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都会とも田舎とも
どこか違った風景の
この街は
ふと眺めるといつも
朗らかな時を演出していた

街路樹を歩く僕は
悲しいほど美しい冬空に
涙を誘われた

幸せの羽根を乗せた気球が
そこかしこに浮遊していて
ふと手を伸ばせば掴めそうな距離で
僕の周りを
くるくる回っていた

本能と欲望の瞳は
幸せを望み
それが
快楽なのか幸せなのか
ぼんやりとした意識の中では
認識を取り違えたまま
残りの砂時計が物凄い速さで
消えて行った

僕らの街に越してきたならず者は
長年の悪癖を捨てきれず
悩みを抱えていた
「明日こそは目覚めの時」と
毎日眠りにつく前
呪文のように唱えるのだった

冬の山を越えてきたムクドリは
寒さで震えていたならず者に
暖かな綿毛の毛布を与えた

どんな世界の
孤独の中でも
選別しない存在がある

たとえあなたがいま
不甲斐ない自分に打ちのめされても
空は果てしなく広がり
虫や木々や花々
動物たちは
優しさに満ち溢れ
その生を
まっとうしているのだから

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