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プランナー歴60日からでも実践できる「レベルデザイン」


プランナーになって180日経ちました。


「”レベルデザイン”ってステージの難易度のことでしょ?」
なんて呆けていた頃から早半年経ちました。
新卒プランナーのOです。
今回は大卒・ゲーム制作経験なしの自分が、6月初旬から始まった短期・長期開発研修で実践したレベルデザインの方法をご紹介します。まだプランナー歴60日だった初心者の自分が、実際に研修で失敗を経て、先輩にアドバイスをもらって、身をもって徐々に覚えていったやり方です。
これが正解というわけではないですが、「レベルデザインってどうやるの?」「簡単なものから挑戦してみたいな」という学生さんや新人さんは試してみる価値あり、かと。



「まずは大きく!徐々に小さく…」

”レベルデザイン”と聞くと「キャラのステータス」「ユーザーランクと獲得EXP」みたいなイメージがありますよね。確かにそうなのですが、それだけがレベルデザインではないのです。まずは試しに視野を広~~~くしてみましょう!

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この画像が表すように、まずは「ゲーム全体」という大枠を基準に、「1サイクル」「1プレイ」・・・最後にステータスや経験値などの詳細な数値を決めていくと矛盾なくゲーム全体を組み立てることができます!

何も基準がないまま細かい数字とにらめっこするのは危険なんです。
さくっとできるゲームだったはずなのに、アイテム数や経験値などの数値を設定するうちにプレイ時間がすごく長くなって…あれれ?なんてことが起きてしまいます。(経験談)


では、このやり方に沿って紹介していきます!全部で4STEPです!


STEP1:ゲーム全体の寿命

3時間程度でクリアできるのか、それとも1か月程度かかるのか?
そのゲームのコンセプトやターゲット層をもとに考えてみましょう。
「子供から大人まで、暇つぶしにちょこっと遊べるパズルゲーム」「やり込み系カジュアルアクションゲーム」などなど・・・総プレイ時間のイメージがちょっと湧いてきませんか?

▼周回系ターン制カジュアルRPGの例

・ユーザーが毎日20分程度周回してレベリングする。
・全部で5つのダンジョンをクリアする。
・最後のダンジョンのボスを倒すまでには約7日かかる。
よって、総プレイ時間は、20分×7日=140分


STEP2:1サイクルのプレイ時間

ゲーム全体の規模感が把握できたら、次はメインサイクル1周分にかかる時間を考えてみましょう。
「メインサイクル」とは、バトル→リザルト/報酬→強化/育成→バトルのようにユーザーが主にプレイする流れのことだと思ってください。

・ダンジョンでバトルを繰り返してレベルアップ。
・最後に各ダンジョンのボスを倒したらクリア。
単純計算なら、1ダンジョンクリアにかかる時間は、
総プレイ時間140分÷5ダンジョン=28分
※ただし、ダンジョンごとに難易度が変わるのが一般的なので肌感も交えて調節しましょう。


STEP3:インゲーム1プレイの所要時間

次はメインサイクルを細分化して、インゲームを1回プレイするのにかかる時間を考えてみましょう。
「インゲーム」とは、パズル・リズムゲーム・バトルなどそのゲームのメインコンテンツのことです。

例のRPGの場合、

・インゲームは「バトル」部分。
・ターン制で攻撃/守備を繰り返し、エネミーを倒す。
・1ダンジョンクリアまで28分とする。(STEP2を参照)
・ボス戦も含めてバトルを5回ほどプレイさせたい。
単純計算だと、インゲーム(=バトル)1回分にかかる時間は、
1ダンジョンクリアにかかる時間28分÷5バトル=5分36秒
※リザルト画面や移動時間等を差し引いて分かりやすく約5分とします。


STEP3.5:インゲームの詳細な所要時間

インゲーム1プレイ分にかかる時間を決めたので、インゲームをさらに細分化して要素を取り出し、同じように所要時間を設定してみましょう。
この項目に関しては、ゲームジャンルによっては必要ないかもしれません。例えば、リズムゲームは1曲をプレイすることで完結してしまうので、さらに細分化するのは難しいですよね。

例にあげているターン制RPGなどはインゲームが複雑なので、この項目を設定する必要があります。例えば、

・大体3ターンくらいで決着をつけたい
その場合は、1ターンの所要時間は、5分(300秒)÷3ターン=100秒

このようにインゲームのシステムが複雑であるほど詳細な所要時間を見積もる必要があります。ただ、この見積もりは単純計算で大体のイメージがつかめればOKです!


STEP4:数値設定が必要な項目を洗い出す

ここまででレベルデザインの地盤を固めてきました。では、やっとステータスやアイテム数、経験値などの詳細な数値を決めていきたいところですが、まずは、数値の設定が必要な項目を洗い出してみましょう。

・自分のキャラの攻撃力、守備力
・エネミーの攻撃力、守備力
・エネミー撃破時に得られる獲得経験値
・エネミー撃破時に得られるコイン数(アイテム)・・・

これらの項目の数値を決めていきますが、まずは大体でOKです。ただ、これまでのSTEP1STEP3.5で定めた内容から出来るだけ外れないようにしましょう!

1ターン約100秒で終わるような攻撃力、守備力に設定する
バトル5回分でボス戦推奨レベルまで到達できるように獲得経験値を設定する


どうでしたか?文字で見ると複雑に感じますが、自分が今作っているゲームに沿ってSTEP1から順々に考えてみてください。最初はざっくりとした計算でも大丈夫です。興味が湧いた人はぜひチャレンジしてみてくださいね!


…と、ここまで説明してきましたが、最後にこれだけは忘れないでください。

ユーザーテストは絶対やること!!!!!!!


いくら精密な計算をしたとしても、結局は開発側の”理想”です。実際にプレイしたユーザーがどう思うかは、触ってもらわないと分かりません。


算出した数値を設定してお試し版を作り、たくさんの人にプレイしてもらいましょう。
その結果、「このゲーム内容で1ダンジョン30分は長い」「もっとバトルを楽しみたいからターン数を増やしてほしい」などの意見が出てくるかもしれません。これらは貴重な意見です。ユーザーの声を参考に少しずつ良いレベルデザインを目指していきましょう!


また、意見を参考に数値を変えたい!という時に便利なのが、Excelやスプレッドシートなどの表計算ソフトです!これらを使うと途中で数値が変わっても関連する項目が連動して変化してくれるので、臨機応変にレベルデザインができます。今回は参考程度に画像を載せておきます。

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まずは、気負わず簡単なカジュアルゲームなどから挑戦してみましょう!
何事も実際に手を動かしてみるのが学びへの第一歩です!


ちなみに…ヘッダー画像は、開発チームで話題になったハトです。
研修期間中でとても印象に残ったので選びました 笑

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