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チームのコラボ力を高める「透明性」とは?(後編)

フューチャーセッションズ(Future Sessions、以下FSS)では、チームが常に進化し続けるための仕組みとは何か?を実践しながら探究しています。

前編ではFSSスポーツチームのコラボ力を高めるために、何を可視化すれば良いのかといったことについて記載しました。後編では実際にどのように取り組んでいるのか、実践例の一部を紹介していきます。

前編はこちら:チームのコラボ力を高める「透明性」とは?


自分たちの全業務を可視化したリストを作る

FSSスポーツチームでは、自分たちの全業務を可視化したリストを「トレーニングメニュー」と命名して作っています。ただし、お互いのやっていることを知らないと、どんなことを助けられるのかわからない。何をお願いしていいのかわからないと「パスが出せない」。「自分受けるよ!パスしていいよ!」が自分から言えないために、コラボが起きない。

結構どこにでもありそうな問題なのではないでしょうか?

パスを出しやすくするには、

①可視化してみて、相手の業務や相手の進め方を知る
②可視化するときの粒度と表現方法(専門用語ではなく、相手がわかる一般的な優しい言葉)に注意して可視化する

ことが大事で、これをお互いに可視化し、共有する時間を定期的に設けてフィードバックしあっています。

一見面倒臭いように見えても、仕事の進め方や業務価値そのものに違う視点が入ることで、コラボが起きやすくなると実感しています。


作ったリストを共有し、全員で2週間の計画をする

価値・目的起点で表現した直近2週間の業務計画をチームで作っていると、チームにある変化がおきました。

お互いの業務理解が進むと、チームとしてやるべきことの優先順位や、タスクの進め方を常に相談できるようになり、状況に応じて柔軟に変更することができるようになってきました。

例えば新型コロナウイルス感染症で状況が変わる中、2週間分の計画も途中ですぐに再計画。「このままだと達成できそうにない」というメンバーからの声や、「今これを急いでやっても価値は当初の予定よりも低い。お客さまの状況もこう変わっている」という意見が自然に出たことで、状況に応じて素早く適応できるようになっていました。


やるといいねというアイデアは全て可視化。いつでも選択できる余白を作る

戦略や計画は全て最初から正しいわけではありません。やりながら早めに仲間や顧客に見せて学び、改善し、強化していくもの。この価値観が大事。やるといいねというアイデアはすべて可視化しておきます。

アイディアを創発しやすくするために書き方のケアをする

やることありきではなく、「何のために」「何を生み出したいか」を書いておく。「誰でもわかる言葉」を使って、「どこまでやるべきか」を話せるようになると、コラボは生まれやすいと感じています。


対話量を増やす

“リズム”を大切にする

対話量を増やすために次のようなリズムで仕事をしています。

・2週間分の計画を行う(2時間)
・朝会と夕会を毎日行う(15分)
・途中で2週間分の業務の再計画が必要かどうかを相談し、先々で起こりそうなことや、やってみたいことを話す(1時間)
・業務レビューと働き方の振り返りを2週間の最後に行う(3時間)

朝会と夕会のことをチーム内ではアップ(ウォーミングアップ)とダウン(クールダウン)と呼んでいます。アップでは昨日やったこと、今日やること、困っていることを。ダウンでは今日やってみてどうだったか?明日に向けて話してみたいことを話しています。

困ったことや弱音や、「助けて」を言える環境を意図的に協力しながら作っています。


成果のレベル感も見える化する

業務内容の範囲やスピード感の認識を共有するために、「ここまで狙いたい」、「最低ここ」、というのをゴルフ用語で定義する時もあります。

・目指したい納期やゴール:バーディ
・おそらくできる納期やゴール:パー
・最悪こうなる/ミニマムでもここ:ボギー

このようにスポーツチームならではのメタファを想起させながらプロセスを作っていると、皆が共感でき、楽しく進められるようにしています。


自発的な助け合いを促進する

ファーストプレーヤー(レギュラー選手)が有事の時に、交代となるインパクトプレーヤー(控え選手)はどのように力を発揮できるのか。全く同じにはいかなくても、インパクトプレーヤーの良さも活かしながら、ファーストプレーヤーの働きを助ける状況を作るにはどうしたらいいのでしょうか?


コラボワークで実践しているチーム運営方法「スクラム」

スクラムとは、IT企業を中心に実践者が増え続けているチームフレームワークです。不確実性が高くマーケット変化が早いサービスを扱う組織やチームほど採用利点があり、自主・自律的なチーム開発をしたい方々が採用しています。語源はラグビーの「スクラム」からきています。
※ 詳しくはこちら>Scrum Alliance®️公式サイト

スポーツチームが考える「スクラムの特長」
・状況変化にチームメンバー同士で素早く対応しやすい仕組みがある。いろいろな状況下で、その時の最善の選択をしなおせる。
・自主的に意思決定をしながら動ける仕組み(実際に役割はあるが上下関係はなく、マイクロマネジメントはしない)。
・期間を固定して、アウトプットが定期的に見える化されるので、フィードバックを得やすく、状況や変化に迅速に適応できるようになる。
・(期間を固定しているので)必ず2週間に1回は定期的に振り返る時間があり改善しやすい。

コロナ禍で制約が多い中、「思いやり」と「達成へのこだわり」の両立は、現実問題として難しいところもあります。様々な観点を洗い出し、知恵を出しながらさらなる探究を続けています。

この両立をどう探究しているか?次回はこの辺りの実践についての考察を書いていきます。

記:知花里香

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