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フューチャーリテラシー :「可能性の未来」を読み解くために

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本マガジンでは、2022/12/12に出版した、『フューチャーリテラシー Futures Literacy :過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために』についての情報を掲…
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#アイデア発想法

書籍『フューチャーリテラシー 』関連情報リスト

Futures Literacy :過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために 本マガジンは、2022年12月12日に出版を契機にリスタートいたしました。 書籍『フューチャーリテラシー Futures Literacy 過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために』に関連する情報を掲載していきます。 【記事】1)『フューチャーリテラシー』出版記念トークイベント開催(12/20) 【読書のポイント】1月)宇宙・生命・脳の進化に見る、ネットワーク連鎖の入れ子構造

2020年から描く30年の未来編 :ダイジェスト

本書は、「未来を読み解いて、コンセプトを紡ぎだす」方法を提案することが主題。 本節では、本書で提案する手法を使って30年後の未来を読み解いたコンセプト・サンプルを提案する。 4.1 では現在の常識的とされる未来を示し、4.2でそれをインプットとして未来を読み解いたコンセプト・サンプルを提示する。導出したコンセプトの是非が議論の対象ではなくそれを導くプロセスが重要でだ。 もし4.2で示したコンセプト・サンプルが読者にとって既知の常識であるならば、それを4.1に組み込んであら

「仮想世界経済」の誕生

-- 30年後の未来を読み解く第三弾 :物語を紡ぐ(準備編) --  我々が常識と考えている科学も、論理的な思考法も、経済も、ここ数百年のできごとにすぎない。我々は、常識にとらわれやすく、かつその常識をいとも簡単に塗り替えてしまう。  ゲームや一部のマニアのためと考えられていた「仮想世界」が、「リアル世界」の生活や仕事の一部となろうとしている。  2021年10月28日Facebookは社名を「メタ」に変え、ビジネス向けの「仮想世界」構築に本腰をいれることを宣言した。ヒ

非線形思考を描く筆とパレット:メタプロセッシング

  -- 30年後の未来を読み解く第二弾:コンセプト編集 --  印刷時代の末期を迎え、スタートからゴールまでシーケンシャルに論理を並べる思考法が変わりつつある。 メモ:スケーラブルでコンポーザブル、コネクテッドであり、機械学習(ML)を活用したものになるだろう  浅い思考のモノたちが、「情報世界」をパートナーとした独自の思考方法を身につけていく。  直感と仮説によりゴール近傍にあたりをつけてスタートして、ゴール周辺を縦横無尽に行き来しながらしだいにゴールのイメージを

「仮想世界」経済から「マルチバース」経済循環へ

-- 30年後の未来を読み解く第三弾 :物語を紡ぐ(物語編) -- ●「仮想世界」のエコノミー ゲームやクリエイター、eスポーツのための「仮想世界」のインタフェースが、スマホやPC、ゲーム機に代わるとき、仕事と生活を時分割マルチタスクで「仮想世界」に配分する人たちが登場する。労働、スポーツ、会話、観劇、クリエイティブ、ゲーム、リアルでの活動が「仮想世界」に移行していく。 ○ミクロ・マクロ・ネットワークで表現する○仮想世界での欲求と価値 ヒトは欲求の充足を求めて働き、遊び、

そして未来を織り続ける

「フューチャー・リテラシー」最終章 「未来を読み解く」際に重視している視点が3つある。 1)「ミクロ・マクロ・ネットワーク」の視点  主にアイデア編集やコンセプト編集を行う際のチェックリストとして利用する。特に、フィードバックループ、動的適応の特性が出現するネットワークに注目する。 2)「ヒトと文化、集団とコミュニケーションの共進化」 の視点  ヒトがヒトとして進化してきたのは、外界に適応する文化を集団内に記憶する能力によるところが大きい。時代を変える新しい技術・サ

課題設定:次世代の思考を支援する

  -- 30年後の未来を読み解く第二弾:課題設定 --  白板にむかって文字を書こうとしたときに、小学生レベルの漢字が書けなくなった経験をしたことはないだろうか。紙の上で書かなくなった習慣が、あれほど訓練した漢字の記憶を消し去ってしまった。ヒトはメディアに能力をアウトソースするとともに、自身の能力を失い続けてきた。  そして今、「書く言葉」と活版印刷が構築してきたシーケンシャルに熟考する論理的な思考を手放しつつある。 ●浅い思考のモノたち いつの間にか長い文章を書いた

課題設定:情報世界におけるヒトと文化の共進化

  -- 30年後の未来を読み解く第一弾:課題設定 --  ヒトと文化(ノウハウ、社会習慣など)の共進化が、コミュニケーション能力を高めコストを下げて、集団規模を拡大する。インターネットは、「リアル世界」の制約を取り払い、不特定多数とつながるためのコストと遅延をほぼゼロとし、物理的スペースと複製コストがゼロの製品=コンテンツを無料で獲得できる「情報世界」を生み出した。 ●インターネットのあちら側  =「情報世界」の現状をふりかえる インターネットとWebが世界をつなぎ、権

【閑話】パーソナル・アシスタントの一里塚: ナリッジナビゲータ

 1987年、Appleは当時のCEOジョン・スカリーが作成した著書をもとに、自社が目指すパーソナルコンピュータの未来を示すプロモーションビデオ「ナリッジナビゲータ(KnowledgeNavigator)」を公開した。筆者がこのビデオを観たのは、1992年ごろで、こんな時代が近づいているとワクワクしたのを覚えている。Appleが提供したHyperCardやMachintalk(音声合成)はその布石だったし、その後のiPadやSiriにつながる技術や製品を着実に実現してきた。

ミラーワールドをけん引するメディア:スマートグラス

 当初は、ごくわずかな利用者しか注目せず、周囲のほとんどの人たちにはなぜそれを欲しがるのか理解できない。ところが一旦普及すると、手足と同じように手放せない存在となる。 --------------------------------------------------------  未来の変化は、電話、ラジオ、TV、コンピュータ、インターネット、iPhoneがそうであったように、時代を変えるインパクトを持ったメディアとヒトとの共進化が引き金となる。当初は、ごくわずかな利用

実世界と虚像が共進化する双子:デジタルツイン(2050年)

次節で「未来を読み解く」ための前提・背景として、各企業などで計画されている30年後の未来を概観する。 -------------------------------------------------------- Google検索、iPhone、Google Earth、 ストリートビュー、ポケモンGOが示した道筋の延長に、今後数十年の壮大な未来が計画されている。超高速ネットワークの上に多層に重なって広がるバーチャル・ネットワークをベースとして、実空間におおいかぶさり巨

【閑話】今ここにあるSF世界:M氏の休日(2021年)

 ヒトは変化をすぐに自然なものとして受け入れ、適応し、その存在をあたりまえのものとして認知する。数十年前にはありえなかった「今ここにあるSF世界」をあらためて体験してみよう。 ●目覚め 「朝だよ、おきて~」 休日の朝、スマホの声で目覚める。自動でシャッターが開いた窓から明かりがもれている。今朝は気持ちのいい晴れだ。 布団でまどろみ、服を着ている間に、スケジュールとニュースを、アシスタントに聞く。 ●体操と散歩アシスタントにラジオ体操を流してもらい軽い準備運動をして、そ

1994年から描く未来:曖昧な要望に応える通信サービスアシスタント(1994年)

第三章 1990年から描く未来  本章では「ミクロ・マクロ・ネットワーク」モデルとアイデア・プロセッシングのサンプルとして、1990年代に読み解いた未来(現代ではあたりまえとなったサービス・コンセプト)を例として紹介する。  今あるコミュニケーション、ネットワークをベースとして次のメタ・コミュニケーション、メタ・ネットワークを問い続けることにより、次の時代のサービスに気づくことができる。 3.2 アイデアとプロトタイプで描くもの  本節では、商品化にいたらなかったアイデアや

1992年から描く未来:社会変化に適応するバーチャル・オフィス/コ・ワーキング

------------------------------------------------------ 社会変化に適応するバーチャル・オフィス/コ・ワーキング ●背景: 携帯電話の人口普及率が1.4%[1]、日本で初めてインターネット・サービス・プロバイダがサービスを開始した1992年。インターネットの利用は大学や研究機関がほとんどで、静止画を扱うにも四苦八苦していた時代。 ●お題:   ⇒到達フェーズ:社内資料  オフィス研究を行っていたチームメンバーの各研究を統