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お互い様が成り立たない世を生きる。

先日のこと、ニュースで「お子持ち様」という言葉を目にする。

子どもを持つ職場のスタッフが子どもの急病やイベントで休むことに対し、残されたスタッフの仕事が増えたりすることや、子持ちのみが優遇される制度などその不公平感からSNSで誕生した言葉らしい。

ウチも急なスタッフの休みに対してはスタッフの急な休みのお詫びと予約変更の電話をかけることが必要となり、また入院患者の対応を他のスタッフが行うため、その負担は大きい。

たしかにお互いさまなのではあるが、こうした「予定外の急な休み」は圧倒的に子持ちに多く、たしかに多少の不公平感はあるのかもしれない。

記事では残されて、仕事が増えたスタッフに手当を出したり、特別な休みを与えたりと不公平感をなくす対応を職場がしていく必要があるのではないかという論調で書かれていたが、ちょっとそれも違うような気がする。

風邪を引いて休むのは当たり前だし、子供や家族の病気で本人の力の及ばないところで休まざる得ないケースも仕方がない。
それは残されたスタッフもよくわかっていると思う。

ただ「お子持ち様」と揶揄されるのは、やはり休む側の「休むのはしょうがない、私が悪いわけじゃない、子育てしながら働いているのだからこれは当然の権利である」という態度が透けて見えているからだと思う。

更に、仕事が増えた側のスタッフも「Give & Take」を求めてしまい、自分のGiveに対して、同じ量のTakeが返ってこないと感じてしまうことが要因ではないだろうか。

休むのは当然、当たり前の権利、お互いさまと考えているスタッフからは絶対に同等のTakeは返ってこない。
なので職場からTakeを返してという論理となる。

「誰だってそういうことはある、お互い様でしょう」

ただ昨今、この「お互い様でしょう」は成り立たなくなっているように思う。結婚観や出産、仕事に対する考え方は多様で、女性や男性が必ずしも結婚して子供を作るという世の中ではなくなってきているし、同じ仕事をしているようであっても、仕事の量や仕事へのモチベーションもかなり違うだろう。

価値観や考え方の多様化は「お互い様」を成り立たせない。

お互いはまったくお互いではないのだから。

ではやはりこの「take」の部分は組織や職場が提供をしなければいけないのか。

いや、もう「Give & Take」自体が成り立たない世の中なのだ。

必要なのは「Give & Give」なのだと思う。

自分ができることをできるときにGiveし続ける。
見返りは求めない。
そうすることで「信用」が溜まっていく。

自分がピンチのときや応援してもらいたいときにその貯めた「信用」の貯金が生きてくる。
信用は複利のように積み上がっていき、それは評価にもつながっていく。
このような精神が根付いた会社や組織は生産性が高くなるのは必然であろう。

Give & Giveがもたらす信用の経済圏はこれからの時代の主流となっていくのだと私は思う。

しかしながら「Give & Take」という考え方は私たちの身体に深く根付いており、そこから抜け出すことは考えているより容易ではない。

日本全体がそんなGive空気に満たされる世を期待している。

#働き方 #仕事論 #お子持ち様 #人生論 #日記



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