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偶然の規則性。

私達の脳はあまりにも単純で、およそ合理的に判断できるようには作られていません。

あまりに人間らしい脳の働きについて考えます。

ドイツの音楽家リヒャルト・ワーグナーは名前が13文字から成り、1813年生まれで、1883年の2月13日に没しました。

大きな楽曲は13曲作り、ワーグナーのもっとも有名なオペラ「タンホイザー」は1845年4月13日に完成し、オペラのパリでの初演は1861年3月13日でした。

リンカーンがアメリカ合衆国の大統領に指名されたのは1860年で、同じくケネディは1960年でした。

リンカーンの殺人犯は1839年に生まれ、ケネディの狙撃犯は1939年に生まれた。

どちらも副大統領の名前はジョンソンで、1808年と1908年に生まれています。

ローマ教皇ピウス10世は教区司祭を9年間、司教総代理を9年間、司教を9年間、枢機卿を9年間務めました。

こうした一致を前にすると人間の脳は「情報をひとまとめにする」という特殊な能力を発揮して、実際には何もないところに、秩序だった図式や構造があると想像してしまいます。

これは、将来の行動決定のために情報を読みやすくするための秩序や意味を見つけ出そうとする「癖」によるものだと考えられています。

そんな「癖」によって現実を謎めいたものとして、迷信や都市伝説を信じたり、努力の必要のない道に入り込んでしまうこともあります。

しかしながら、偶然からくる驚きによって論理や確率の法則も忘れてしまうために、人間はこの「癖」から中々抜け出すことができません。

統計学者のウィリアム・フェラーは「グループ分けの錯覚」の古典である、あるケースについて研究しました。

1940年にロンドン南部がドイツ空軍による激しい爆撃に晒されましたが、ある地域が焦土と化した一方で無傷の地域もいくつかありました。

爆弾の配分はある論理にしたがっているように見えましたので、無傷の地域にはドイツ軍のスパイが住んでいるのだろうと憶測する人までいました。

ドイツがロンドンを爆撃した際の戦略にあった命令をつかむかどうかは、生きるか死ぬかの問題になりましたが、次に標的になる地域を予測して確実な避難をはかるための論理は出尽くしていました。

フェラーは実際に標的になった地域に目をつけて直ちに、標的の決め方を理解しました。

フェラーは、対象となった全区域を各面積t=1/4km2なるN=576の小区画に分割して、爆弾がk個命中した区画の数Nkを以下のように記録しました。

命中総数T=ΣkNk=537、平均はλt=T/N=0.9323となり、ポアソン分布(注1)が驚くほど合致したために、爆弾投下がランダムであると証明しました。(注1ポアソン分布

このように私達の頭の中にある規則性の錯覚によって単なる偶然の一致を前にしても、なんとな納得のいく根拠を見つけようとしてしまいます。

複数回答のテストで繰り返し3を選んできた場合に、また新しい問題で3の答えが正しいようにみえても3を気軽に選ぶことができません。

このような性質によって正しさを見誤まってしまい、不幸を招く例は株の暴落やFXの損失などの投資案件や、流行病やワクチン接種に対する過剰反応など枚挙にいとまがありません。

「幸運は気まぐれだが、不幸はこっちをよく見ている」

という私達の心理が行動に与える影響について知っておくことは冷静に物事を判断するのに役立つかもしれません。

奇跡のような偶然に出会ってもどうか落ち着いて。

最後までお読みいただきありがとうございました。


#行動経済学 #心理学 #人文社会科学 #学び #最近学んだこと


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