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読書が苦手な生徒

 お越しいただきありがとうございます。

 受験コーディネーターの廣川です。

 39回目の投稿です。


 今回は、本来書こうとしていた『読書と計算で受験に挑む』を書いていこうと思います。

 上記は、以前書いた初期の話です。読書が大事であるということで、その次の記事で未就学児、小学生になったらで、五箇条を書きました。

読書の必要性

 本編である読書の効果を先ずは書いていきます。近年では、大学生にお知らせのプリントを渡しても、内容が読み取れずに大学事務局や教授が困る事象が増えているそうです。これを重く見た文部科学省は、プリントなどの情報を読み取れるように、高校で国語基礎という科目を増やしたと聞きました。

 今の生徒たちは小さい頃からスマホなどを使っていて、より長い文章を読むことも書くことも少なくなっています。スマホでSNSでも短い文章が中心で、よく見る動画もショートなものが多く、じっくり本を読む機会が激減していることが文章の読解力に影響していると思われます。

ワードを拾う

 以前に、ある高校生を担当していました。中学生の頃に数学等を見ていましたが、高校生になって、大学に行きたいのでと呼ばれました。彼の中学生の頃の成績はそこそこ優秀でしたが、高校生になったら何か全然分からなくなったからというのです。彼の優秀な印象があったので、あまり心配せずに彼の授業に向かいました。

 彼の部屋へ行くと参考書や問題集が山積みになっていて、たくさんの付箋が付いていました。その付箋すべてが質問の印で、授業時間中ずっとそれに答えて説明をしていくという授業でした。数学や英語は比較的スムーズに質問を解決していけたのですが、問題は国語でした。

 国語の問題と言えば、問題を解いて答え合わせをして、間違えたから解説を読むですが、彼にとっては、もうすでにここまでで二つ問題が発生しています。一つは間違えていることがわからない。例えば選択肢のある問題では、選択肢の中に答えを見つけられない。さらに、二つ目は解答の解説で書いてあることの意味が分からないのです。

 実は、しばらく彼の言っていることが分からず、つまり彼の疑問点がどこにあるのか、上記の二つを自分が把握できなかったのです。

 しかし、何回目かの授業で、どうも話が嚙み合っていないような気がして、その時に付箋の質問の中にある問題について、彼にこちらから質問をしました。

 現代文で、真夜中に主人公が父と二人で大きな湖のほとりで、対岸の火事に何も出来なくて打ちひしがれていますが、その時の主人公の感情を選ぶという問題でした。

 それほど読み解くには難しくないと思えた問題ですが、彼の読解力を疑い始めていたので、まず問題の設定されている状況がどういう場面か聞いてみると

なんか山の中で、友だちと二人で迷っていて、火を見つけたとこ。

 えっ! まるで初めて聞く外国語を聞いているようでした。彼は問題の長文をまったく別の物語として理解していたのです。

 正直なところ、自分がプチパニックでした。何をどう読んだらそうなるのか理解できませんでした。

 そこで中学生の頃の優秀な彼のイメージを拭い去り、読書について聞いてみると、小さい頃からほとんど強要されなかったら、本は読まなかったそうで、文章を読んで理解することではなく、口で説明されたことで理解して覚えてきたようでした。だから、国語は小学生では問題がなかったけど、中学生の頃から苦手だったようです。

 先ほどの物語では、『真夜中』『ふたり』『火』は目にしたようですが、本当はこういう話だと言ったら、彼はかなり驚いていました。文章を読むのではなく、ワードを見つけているだけなので、まったく違う内容を想像しているのですから、答えは見つからないはずですよね。

 その時の彼の改めての質問が「どうしたらいい?」でした。受験まで半年くらいでしたから「間に合わないかな?」と悲壮感満載な顔で聞いてきたので

やれるだけのことはしよう。まず文章を全部ちゃんと読むこと。

 前記したように、言葉だけを拾っているようだったので、そこをなんとか出来れば戦えるのではないかと考えました。読み慣れていないので、文章を読むには思いの外、時間がかかっていましたが、彼の背水の陣で3ヵ月くらいで何とか読めるようになりました。

 高校で特待生でもあったので、いくつも大学を受験をして、全部とまではいかないまでも、数校の合格を取り、世間で名前も知られた大学へ行きました。

 読書が苦手な生徒の中に、このようなちゃんと読んでいないというパターンもあるんです。文章が短くて要点だけの問題ならば解けますが、国語のような科目には通用しないんですよ。

 以上が最初の読書が苦手な生徒の症例でした。



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最後までお読みいただきありがとうございました。

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