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ラオスのコーヒー豆と日本で再会する夏

 今年もタリーズコーヒーから、「ELEPHANT RUBY LAOS」と言うコーヒー豆が発売された。昨年に続き、私が購入するのは2年目だ。水色ベースにピンクの象の顔が可愛らしいパッケージ。LAOSと名前に付く様に、ラオス産のコーヒー豆だ。私がかつて暮らしていた、ラオス・チャンパーサック県パクセー市から程近い、ボラベン高原産のコーヒー豆。日本でこの名前を聞く事が出来るとは。懐かしさと共にラオスの思い出が蘇って来たので、コーヒーとラオスのお話を少し。

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 ラオスの1番南にあるチャンパーサック県。私が住んでいたのは、2012年〜2014年だから、もう随分と前だ。メコン川が悠々と流れ、どこまでも続く田園風景と、世界遺産ワットプー遺跡群があり、カンボジアとの国境沿いにはメコン川に4000の島が浮かぶと呼ばれるシーパンドンと言うバックパッカー天国が広がっていた。そんなチャンパーサック県の北東部に広がるボラベン高原は、ラオスのコーヒー豆の産地となっている。

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 ここは1000mの高地でその寒暖差を生かし、コーヒーの栽培を行っていた。ラオスで生産されるコーヒー豆の実に90%近くが、このエリアで栽培されている。バスで揺られているとコーヒー農園が続き、タリーズコーヒーの豆である大規模なダオ・フーアン農園やある程度の規模の農園もあるが、小さな個人の農家さんも多い。いつもお世話になっていたゲストハウスでは、庭で栽培したコーヒー豆でコーヒーを淹れてくれたり、焙煎に拘った隠れ家的な小さなコーヒー屋さんも。また、ホテルやカフェ、レストランを有した観光目的な農園もあったりする。

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 シーズンになると、コーヒー豆を干している光景によく出会う。全て手作業で豆の摘み取りから何から行っているので、ラオ人に話を聞くととても大変らしい。そのおかげで、私たちは美味しいコーヒーを頂くことが出来る。

 パクセーに住んでいた外国人には、それぞれ好きなコーヒー豆があって、美味しい豆を見つける度に情報交換をしていた。そして、この人の焙煎の豆が美味しいからと、お気に入りの豆を帰国間際にお土産に大量に買いに行くのであった。(ラオ人の友人達は、甘いミルクたっぷりのコーヒーが好きだったので、豆の話はしなかったな)

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 1度、コーヒーツアーなるものに参加したことがあった。農園を見学した後に、ワイルドに野外で豆の焙煎をさせてもらった。中華鍋の様な大きな鍋で、豆の様子を注意深く観察しながら焙煎していく。焙煎なんてしたことがなかったから、この方法が正解なのかどうか分からない。だけど、じっくりと焙煎される豆を見ていると、不思議にこのコーヒー豆が愛おしく思えて来た。まぁ、実際に飲んでみると焙煎のし過ぎで、だいぶ苦かったが、それでも自分で焙煎した、と言うだけでとてもスペシャルなコーヒー豆になった様な気がした。

 自分の手で時間をかける、と言うことは、何だか特別だ。ミルで挽いて、ハンドドリップで淹れる。これもラオスで日課になった。

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 ラオスのコーヒー豆が日本で流通することは稀だ。東京の拘った豆屋さんなら、取り扱いがあるかもしれないが、地方都市ではまずお目にかからない。小規模農家が多く、一定の品質管理も難しい中、日本で販売するにはコスパが悪い、と聞いたこともあった。その為、ラオスのコーヒー豆の多くはベトナムに買われて、ベトナムコーヒーとして世に出る状況があった。

 だからこそ、日本でラオスの豆に再会出来ることは、本当に嬉しい。たまに見つけると愛おしくて買ってしまうし、発売されそうになると、ラオス関係のお友達のsnsで誰かしらが教えてくれる。きっと、世界にはもっと美味しい豆がたくさんあるだろう。それでも嬉しいのは、ラオスへの愛だな、愛。

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 今年のタリーズコーヒーの豆も、濃厚な味わいだ。特別なタリーズオーダーメイドで、ラオスで1番大きなダオ・フーアン農園にオーダーして作られている(ダオさんのお宅はパクセーでも有名な大きな宮殿で、1度中に入ってみたかったな)。メロンやライチを思わせる豊かな香りとフレーバーが特徴的で、アイスコーヒーにとてもぴったりだ。毎年、タリーズさん、本当にありがとう。来年も、また再会出来ることを待っている。

 あの人のあのコーヒーをまた飲みたいな、って思うこともあるけど、海外に出られないこの夏、このコーヒーで少しでもラオス気分を楽しみたい。

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