071 人を愛する前にまず自分で自分を愛すことが先
自分を愛すること(自尊心)と人を愛することは表裏一体
たまに「自分を愛しましょう」「人を愛しましょう」と片方だけ語る人がいるけど、そのどちらも結果であり、それを生み出している自分に対する無意識的な評価(中核的自己評価)に目を向けなきゃならないと考えている
今回はそんな話をする
自分を愛すとは何か?
「自分を愛する」とは自尊心のことである
日本語の自尊心にはプライドの意味もあるけど、ここではセルフエスティーム(self-esteem)、つまり「ありのままの自分を肯定的に受け止められること」だと考えてもらいたい
もう少し詳しく説明すれば次のとおり
他人からの評価ではなく、自分が自分をどう思うかのままに生きられる感覚
知識・技術・財産・容姿などに関係なく、自然に自分を受け止める感覚
自分とも他人とも戦うことなく、そのまま肯定的になれる感覚
調べてみると「自尊心」は今の心理学ではちょっとマイナーなようだ
70年代に行われた様々な研究の結果、それまで期待されていた学校成績・薬物依存・犯罪との関係が否定され、メリットと言えば自主性の高さと気分よく過ごせることくらいだったからである
このためなのか、80年代以降の研究は自己コントロールに軸足が移っている
とは言え、自尊心(自分を愛すること)は無視できるものでもない
自分を愛せないのは苦しいことだからね
ちなみに自尊心は「中核的自己評価」を構成する4つのうちの1つとされている
中核的自己評価を構成する4つとは、自尊心のほか、自己コントロール・自己受容・不安耐性
これら4つのは互いに影響し合いながら自分に対する評価を形づくっている
その中で自己コントロールは、大人になってからでも自力で高めることででき、ひいては自尊心を高めることもできるので注目されている
自分を愛すとどんな良いことがあるのか?
ちなみに自尊心を高めたら(自分を愛したら)どんな良いことがあるのか?
以下の3つが考えられる
周囲に流されず自分で判断し、積極的にものごとにチャレンジでき、周囲への発信力も高い
自分の失敗を認めることができ、周囲への感謝もでき、良好な人間関係でいられる
この結果、よい人生が歩める
なぜ人は自分を愛せなくなるのか?
ところでなぜ人は自分を愛せなくなるのだろう
心理学的には幼少期の環境が影響していると指摘されている
自尊心の高い人が身近にいなかった
子どものころに周りから褒められた経験がない
失敗や挫折感が強く這い上がれずにいる
自分でものごとを決めた経験が少ない
幼少期に自尊心が決まってしまうとなると、大人になってからじゃどうしようもないとも取れる
でも、そうでもないらしい
先程書いたとおり80年代以降の心理学は自尊心よりも自己コントロールを重視しているのは、自己コントロールで自尊心も高められるからである
中核的自己評価(自尊心・自己コントロール・自己受容・不安耐性)のうち変えられないのは、生まれつきの気質である不安耐性だけであり、自尊心も自己コントロールや自己受容により高められるのだ
自尊心の高め方
自尊心を高める方法は次の3つ
自己理解し、自己受容する
自己表現や自己主張の力を高める
これらを説明する
自己理解と自己受容の方法は次のとおり
自分を構成する要素(身体的特徴、経済状況、性格、経験、人間関係、仕事や学習環境)を自覚する
変えられることは変える努力をし、変えられないものはそのまま受け入れる
その際、他人と比べたり、世間の評価を気にしない
ネガティブな発想に陥りそうになったら、その引き金になった出来事を特定し、その出来事の解釈を言語化し、解釈が論理的におかしかったら修正の努力をする
自己表現や自己主張の力を高める方法は次のとおり
自分の価値観を言語化し、論理的に矛盾があれば修正し、矛盾のない価値観は日々の学習で強化する
これら価値観に沿ったことを思い切って表現・主張する、そうでないことは「詳しくない」「分からない」で良い
自己主張する際、アサーションを心がける
要するに、自己コントロール力をつけることが、自分を愛する心(自尊心)を強化することにつながるんだよね
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