見出し画像

「君たちはどう生きるのか」という思考

もう数年前から進化型組織作りについてやれやこれややっているけど、なかなか皆の意識が変わらない。
意識を変えるのは時間がかかるというが、こびりついた生き方やバイアスからどうやって抜け出せばよいのか、頭を悩ませている。

進化型組織とは一人ひとりが現場の変化を察し、自分の頭で考え、意思決定を行い、時代の変化に合わせながら適応していくスタッフ自律型組織構造を指すが、ここで大切なのは「正解がない」ということ、つまり責任の重さも自分にかかってくることになる。

もちろん、企業風土や組織理念という最低限の枠組みはあり、最終的には上司である私がスタッフを信頼した上で、その責任を取るというスタンスではあるが、これがなかなか理解してもらえない。

というのも、私たちはずっとこれまで管理型教育を受けてきている。特に私の部署は体育会系が多く、学生時代にスポーツ系部活に所属していたものがほとんどのためなおさらである。

白も黒に変わる世界、絶対的な権力者が正解を握っている世界だ。
その世界では自分たちに与えられる自由はほとんどないが、絶対的な答えが存在する。慣れてしまえば自分で考えることもしなくてよいし、間違ったらその「答え」を用意したもののせいにすればよい。
そうやって最終的な責任を押し付けて、自分を守る、そんな思考を知らず知らうにうちに身に着けている。

政治に対する国民のスタンスにしても同様のことがいえるだろう。
政治家がだらしないから、
官僚が腐っているから、
私たちの生活が良くならないのは政治がよくないからだと、どこかで自分の人生に対する責任すらなすりつけてしまっている。

本当にそれで幸せになれるのだろうか。

少しずつであるが、教育現場もそのことに気づいているし、部活やスポーツ教育のあり方もここ数年で随分と変わってきた。
変わっていないのは今日本の経済を支えている私たち世代の思考なんだと思う。

人はみんな違う思考を持っている
だから共感力をもとう
他人はどう考えるのかを考えよう
多種多様な考え方を持った人を相手にしている
論理を超えた思考を持とう
正解は1つではない、絶対的な答えなんてない
恐れず、自分の意見をだそう、そのために対話がある
人ではなく自分がどうしたいのか、主語を「私」にしよう

ここ数年、スタッフに言い続けてきたことの一部だが、スタッフの働き方調査のアンケート結果をみるとまだまだスタッフの思考の変化はみられない。

「みんなが定時に帰れて、1時間休憩できる環境を作ってください。」

これはアンケートの回答の一部であるが、まず主語が「みんなが」となっているのが気になる。
みんなは本当に定時にあがりたいのだろうか?

みんなが帰ったあとゆっくり自分のペースで働きたい人もいるのでは?(実際にいる)
早く帰りたい人は早く帰っている。
帰れてないのはきっとこれを書いた人だ。
なぜなら帰れないのは、「帰れない環境にある」と思っているからだ。

では全員が帰れる環境はどのように作ればよい?
一番仕事が遅い人に合わせれば良いのか?
それだときっと生産性は落ちるし、仕事が早い人にとってはたいくつな時間が増えるだけである。

環境は全員に合わせることはできない。
最低限の守らなければいけないラインがある。

では1時間の休憩は?

これについてもすでに過去に12時から14時の間であれば好きに1時間とって良いと明言しているのだ。
デフォルトの設定は決まっているので、大半はデフォルトの設定どおりに休憩に入る。
ほとんどの人はAMの仕事が遅くなっても、午後のスタート時間は一緒にはじめている。

それは誰かがそう命令したわけではない。
1時間休憩してないのは「自分で決めた」ことである。

もちろん同調圧力的空気はあるだろう。大半がその時間に始めるし、始まった空気の中休んでいるのも落ち着かないのもわかる。
だたこれは社会的なバイアスが大きい、人は群れを外れて行動するのが苦手であり、人と違うことはしたくないものだ。

しかし、休みたいのなら休めばよい。その権利を行使しないのは自分だということに気づいてほしい。

自分の幸せは自分の幸せでしかない。
だったら自分で作るしかない。

どうしたら伝わるのか、色々考えているうちに1つの言葉が目の前にあった。

「君たちはどう生きるか」

結局これにつきる。

この問を常に自分に投げかけ、答え続けるしかないのではないだろうか

進化型組織では意思決定の基準が外的なものから内的なものに移行する。

自分の内面に照らして正しいかどうか、つまり「この判断は正しそうか?」「私は自分に正直になっているか?」「自分がなりたいと思っている理想の人物は同じように考えるだろうか?」「私はこの世界の役に立っているだろうか?」という問いかけを重視し、意思決定を行うのだ。

自己の内面の正しさを求める旅を続けると、自分が何者で、人生の目的は何かという内省に駆り立てられる。

それは「自分はどう生きるのか」を問い続けることであり、その答えは変化を許容し、自己認識を促す。
   
それぞれが自分の生き方を模索し、組織理念の中でそれに合った働き方を表現できるよう組織はサポートするだけである。

「混沌とした時代に最も危険なのは、混沌そのものではなく昨日と同じ論理で行動することだ」 
ピーター・ドラッガー

私自身も含めて、まだまだ時間を要する課題であるが、それがもたらす個人と組織の成長は計り知れないと思う。

#仕事論 #組織づくり #思考法 #働き方

この記事が参加している募集

仕事について話そう

サポートいただけたら今後の活動の励みになります。 頂いたサポートはnoteでの執筆活動費、参考図書の購入に使わせていただきます。