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シリーズ:コロナと激動の消費者心理【7-9月期調査③】コロナ禍で社会貢献したい気持ちは高まったのか?最近のトレンドとともに解説

企画・製作 株式会社矢野経済研究所 未来企画室

このシリーズでは、WEBアンケート定点観測調査(年4回実施)をもとに、日本の消費者の消費・心理・生活がコロナ禍でどのように変化したのかについて、気になるトピックを調査ごとにお届けしています。

当シリーズ投稿の趣旨や出典元の消費者調査につきましては、初回の記事でご紹介しておりますのでご覧ください。

<シリーズ説明>

調査概要
世代区分

コロナ禍で社会貢献したい気持ちは高まったか?

「社会や公益性に貢献したいという気持ち」について、四半期前(3か月前)から強まった人の割合を世代別に調査した。下図は世代別の結果を示している。

社会や公益性に貢献したいという気持ちが強まった人の割合【世代別】(n=3600)

未曽有のパンデミックとなったコロナ禍は、日本社会に大きな不安を与えることとなった。昨年の4-6月期はその影響を反映して、「社会や公益性に貢献したい気持ち」が、前の期(3か月前)と比較して強まった人の割合が顕著に高まった。

コロナ禍で、感染拡大防止に協力するということは、すなわち医療体制の逼迫を抑えるために、外出や外食を控えたり、検温やアルコール消毒をしたりするなど、公共の福祉のために一定の努力や我慢をすることに等しい。そのため、感染拡大防止への協力する意識の高まりが、社会貢献への意識の高まりに一定程度連動していると考えられる。

世代別には、バブル世代が10.8%となり、最も高くなった。次いで高かったのは、しらけ世代とプレッシャー世代となっている。特に高年層で、社会貢献への意識が高まっていたことがわかる。比較的社会貢献への意識が高いとされている若年層は、プレッシャー世代を除いてそれほど高くはならなかった。若年層では感染拡大防止への協力と社会貢献への意識があまりリンクしてない可能性が考えられる。

また、その後の推移は全体として緩やかな低下傾向にある。昨年の4-6月期に高まった割合から徐々に低下しており、これが感染拡大防止への協力的な姿勢が弱まっていくことと相関していると考えられる。

直近の7-9月期調査では、しらけ世代が4-6月期から急激に割合を低下させており、団塊ジュニア世代の次に最も低くなった。これはワクチン接種の広まりにより、しらけ世代の重症化リスクが低下したことが要因と考えられる。まさに、喉元過ぎれば熱さを忘れる状況だ。

まとめると、社会貢献への意識はコロナ禍において高年層を中心に全体的に高まり、その後徐々に低下、直近では、ワクチン接種により重症化リスクが低下したしらけ世代の低下が顕著である。また、社会貢献への意識の高まりには、なるべく身近な、例えば同世代に、危機が迫っている状況などが効果的であることがわかる。

出典:「コロナ禍の消費者心理・消費・生活を捉える定点調査2021」

※本シリーズの投稿内容はすべて執筆者の個人的な見解を示すものであり、執筆者が所属する団体等を代表する意見ではありません。また、投稿内容はいかなる投資を勧誘もしくは誘引するものではなく、また、一切の投資の助言あるいはその代替をするものではなく、また、資格を要する助言を行うものではありません。

今春、矢野経済研究所 未来企画室は新プロジェクトを始動しました。 『未来を数字に』をコンセプトに、独自の切り口で、今はまだ数値化されていない未来の価値や潜在価値などを、あれこれ数字で表現していきます。