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事業の責任者から人事の責任者になって1年経過したので一旦振り返ってみた

タイトルの通り、事業全体を統括していた立場から人事に異動して(とは言っても他に人事はおらず、内定者インターンを含めて2名のペア体制)約1年が経過したので、簡単な振り返りを行ないたいと思います。

ざっくり振り返るとMustのラインはなんとか達成できたけど、Wantのラインはそこそこやり残しを許してしまった1年間だったなと。

ただ1年間を振り返って、思ったよりも事業側在籍時の経験が活きたと思う部分が多く、今回はそれらに触れることで以下のような方々の何らかの参考になればいいなと考えています。

・事業サイドから人事に異動してきた人
・人事に異動や転職したいと思っている人
・ずっと人事畑にいてもやもやを抱えている人


まず、この1年間の実績は下記の通りです。

・昨対比200%超の中途メンバーの採用
・うち7割超のメンバーが目標達成or表彰受賞(=オンボーディングの仕組み化)
・オフィシャルなコーポレート資料の作成
https://speakerdeck.com/hajimari/company-information-materials-of-hajimari-inc
・ビジョンの実現と線になっている自社制度の複数立ち上げと運用
・評価制度の刷新
・エンゲージメントスコアの過去最高記録更新
※組織づくりに関しては以下記事をご覧ください。
https://get.wevox.io/media/Plan-hajimari
・上場ラインを基準とする労務周りの整備

今回は細かい部分は割愛し、事業側の経験が活きたなと感じたのは主に4点。以下にて、それぞれに簡単に触れていきます。


1、現在及び未来の事業視点で思考を拡げられる

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人事のお仕事である文化形成や制度設計、そして採用や組織づくりでさえもあくまでも事業の成長のための手段にしか過ぎません。

そのため「事業が目指す未来の姿」「それらの現在の状況」そして「その未来と現在の二拠点間のギャップ(課題)」これらを解像度高く理解していないと人事として本質的な打ち手を講じることは困難です。

事業サイドを経験したことで、これらを解像度高く理解しながら日々業務に取り組むことができ、これは最大のメリットだったなと感じています。

日々のコミュニケーションに表現するならば・・・

「今の事業課題ってここにあるので、こういったマインドをもちこういったスキルセットの人を採用したほうがいいですよね」と事業責任者に提案出来たり、
「今は顕在的な課題ではないですが、2〜3年後の事業成長を考えると、今は社内にいないけどこんな人を採用したり、採用するためにこんな制度を新たに創ったほうがよくないですか」と経営陣に提案出来たり。

こういったことがやりやすいのは、事業側の経験を積んだ利点かなと思います。

あとは、ちょっと文脈がずれますが、代表やその他の経営陣からの提案に対してただのYESマンにならず、自分自身の意見をもち、ときには彼らからの提案を拒否出来るかが人事としては大切だと感じました。


2、事業成長に必要な考え方やスキルがそのまま転用出来る

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事業成長も人事の仕事も変数は多少違えど本質は変わらず、例えば採用で例えるならば、どんな人(採用ターゲット)のどのような課題(キャリアの悩み)をどのように解決するか(自社が提供出来る価値)を考え、あとはその人にリーチする方法を考え(採用広報)、リーチ出来たならあとはしかるべきタイミングでしかるべきコミュニケーションを取る(CX)だけ。
職種は違えどちゃんと自身のなかにフレームワークとして落とし込めていれば、転用出来ることがたくさんあると感じました。


3、各ポジションの酸いも甘いも解像度高く理解(想像)出来る

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まだまだうちの会社がベンチャー企業というのもありますが、基本的に事業側の人間であればどの職種の人とも距離が近く当事者として密にコミュニケーションとっているので、阿吽の呼吸とまではいかずとも他の人が何にやりがい/苦しみを感じているのか、どんな経験が出来てどんなスキルが得られるのか、はある程度解像度高く理解出来ます。

しかし人事の場合、事業側の人間との会話量を増やしたり、オフィスの席を近づけたり、数日現場に同席して疑似体験したりと色々と工夫のしようはありますが、それにも一定の限界があるな、と。
人事の仕事柄、各ポジションの人間に憑依したかの如く、熱量高く解像度高い情報を候補者様に提供出来るかがとても大切です。
その文脈で、事業側から人事に異動してきたのは一定のアドバンテージがあると感じました。


4、事業の状況を理解出来るので会社全体を巻き込みやすい

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これは少し抽象的で言語化が難しいのですが、多くの企業で事業部門と人事を含む管理部門の間に大きな隔たりがあるのは、同じ方向を向いて同じ目的地を目指せていないからというのもありますが、日々流動的に変わりゆく微細な空気の変化に気づき、相手に寄り添うことが出来ていないから、というのも大きいと感じています。

一度事業側を経験していると、このタイミングでこういった伝え方をすると巻き込みやすい、逆にこのタイミングはやめておいたほうがいいだろう、というのが肌感覚としてなんとなく理解しやすくなる気がしており、抽象的ですがこれも事業側の経験が活きている点かなと感じております。

※あと当然ですが、事業在籍時にちゃんと実績を出していれば、その下駄があるぶん巻き込むにあたって前提となる信頼関係は築きやすいです。またタイミングとか関係なく会社全体で採用や組織づくりに注力出来る文化形成が重要なのは言わずもがな。その文化形成にあたり大切なことはまたどこかで触れたいなと思います。

あとは上記4点とは別の番外編としては、成果が出やすくなるということとは別文脈ですが、
事業(ビジネス)として一円を稼ぐ重みや大変さを理解しているのも大きいなと個人的には感じています。
事業サイドに敬意を払い、採用にかかるコストに1円単位で拘ることは人事として非常に大切なことだと思うので。


尚、今回はあえて事業から人事に異動になって良かった点に絞って言及しましたが、勿論苦労した点や大変だったこともたくさんありました。
特に労働法や労務に関する知識がほぼ皆無だったので、誰も周囲に教えてくれる人がいないなか業務を進めながらイチから勉強するのはまぁ大変でした(^_^;)

なのでどちらが絶対的に良い、絶対的に悪いという話ではありませんが、
先述した「事業側から人事に異動してきた人」は上記の通り活かせる視点がたくさんあるので自信をもってもらいたいと思いますし、
「人事に異動や転職したいと思っている人」は上記の通り活かせる視点を事前に理解し、上司との面談や面接でアピールすることが大切かもなと思いますし、
「ずっと人事畑にいてもやもやを抱えている人」は上記視点のどこかが不足していることがそのもやもやの理由かもしれないので、それを理解したうえで対策を講じるといいかもなとも思います。

ちなみに、事業側での経験を積まなくとも後発的に当該視点を養うことは決して不可能ではないです。現に今私が一緒に働いている新卒1年目の女性は、上記視点を日々着実に養えています。
ただしそれには、本人の当事者意識の高さと、想像力の豊かさと、それを解像度高く伝えてくれる周囲の環境が非常に大切。
人事への配属を検討するにあたっては、このあたりの適性や環境面への考慮もしっかり意識したいですね。

それでは。

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