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日本人で在ること。 ~ アマテラスの暗号から読み解く日本論 ~

4月1日。
久しぶりにキーボードに向かっている。

12月の試験を終えて、ベタに燃え尽き症候群となった私はしばらくPCの前に座ることをやめて、読書やドラマの視聴に勤しんでいた。

資格をとったからといってこの先の未来が決まったわけではない。むしろ選択肢が増えたことによって悩みも増えてしまった。
その思考から逃れるように、ひたすらインプットに費やした日々であった。

先日、いつものように目的もなく本屋をぶらついていると「ダ・ヴィンチ・コードを凌ぐ!」というポップとともに伊勢谷 武の著書「アマテラスの暗号 上・下巻」の文庫本が積まれていた。

ダン・ブラウン、都市伝説好きの私として、このポップを見たからには、見過ごすわけにはいかない。私は本を手に取り家につくとすぐに読み始めた。

物語は日本の古代史と世界の古代史、文献を紐解きながら、神道と宗教、そして日本人の歴史の謎を紐解く、ミステリー小説であるが、小説の中に数多ある実際の資料や写真からノンフィクションとフィクションを交差させながら、作者と物語の主人公がたどり着く「歴史の考察」は、にわかには否定することができない、見事なものである。

今世界は混沌としている。

横に目を向ければ、世界は戦争で溢れている。

誰もが自分の信じる「正義」と「神」が正しいと、正しさをぶつけ合うから争いが起こる。

八百万の神、生きとし生ける自然すべてのものに神が宿り、その恵みに感謝し、生きる私達日本人の心には伝統的に受け継がれてきた「神道」の道徳感が備わっている。

日々の生活の中で様々な恵みを与えてくれる太陽、大地、山、森、川、そして海、そこに潜む絶大な力に対して生まれてくる感謝の気持と畏敬の念。その気持ちは、やがてそれらに宿る神への信仰へと変化していく。

アマテラスの暗号 上巻 P116 より引用

作中からの引用であるが、神道は他の宗教のように論理の上に成り立っているのではなく、心の上に成り立っているといえる。
そのため神道には明示的な真理も、善悪も、正義も悪も、罪も罰も、業もない。

日本人が日々の生活のなかで、なんとなく心のどこかに感じている〝清く〟〝正しく〟〝美しく〟といった道徳的な美学があるのみなのである。

しかしながら今の日本人はどうであろうか。

Xなどの炎上やバッシングを見ているとこの美学とはほど遠いところに在るように思う。

これも作中からの引用であるが、歴史学者であるトインビー氏は「これまで世界の歴史のなかで、十二歳までに自民族の神話を教えることをやめた民族は、すべて百年以内に消滅した」と言った。

今日のこの結果も戦後、日本を民主化し、従順な下僕としたアメリカをはじめとした世界の強国の思惑通りだったのか、都市伝説では「愚民化政策」と検索すれば、この辺の話は山程出てくる。

作者はこの危機感により、この作品を書いたという。

物語はミステリー小説として、十分楽しめるものでもあるが、読後に私に「日本人の在り方」を問いかける。

「いただきます」

手を合わせ、万物の神の恵みに感謝する。
この心が残っている限り、日本人は立ち戻れると私は思う。

清く、正しく、美しい日本人に。

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