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また都民は除外!「60万あげるから結婚して子供を産んでくれ」は少子化に効果ある?

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内閣府は20日、少子化対策の一環として、新婚世帯の家賃や敷金・礼金、引っ越し代など新生活にかかる費用について、来年度から60万円を上限に補助する方針を固めた。現行額から倍増し、対象年齢や年収条件を緩和する。

内閣府は34歳以下、世帯年収も約540万円未満の新婚の夫婦に対して60万円支給する方針を固めたそうです。これは少子化対策の一環で経済的に結婚できない人を援助することが目的とか。

ちなみにこちら地域限定らしく、東京はどの区も市もこれに該当しません。基本的に首都圏は含まれません。

なぜ新婚の費用を負担?

一番最初に感じたのは、なぜ出産や育児にまつわる費用(それはすでにありますね)ではなく新婚世帯の引っ越し費用? というところでした。結婚しないと子供は生まれないからという前提の話をしているのでしょうが、うーむそこなのかなあ? と。

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(出典:内閣府「第2章 なぜ少子化が進行しているのか」)

内閣府の独身にとどまっている理由の資料によると、

結婚できない理由は

男女ともに「適当な相手に巡り合わない」

結婚しない理由は

男性は「必要性を感じない」

女性は「自由や気楽さを失いたくない」

でした。

結婚資金がないというのは1992年の25.5%、1997年の22.3%と比べてもそんなに増えていません。

つまり現代の人々が結婚しないのは結婚資金がないことが最も大きな理由ではなさそうです。

恋愛・結婚は個人の力量

恋愛・結婚はよくも悪くも個人の力量です。恋人やパートナーが欲しいと思えば、出会いの場所に出かけたり、アプリでいい人を探したり、能動的な行為をするでしょうが、そこまで欲求が強くなければ優先度は低く "めんどくさい" で終わるでしょう。

もし国がどうしても男女に結婚をさせたいのなら、35歳まで結婚しないと、独身者をランダムに男女ペアを組ませて夫婦にする(絶対嫌ですが)しかないんじゃないかと思ってしまいます。

お見合いパーティーで疲れるよりも、家でゲームして楽しみたいという人は思っているより多いのではないかと。

かつての住宅購入と同様、結婚も国の押しつけじゃ?

このCMは1979年にテレビで放映されていたもの。池袋駅から100分の家をサラリーマン家庭に向けて買わせようとする当時の空気感が伝わってきますね。

先日、バブル時代に都心にマンションを数件購入した50代の人と話していて、テレビで放映されていた無料空き家の話題になりました。最近は住むだけでお金がもらえる物件もあるとか。2030年には日本の空き家率は25%になるそうです。4分の1は空き家ってすごいですよね!

身を粉にしてマンションを買った彼は、無料の一軒家で優雅に暮らしているおばさまをみて「世の中どんな情報を持っているかだな」と話していました。もちろんおばさまも20年前には無料の一軒家に住めるとは想像していなかったでしょう。

情報強者が得する時代。みんなが選んでいる無難な道よりも、自分にあった道を追う方が思いもよらなかったラッキーに出会える時代。

だからこそマイホームと同じく、結婚・出産も昭和の香りがする国の押し付けに思えるのでしょう。

そうとはいっても少子化はどうする?

このnoteにたどり着いた人の多くは30年後には高齢者に近づいていることでしょう。もし少子化になったら100年も生きそうな我々の世代はどうすると。確かに今までのシナリオで行くと問題です。

しかし夫婦揃って働かないと成り立たない今、昔のように子沢山は難しいでしょうし、少子化は止められない。もちろん止めるための政策なんでしょうが、実質問題難しいだろうなと。

日本の将来を考えると、結婚して家庭を持つことがかつてのマイホームのような将来の負の資産になりかねないものに見えているというのはなきにしもあらずなのではないかと思います。

少子化が大変だからといって先が不確かな未来のために大きな賭けを打って出たくないという人が多いのではないでしょうか。

2050年家族は少数派になる

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こちらは国土交通省が発表している「国土の長期展望」中間とりまとめ 概要の資料です。2050年にはこれまで主流であった「夫婦と子」からなる世帯は少数派となり、単独世帯が4割になると予測しています。日本国の少子化は止められないということは、すでに前提になっているということですね。

母体で育てる限界をテクノロジーで解決

出産や子育てがなくなるかもしれない未来にむけてにも書きましたが、現在世界では母親の母体を必要としない妊娠、人工子宮の開発が進められています。もし彼らの開発が成功しこれが実用化されたとしたらひとまず女性が1年に1人しか産めないという制限を取り払うことができます。

妊娠に女性の母体を必要としなくなれば同性カップルでも今よりも容易に子供を持つことができるようになるでしょう。

国が子供を育てる可能性も

ファミリー個々での子育てが難しいのであれば、資格を持ったプロフェッショナルが育児・教育を行ってくれる国の機関、"子育て省" ができるかもしれません。自宅で育てることもできるし、物理的に難しいのなら海外のボーディングスクールに行かせるように、我が子をプロに教育してもらって、タームの合間合間に帰ってくるというのはありえるかもしれません。子育て省には上記のようなプライベートチャイルドもいれば、パブリックチャイルドもいるかもしれません。

移民・少子化前提で描く社会

どちらにしろ今までを維持するのではなく、抜本的に変わることが必要になるでしょう。移民の受け入れを検討する可能性も高いでしょうし、少子化を前提に日本の未来をデザインする方法もあるかもしれません。

問題は年寄りが多く、しかも長く生きるということですから、病気にならないための今以上のケアは必要になってくるでしょうし、拡張ボディなどこちらもテクノロジーの発展に期待です。

となんだかテクノロジー頼みにはなってしまいましたが、従来のスタイルを維持することに邁進するのではなく、来たる新しい時代にはその時代にあった進化した人間の暮らし方があると信じています。そのためには抜本的に何かが変わる必要もあるでしょう。それは社会や経済かもしれませんし、これまでの家族や子育てのありかたかもしれません。

俯瞰してみると、様々な観点において人間というのは常に進化しているので、私はそんな未来が楽しみでなりません。


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