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こんな子は伸びる!オンライン授業で成長を見せる子どもたち

 前回は、子どもたちとのオンライン授業、講師として喜びを感じる時をテーマにお話しましたが、今回は私がこれまで行ってきたオンライン授業を通して成長してきた子供たちについて、少し書いてみたいと思います。


 初めてオンライン授業をしてからもう12年も経つので、これまで一体何人の生徒と向き合ってきたのか正確には数えていません。ただ今振り返ると一人ひとりの子どもたちの顔が、はっきりと思い出されてきます。彼らの中には、一度もリアルでは会ったことがない生徒もいます。国を超えて、お互いはるか数千キロの彼方に離れていながら、毎週画面を通して授業をし、交流してきた。オンラインは所詮リアルとは違うとも聞きますが、私にとっては彼らとの時間は、リアル以上にリアルだったことも少なくないと思っています。
 オンラインレッスンをしていて気がついたことがあります。それは子どもたちは、対面授業のときよりもオンライン授業のほうが、オープンに心を開いて接してくれる事が多い気がするということです。

  それはひょっとしたら子どもたちが、自室というとてもリラックスできる場所で授業を受けているからかもしれません。緊張感が持てなかったり、集中力が落ちやすいと言った課題も聞きますが、きっとそれは授業をする教師側のやり方次第。子供の心に寄り添って、彼らの目線で進めていけば、むしろ集中力は集中力は対面より高くなるのではないかをさえ思うときがあります。
 これまでオンラインで指導した中で、いつも思い出される生徒がいます。ここでは彼女をRさんと呼びますね。Rさんに初めて会ったのは、彼女が小学校4年生の時でした。とても小さくて可愛らしい印象で、一見とてもおとなしい感じの子でした。Rさんは都内の大学附属中を目指していましたが、それは本人の希望というより、その時はまだご両親、特にお母さんの希望という感じでした。お母さんが大好きで、いつもお母さんの話をしていたRさん。でも授業中、時々なにか言いたげな顔をすることが有りました。オンラインレッスンは画面越しだからこそ、対面の授業以上に生徒の顔をしっかり観察することが出来ます。それはこちらの目線を子供が必要以上に意識せずに済むから。おかげで子どもたちの小さな変化も、見逃さずに見つけることが出来るのです。
 Rさんの表情に気づいた私は、彼女にそれとなく働きかけ、彼女の発言を促しました。するとぽつりぽつりと自分が抱えていたご両親からのプレッシャーや、学校での友人関係での悩みを、打ち明けてくれるようになったのです。それからというもの、私はその問題を一緒に考え、どうやって乗り越えていくかを話す時間を取れるようになりました。そして彼女自身もどんどん心を開いてくれ、私にもどんどん要望も教えてくれました。
 あの日を境に、彼女は目に見えて変わりました。それまではどちらかというと「やらされていた感」があったのですが、明らかに「自主的」に受験に向き合い始めたのです。伸び悩んでいた成績もゆっくりと伸び始め、結局彼女は偏差値を10も伸ばし、無事第一志望の学校に入学しました。
 卒業後にRさんがくれた言葉。
「オンラインなんかやりたくないと思っていたけど、今思うとオンラインだからこそ誰にも邪魔されないで、何でも先生に話せたし、何でも聞けたんだなっておもう。先生とオンラインで勉強できて、本当に良かった。」
 この言葉は今も、オンライン授業を続けている私にとって宝物です。オンラインだからこそ気づけた、彼女の変化。そしてオンラインだからこそ続けられた、彼女との心の交流。それはオンラインレッスンが対面の代わりなどではなく、新しい教育の形であると私に確信させてくれた体験でした。だからこそ今も私は、可能な限りオンラインレッスンにこだわって指導しています。
 なんだかとりとめもない話になってしまいましたが、最後までお付き合いくださってありがとうございました。次回は、オンライン授業で見えてきた子どもたちの変化 ~コロナ前と今とで確実に変わったこと〜についてお話したいと思います。お楽しみに。

筆者プロフィール:山口たく(やまぐち・たく)1972年生まれ。都内大手名門進学塾やプロの家庭教師として、15年以上に渡り御三家中や最難関国公私立高校受験を指導。その後、理想の教育を求めて娘二人とともにニュージーランドに教育移住し、Ties. JNZ(Terra International Education Services. JNZ)を設立。これまでに国内外で教えた生徒は数千人にのぼる。
現在は『望む場所で、望む仕事をしながら、世界に貢献できる喜びを実感できる未来を与えられる教育』をモットーに、日本人留学生や現地在住日本人子女に指導を行っている。また、10年近い海外子育て・教育の経験を活かし、『ニュージーランド教育&国際バカロレア受験コンサルタント』としてさまざまなメディアに出、教育相談はもちろんのこと、留学や国際バカロレア教育に関するコンサルティングを行っている。著書に下記2冊がある。

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