シリーズ:コロナと激動の消費者心理【1-3月期調査②】世代間で明暗が分かれた家計状況
企画・製作 株式会社矢野経済研究所 未来企画室
このシリーズでは、WEBアンケート定点観測調査(年4回実施)をもとに、日本の消費者の消費・心理・生活がコロナ禍でどのように変化したのかについて、気になるトピックを調査ごとにお届けしています。
当シリーズ投稿の趣旨や出典元の消費者調査につきましては、初回の記事でご紹介しておりますのでご覧ください。
世代間で明暗が分かれた家計状況
四半期前(3か月前)と比較して、回答者自身が感じる家計の状況がどのように変化したかを、「改善した」「やや改善した」「変わらない」「やや悪化した」「悪化した」の5段階で質問し、家計状況の動向指数(DI値)を算出した。下図は、世代別の結果を示したものである。
1-3月期の家計状況DI値は、世代間で大きな差が開く結果となった。まさに明暗が分かれた形だ。若年3世代はDI値が、もともと高かった水準からさらに上昇した。一方、高年3世代はもともと低かったところから、さらに下落した。
家計状況悪化の原因は
今回の下落要因としては、まず、オミクロン株による第6波の感染拡大が考えられる。飲食店等で時短営業が進むなど、接触機会の多い業種で就業機会・時間の減少に伴い、収入の低下が見込まれる。また、今回のオミクロン株は非常に感染力が強く、自身が感染した場合や、濃厚接触者となった期間の就業時間が減少した人も一定数いた可能性がある。また、学校園等で子供の感染が広がったため、学級閉鎖等で子供の面倒を見る必要が出ると、これまた就業時間の減少につながった可能性がある。若年3世代は、こうした影響が高年3世代と比べ小さかったとみられる。
また、生活に身近な商品の価格が上昇していることも影響していると考えられる。ガソリン価格高騰に始まり、直近では、じわじわと食品などで値上げが広がってきている。若年世代では、単身世帯など、商品価格上昇の影響をすぐには受けにくい世帯も多いと考えられ、家計状況の悪化にはつながりにくかったものとみられる。一方で、家族世帯の多いと考えられる高年世代は、商品価格上昇に敏感に反応したと考えられる。
今春、矢野経済研究所 未来企画室は新プロジェクトを始動しました。 『未来を数字に』をコンセプトに、独自の切り口で、今はまだ数値化されていない未来の価値や潜在価値などを、あれこれ数字で表現していきます。