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『汝、星のごとく』夕星となって、いつも輝くあなた【読書感想文】

こんにちは。こんばんは。

最近は、読書アカウントの方と交流することが多くて、たくさんの方の読了ツイートを見てニヤニヤしています。

「ストーリーが気になる〜!」とか
「表紙が素敵!」とかとか

みなさん、表現するのが素敵で、どの本も読みたくなっちゃうんですよね。

そんな中でも、みなさんがこぞっておススメしていた凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』

早速読みました!
ゆっくりじっくり読もうと思っていたんですが、あっという間に読んでしまいました〜!


きょうは、『汝、星のごとく』の感想を書いていきますね。
(※一部ネタバレがあります)

『汝、星のごとく』は、青埜櫂(あおの かい)と井上暁海(いのうえ あきみ)の15年間(17年間)について閉じ込められているストーリー。

高校生の時に出逢って、遠距離恋愛になって。
価値観の違いが出てきたり、焦りや憤りを感じたり。
一般的な遠距離恋愛でも、些細なことがきっかけで崩れてしまうことがある。
櫂と暁美もまた、遠く離れてしまうだけで、大きくすれ違ってしまう。互いに抱えているものや孤独が重なりあって、強い絆で結ばれていたはずなのに…。

あんなに穏やかで愛おしい、たったひとりの存在だったはずなのに、目の前のことしか見えなくなっていて、いつの間にか遠くの星を見上げることさえ忘れてしまっている。


いつも、いつまでも遠くで見守ってくれていると思いながらも、離れているうちにお互いでお互いを縛りつけていて、何かの枷になってしまうことも。

そんなつもりじゃなかったのに。

ストーリーの傍(かたわら)には常に、櫂と暁美の母親の存在があって、いつも彼女たちが2人を強く縛りつけている。

切っても切れない親子の絆が時に彼らを呪い、愛情ともいえず同情ともとれるものとして存在している。

そんな不自由な生活だからこそ、2人は惹かれあって、お互いを『なくてはならないもの』と位置付けたのかもしれない。

不自由なものがあるからこそ、自由な存在はとても愛おしく、輝いていて、すべてを許してしまう。

17歳で出逢って、高校卒業とともに遠距離恋愛になり、25歳で別れることとなる。
その後また再会。
2人が濃い時間を過ごしたのは、ほんの少し。

離れている時間ほど、自分と相手との関係がよく見えてくる。
「居なくてはならない存在」だと思うこともあるし、離れたくなる瞬間も。


だけど、いつだって彼(彼女)の心の奥底。大切な部分に在る。


2人は、お互いがお互いを夕星(ゆうづつ)だと感じていた部分も。

暗い世界にひとつだけ輝く夕星。
自分を掬い出してくれる存在。
何処にいたって、見守ってくれている。

__互いの目に同じ星が映っているうちは

『汝、星のごとく』より

同じ空に見えるときもあるし、違った場所で違った時間にみえるときもある、夕星。

距離や時間が、お互いの夕星を変化させ、大切だったはずの存在を曇らせてしまう。



普通の恋愛でもよくあることなのに、2人を取り巻く環境によって、とてもせつなく、残酷に描かれている。読み進めるたびに胸が痛くなっていった。



恐らく、読み終わった方はみんな、最初のページもしくは『汝、星のごとく』を一度閉じて表紙を見るのではないだろうか。


「あぁ、そうゆうことだったのか」
「そうだよね。」

と幸福感とはまた違う、ほっとするような、苦しさから逃れられたような、そんなため息が出る。


消してハッピーエンドではないんだけれど、納得してしまう。

この終わり方が1番良かったんだ。と。


つい、
『ほかの道を進んでいたら』
『あのとき、こうしてれば』

と思うことが多い。

だけど、焦燥感や絶望が待ち構えていても、最終的には自分が突き進んだ道を歩いていくしかないし、その先をどう生きていくかは、わがままに自分を貫いたものだけが知る。ということを感じ取れる物語でした。



もっと自分のやりたいことを1番に考えてもいいじゃない。

自分の人生は自分が責任をとっていく。


その先に見えてくるのは、絶望かもしれないけれど、その過程で生まれた充実感は、何にも変え難い夕星となって、いつも輝き続けてくれる。かもしれない。



せつなさで胸が苦しくなるけれど、読んで納得の1冊でした。

もっと凪良ゆうさんの作品を読みたいな。


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