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礼文島の闇(あるいはフェニックス)

いつもどおり晋作(WBSのキャスターである豊島晋作)のデジタル最新事情解説を見、中国レベルのアップルが施しているダークパターンマーケティング(つまりは悪しきマーケだ)について書いてくれるわ、と直前までは思ってたんだけど、その気持ちが浄化されたといいますか別に今日こんなめんどくせーこと書かんでもえっか……(ぼくはノートを毎日投稿しなければならないという強迫観念を持っている)というような気持ちになったので書いています。ヘッダ画像をお借りしています。

そのApple社が演じているあさましきマーケティングは別の機会に絶対書くからいいんだけど、ぼくが気持ちの浄化に至った理由はドキュメント72を見たからです。

しかも途中から見てしまった。その晋作のニュース解説を中断して、そういやドキュメント72やっとんやんけ、という気持ちになったから見た。

すると結果的に、未だにぼくが番組のなかで何を見たのかさっぱりわからんという現象が得られた。未だにわかってない。それを詳らかにしないほうが、しなくても良い気がしているほどだ。

端的に言えばドキュメント72は利尻?礼文?の「ユースホステル」と呼ばれるどう見ても改築民家に暮らす人々───に見えちゃったけど実際は──じゃなくて泊まりに来る人々の生活ぶりに密着する感じだった。

でもなんか、誰が店員で誰が客なのかが非常に曖昧であった。ぼくが見始めた終盤では、たそがれる年配の女の人とアジカンジェネレーションに憧れてそうな眼鏡の青年がなにかきっといい話をして、男のほうが中に帰っていった。家に入る時に、片側の引き戸を押さえながら入ったのだった。片側を押さえながら入らないと、締めた時にそちらがわが開いてしまうのだ。そんな設備の状態で金を取ろうとするユースホステルがあってたまるか……?

で別にそれはいいんだけど、次の場面に異様な人がいた。それは普通のおじいさん寄りおじさんなんだが、バーニングという名前で呼ばれていた。

バーニングは会計とかそういうことをしていた。つまりこれまでの情報をまとめると、何らかの所有者がいる礼文島の不動産だが、店員がいなくて客が会計から何から何までする。

更にその後なんとなくこの場所に人が集まる理由がわかったんだけど、客がグループ化して一緒にどこかでかけ、帰ってきた際、さらには当該シーズンにおいて初めて泊まる、つまり一泊目に来た客が玄関をあけた際に、その時ユースホステル内にいる全員が玄関に総出となり、中には太鼓とか楽器を持って、非常に常識的な音量とは言えないレベルの声で出迎える儀式をするのだ。

ここでよく見ると、法被のようなものを着た比較的若い男女が音頭を取っているといいますか、一番大きなリアクションを打ち出しているようだった。

ここから想像されるのは中川政七商店のアナザースペース……?だっけ……のように、学生バイト的な感じなんだけど店舗運営を全任せにして、地方活性化のため……かどうかはわからないが……地方の名産とかを銀座で売らせるあの感じに似た実証実験をこの地で展開してるのだろうか、というものです。

でもそのような画期的なフレームワークを、30年以上も前からやっているだろうか……とも思えてしまうのだ。30年前にこの場所があった裏付けはその後に出てきた50代ぐらいの所帯持ちの人の話から理解できた。

彼は32年前にここを訪れ、そこであった女の人と結婚した。といいますかすぐ横にいたので連れてきた。その32年前に、当時若くして薄毛症だったのだが、その時一緒にお風呂に入った連中がロン毛でトリートメントを必死にしてたり、モヒカンの左右を刈り上げてたり、自分は余計な部分をかみそりできれいにしてたというダイバーシティに富んだ経験をしたことがあった。誰も自分の薄毛症など気にしていない。都会のようには笑わない。

また何の説明もなく、リーマンだという別の50代ぐらいの男の人が霧の中団体でトンネルを歩いていたり、男女問わず股間を押さえながら羞恥心を捨てる儀式を、その通り声に出しながらその先に進んでたりしていて、全く知らない人が見たのであれば何か宗教の一種だと思われてしまってもおかしくはないような場面が展開されていた。もうどうすりゃいいのか。

その団体が帰ると、先程の50代の家族が太鼓だの鳥のおもちゃをかき鳴らしながら土下座して出迎える。

さらにそのまま一夜が明け、大きな船で帰る人々をいってらっしゃいと先程の法被とか泊り客が言いながら送り出す。船の人々はいってきますという。

新しく泊まりに来た人は日本最南端の医者であり、日本最北端の医者にどのように俺は生きていけばいいのかというアドバイスを求めに来たのだという。

北海道には何かがある。

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