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自分の"天才"を生きる道③~『バカをつらぬくのだ!バカボンのパパと読む老子・実践編』(本の紹介)

 ここからお伝えするのは、あなたの個性を磨くための具体的な方法です。
  あなたの中には、個性の「素材」があります。
 その素材を磨き抜いた人が、世の中で魅力あふれる人として輝いています。
 その磨き方をお伝えするのがこの記事です。

 私は、この世界に生まれてきたすべての人々に、その身に宿る豊かな個性を最大限に生かしながら、自分も他人も幸せにし合うようになってもらえればいいな、と思っています。
 そう考えると、今この内容を伝えられることにとてもワクワクします。
 なぜかって、個性を開花させるのは、実はとっても簡単だからです。
 ご来店ありがとうございます(笑)。

 では、一番簡単な「個性の磨き方」の話をはじめましょう。

*こちらは以下の記事の続きです。


「ちょっとだけ」でいいんです

「ちょっとの力」で個性も光る

 爪先立ちの者は立っておられず、大股で急ぎ足の者は遠くまで行けない。

『バカをつらぬくのだ!バカボンのパパと読む老子・実践編』ドリアン助川 角川SSC新書 2014年 p130『道徳経』第二十四章 一部分の訳

 こちらは約2500年前の中国にいた賢者である"老子"が話したとされる内容の一部です。

 ずっと爪先立ちをしていたら、ふくらはぎがすごく疲れて、そのうち筋肉が攣ってしまうかもしれません。
 大股で急ぎ足で歩くのは、時間がないときにちょっと食材を買いに近くのコンビニに行くにはいいかもしれませんが、映画の『スタンド・バイ・ミー』のように、遠くの場所に行くのには合っていません。

 では、老子がこのような例を示して言いたいことは何でしょうか?
 それは「余計な力を使ってると、うまくいかないよ」ということです。

 この世には「道理」があります。
 道理に沿って生きている人は幸せになります。
 逆に、道理から外れて生きている人は苦しい思いをします。
 では道理から外れるとはどういうことかというと、それが「余計な力を使う」ということなのです。

 人間は、立つときには足の裏全体を使って立つようにできています。
 歩くときは、自分に合った歩幅で歩くようにできています。
 このように、もともと人は余計な力を使わなくても生きていけるようにできています。リラックスして、ちょっとの力で目的を達成することができます。
 この状態は、あなたにとっても私にとっても居心地の良い状態です。軽やかで、自然体です。

 「遠いところまで歩いていきたい」と願っていても、余計な力を入れて歩けば、途中で疲れて動けなくなってしまいますし、ひどい場合には体を痛めてしまうかもしれません。
 でも、大股で歩くときに使う力の半分くらいの力で歩いていけば、遠いところまで歩いていくことができます。

 無理をせず、ちょっとの力でやる、ということが、目的を達成するために肝心要のことです。

 「道理に沿って生きる」というと難しいことのように感じるかもしれませんが、道理というのはこれくらいのことです。
 実は、こういうシンプルな道理を理解するということが、「悟る」ということなんですけど、その話はいずれ・・・。

 ともかく、「余計な力を使わず、むしろちょっとの力でやることで、目的を達成できる」というシンプルな道理がわかれば、あなたの個性もピカピカに磨き上げていくことができます。

個性を磨けば世間で輝く!

 あなたの中には、個性の素材が埋まっています。
 その素材を磨いたときに現れるのが、あなたの「天才」です。

 神さまがつくったものは、どれも自然のままで素晴らしいです(私は「神さま」ということばを使いますが、特定の宗教とは関係ありません。この世界の「道理」を司っている大いなる存在、くらいに考えてくださいね)。
 ダイヤモンドも素晴らしいですが、自然の中に転がっている石も素晴らしいです。

 それと同じで、人の中に埋まっている個性も、眼力のある人が見れば、素材のままで十分素晴らしいことがわかります。
 でも私たちは、せっかくならその素材を世間で通用する「価値」あるものにしたい、と願っています。
 そのためには、もうひと工夫する必要があるんです。

 ダイヤモンドは、磨き方やカットの仕方、あるいは指輪につけるかネックレスにするか、といった工夫によって、大自然の中に転がっているときよりも、もっと価値あるものになっていますよね。

 それと同じように、あなたの中にある個性の素材も、工夫次第でダイヤモンドのようになります。
 むしろ、磨かれた個性は世界にひとつしかありませんから、その値打ちはダイヤモンド「以上」のものです。

 そうやって磨き抜いたあなたの素材は、今明るさを失っている世の中で、ひときわ輝いて見えるようになります。
 暗い夜に航海をする船乗りにとっての灯台のような、未来を照らす希望になるかもしれません。

 では、どうやって、あなたの中にある素材を「価値あるもの」に磨いていけばよいのでしょうか?
 何だか難しそうと思う人もいるかもしれませんが、それは大いなる誤解です。
 これには「やり方」があるのです。

2つの失敗パターンを避ける

 そのやり方を説明する前に、まずは多くの人が失敗するパターンを先に見ておきましょう。
 そのパターンを知っておけば、これから個性を磨く道を歩きはじめるあなたが、落とし穴を避けてスムーズに進んで行けるからです。

 この地球というのは、生まれてきた魂にとって、修行の場です。
 修行の場ですから、魂を成長させるための努力が必要です。
 ですが、ほとんどの人は、努力の仕方が間違っています。
 どんなふうに間違っているかと言うと、たいてい以下の2つです。

 ひとつは、「一気にやりすぎ」という間違いです。

 1学期の最後に夏休みの宿題が出されました。
 夏休みの最初の1週間、宿題はやりません。
 そろそろお盆かぁ。宿題はやりません。
 お盆も終わりました。
「あんた、宿題はやったの?」
「おいらやったよぅ。疑わないでよぅ」
「どれどれちょっと絵日記を見せてみなさい」
「ほら、やってあるよ」
「(一枚めくる)最初の1日しか書いてないじゃない!」
 で、後で記憶を捏造して書くっていう(笑)。

 まぁ、ほとんどの人はこうかもしれません(?)。
 でもですね、うまくいっていない人をよ~く観察していると、仕事や夫婦関係、子育てに至るまで人生のほぼすべてを、夏休みの宿題のような形でやっていて、それで失敗している、ということがわかります。 
 このような形でがんばってしまうことが、「一気にやりすぎ」です。

 ふたつ目は、「目標が高すぎる」ことです。

 登山のことをよく知らない人が、3000m級の山に登るとします。
 靴はスニーカーですし、高山病についての知識もありません。
 一生懸命に登りますが、8合目の山小屋で体に異変が起こります。
 猛烈な頭痛に吐き気。頂上から眺める日の出と雄大な景色に浸り切る予定でしたが、友達に担いでもらって何とか下山。
 もう山はこりごり・・・。

 自分の実力に合った目標を立てないと、こういう危険な目に合ってしまうかもしれませんし、山登り自体が嫌いになってしまうかもしれません。
 この人がやるべきことは何だったのでしょうか?
 この人はすでに、「山に登りたい!」というモチベーションはあるのですから、その次の段階として、安全に登るための知識を身につける、ということが、この人のやるべきことでした。
 そして、そのために必要な装備を買うなど準備をする、ということです。
 この人は、まずそのようなちっちゃな目標を立てて、その目標をひとつずつクリアしていくべきでした。 
 その小さな目標をひとつひとつクリアした先に、山頂の素晴らしさが待っているのですから。

 一応補足しておくと、実は高い目標を設定すること自体は、悪いことではありません。
 ただし、高い目標に至るためのステップとして、小さな目標を立てる、ということをする必要があります。
 そして、小さな目標をクリアするたびに、目標に向かって成長している自分のことも、ちゃんと見つめて認めてあげる必要があります。
 高い目標を立ててもいつもそれが達成できないという人は、これができなくて途中の嫌になっちゃってる人が多いんですね。

 「一気にやりすぎ」と「目標が高すぎる」の2つを避ければ、あなたはもっと簡単に個性を磨いていくことができますよ。

一番簡単な個性の磨き方

 個性を磨くということは、あなたの中にある「天才」を、この世界に引き出して生きる、ということです。
 日本という国では、なんでも神さまになりますね。
 『古事記』ではイザナギによって桃が神さまに任命されていますし、現代でも"神7"とか"ヒザ神"など、「○○神」というものがすぐに誕生します。

 自分の中の天才を、世間の人が「ステキ!」って思うほどに磨き上げるというのは、日本においては「神」に近づくということです。

 では、個性を磨き、「天才」を発揮して生きるための方法をお教えしようと思いますが、その前に、老子『道徳経』からもう一つ引用してみましょう。

柔弱がTAOの要である。

『バカをつらぬくのだ!バカボンのパパと読む老子・実践編』ドリアン助川 角川SSC新書 2014年 p134『道徳経』第四十章 一部分の訳

 老子が生きていた時代は、世の中が大いに乱れた戦国時代でした。「強い」や「堅い」ことが求めらる時代に、老子は、「弱い」ということや「柔らかい」ということに価値を見出し、それこそが道理に沿った、平和を実現する生き方だと説きました。

 ドリアンさんは、この「柔弱」の例として、"コンクリートのひび割れたところから顔を出している植物"を挙げています。

 道を歩いていて、コンクリートから植物が生えているのを見たことがありますか?

 これを見ると「すごい生命力だな~」と感動するんですが、なぜ植物は、自分よりもはるかに堅いコンクリートを突き破ることが出来たのでしょうか?

 ドリアンさんによれば、それは「ものすごく弱い力で、しかし絶え間なく押し続けたから」(p137)なんだそうです。

 いきなり、短時間で「ぐいっ」と押しても、コンクリートを破壊することはできません。
 ですが、ずーっと長い時間をかけて押し続ければ、コンクリートに穴を開けることさえできてしまうのです。
 しかも「弱い力」で、です。
 これが「柔弱」の持つ力です。

 私たちが個性を磨くときも、そのようにする必要があります。
 弱い力でもいいので、ちょっとずつやる。
 そして、その力をずーっとかけ続ける。
 そうすれば、あなたの中の何かが変わります。
 あなたの中の天才が、光を放ちはじめます。

 なんにでも道理があります。 
 自分の個性を磨くということにも、道理があります。 
 では、個性を磨くための簡単な方法をお伝えしましょう。それは以下のふたつです。

 ①ちょっとずつやる 
 ②続ける、続ける、続ける

とっても簡単です。

 この記事の最初に老子のことばを引用しましたが、そこで言っているように、「余計な力を使うと、うまくいかない」のです。 なぜうまくいかないかというと、理由はいろいろあるのですが、一言でいうと「続かない」からです。 続かないものは成長のしようがありません。勉強でもスポーツでもそうですよね。

 反対に、余分な力を抜いて、軽やかにしなやかに、そしてにこやかに物事と関わり続けていると、人は自然と成長していくものです。
 軽やかにしなやかに、そしてにこやかに物事と関わり続けるために大切なのは、「やりすぎない」こと、「ちょっと力で」やることです。
 どんなことでもそうですよね。 これが道理です。

 そして、ここに私がひとつスパイスを加えたいと思います。
 それは、
 ちょっとやった自分を、褒める
ということです。

 ある学校の生徒を対象にした心理学の実験があります。
 その実験では、先生はあるグループの生徒は、テストのあとに「こんなに良い点を取ってすごい!」と"結果"を褒めました。
 一方のグループには、結果はどうあれ「君はここをがんばったんだね」と"過程"を褒めました。
 すると、結果を褒められていた方のグループは、だんだんとテストの点数が悪くなっていきました。
 逆に、過程を褒められていた方のグループは、だんだんと成績が上がってきて、なんと成績上位グループに入ってしまったのです。

 この実践からわかったことは、人は"結果"を褒められると、次第に結果を生み出すためには"過程"が必要だということを忘れてしまうのですが、"過程"を褒められると、「結果を出すために必要なこと」が楽しくなってきて、勝手に結果の方も上がってきちゃうんだ、ということです。

 だから、"結果"を出すためにも"過程"を大切にすることを習慣づける必要があります。

 そのために常に自分の過程を見続けてくれる先生が身近にいればいいですが、そういう人が身近にいない場合には、代わりに「自分で自分の過程を褒める」ようにしましょう。

 何でもいいですので、個性を磨くためにやったことを、どんなちょっとしたことでもいいので、「偉いね」「よくやったね」「ステキ!」「カッコいい!」「かわいい」など自分の好きな言葉で褒めてあげましょう。

 この、「ちょっとやった自分褒め」を続けていると、ある日突然、自分の個性が磨かれていくことが実感できるようになるはずです。

完全アウェーのフランス語教室

 ではもうひとつ、今度はドリアンさんの「ちょっとずつ、続けた」体験を見てみましょう。

 ドリアンさんは、一度映画に出演されたことがあるそうです。
 「愛する妻に裏切られて風呂のなかで死んでいく男」っていう役らしいんですけど(笑)。
 それで、この映画がカンヌに招待されたときに、監督や主役と一緒にドリアンさんも南フランスに行ったんですって。

 ある日役者とスタッフが集まってカフェのワインを飲んでいたら、ドリアンさんの目の前を通り過ぎた女性たちが戻ってきて「あんた、こういう顔で死んでたよね」と、ドリアンさんが演じた死に顔を再現してくれたそう。

 そのときドリアンさんは、「なんだかすごくいいな、南フランス」と思って、当時49歳だったんですが、フランス語を勉強してみようと思ったそうです。

 で、49歳にして、フランス語の語学学校の扉を叩いたのですが、その扉を開けた瞬間に「しまった」と思ったんです。そこの生徒さんたちが、若い女性ばかりだったからなんだそうです。

 私だったら「やった!」っていう気持ちを顔に出さないようにするのがやっとだと思いますが、語学学校というのは、隣同士で友達のふりをして会話をさせられるので、「友達にはどうしてもなれっこない・・・」と思っちゃったんだとか。

 しかも、フランス語は動詞の活用が五十以上あるようで、それを全部覚えると思ったら本当にめまいがしたようです。

 そのときにドリアンさんが思い出したものが、すごい!
 ドリアンさんはそのとき、老子の「絶え間ない弱い力」の話を思い出しました。

 そして、これは目標を立てたら厳しくなるなと思い、何年やってもできなくていいや、と気楽に考えることにしたんだそうです。

 その代わりに、「毎日必ずやる」と決めて、電車に乗っている時間や少し空いた時間を使って、ちょっとずつやっていきました。

 そうしたら、勉強をはじめてから二年で、フランス語検定の準2級まで合格して、さらに『星の王子さま』の部分訳まで含むサン・テグジュペリの本を出すところまで行っちゃったんです。

 これって、すごい!

 で、語学学校のクラスには、一年で結果出さなきゃいけない、と気合が入っていた人たちもいたそうなんですけど、みんな消えて行っちゃったそうです。

 ドリアンさんは、単に思いつきで、何の役に立てようとも思わず、フランス語をはじめました。
 もしかしたら、こういう役に立たない習い事を「ムダ」と思う人もいるかもしれません。

 でも、ドリアンさんはそれをゆ~っくり、時間をかけて磨き上げていきました。
 そうしたら、自分がもともと持っていた能力に、新たにフランス語というスキルが加わり、仕事までもらえちゃったんです。

 弱い力でも、ずっと押し続けていれば、自分の中の何かが変わります。
 変わるまでは時間がかかるかもしれません。
 でも、他の人には、いや、自分にさえも見えないかもしれないけど、自分の中で起きている小さな変化を信じて、やり続ける。
 そうすると、自分の中に、小さな光が見えてくるはずです。
 その光を持って世の中を照らしたら、ステキなことがたくさん起こります。

 個性を磨くのも、これと同じです。
 自分の中にある素材を磨くために必要なのは、苦しい努力ではありません。
 むしろ、今の自分に出来る範囲のことで十分。それをちょっとずつ、やり続ける。
 これだけでいいんです。

 だから、個性を磨くって、めちゃめちゃおもしろいんです。

 続けることは早くはじめたもの勝ちです。
 なんでもいいんです。今日から、一日5分だけでも、あなたの中の「天才」を開花させるための活動、はじめてみませんか?

・・・

 次回の記事では、あなたが自分の「天才」を開花させるための「お供」についてお話をしたいと思います。


Special Thanks
この記事は、ドリアン助川さんとその著書『バカをつらぬくのだ!バカボンのパパと読む老子・実践編』はもちろんのこと、斎藤一人さんの『微差力』がなければ書くことはできませんでした。
両氏と両著作に心から感謝いたします。

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