなかった。会社のパーティーだからと遠方から集められて、「酒は用意しました!後は自由にやっちゃってください」と会場に放たれ、出る食事はハンバーガーのケータリングのみ。娯楽はない。喋りだけで一日中同僚たちと楽しく過ごせる日はいつかやって来るのだろうか。

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