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自然に学ぶ。

圧倒的な自然を前にするとヒトは為す術がありません。
それでも自然に脅威に耐えながら、知恵と進化によりヒトは自然と共生するまでに至りましたが、ヒトの自然に対する仕打ちは見過ごせないものがあります。

先進国に生まれ、文明社会に生きてきて、今更キレイ事を言うつもりはありませんが、それでも自然が私達に寛容でいてくれて、様々な恩恵を与えてくれ、私達を生かしてくれるものと気付いたら、自分が自然に対して与えられることは何かを考え行動しなければなりません。

自然の効用

自然は我々に健康をもたらしてくれ、そして私達は自然と共に歩むよう進化してきました。

自然の中で過ごすことや自然の風景を眺めるとヒトはと副交感神経が優位に働き、血中のストレスホルモンとして知られるコルチゾール濃度が下がます。

また、NK細胞と言われるナチョラルキラー細胞(免疫細胞)が増えることが示されています。
これらは樹木や土壌から発せられる匂いや土壌細菌により活性化されるといわれており、幸福感と関連のあるセロトニンの分泌も促すとされています。
自然が発する音は心拍数を下げ、血圧を下げる効果があります。

テクノロジーから離れ、自然の中で過ごすことはヒトの注意力や記憶力といった脳の認知能力回復させ、創造性を高めることもわかっています。

このように、ヒトの健康に関する自然の効用は枚挙にいとまがありません。

フローレンス・ウィリアムス著「NATURE-FIX-自然が最高の脳をつくる―最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方-」には自然が身体に及ぼす様々な作用について科学的に考察したもので、本書によれば1ヶ月に5時間、1日5分、緑に触れ、緑を眺める時間があれば最大の効果を得られるとされています。

なかなか仕事をしている平日にゆっくりと緑を眺めることはできませんが、それでも家の中で様々な観葉植物を育て、家造りの際には小さいながらも庭を作り、樹木を植えました。

幸い、今の職場も古くからある神社の向かいにあり、私のいるリハビリ室は神社囲む樹木が織りなす四季折々の姿を借景できるように作られているため、仕事中も緑を眺めることができます。

園芸、観葉植物、庭作り、公園散歩、ハイキング、登山、川辺、海辺の散歩など、日常に少しだけ「自然」を取りいれることはそんなに難しいことではないと思います。

自然に学ぶ

私は夏はサーフィン、冬はスキーともともと外遊びが好きなのですが、自分でコントロールできない、自然のダイナミクスの中に身を浸し、遊んでいると、自然はときに厳しく、ときに包み込むように私自身の大きさを知らせます。

圧倒的な自然の前には自分の存在や悩みや不安などはとてもちっぽけなものであり、意味のないものに感じます。
力任せにコントロールすることなんて不可能であり、自然に身をまかせながら流れに逆らわず、流れを見つけなが進む方がうまくいくことの方が多いことにも気づきます。

このように自然に対して畏怖の念を抱くことでヒトは愛情深く、謙虚になり、思いやり、共感が高まるともいわれます。

人類は大自然の圧倒的な力に直面し、危機に陥るたびに、互いを助け合って絆を強め、協力しながら多くの困難を乗り越えて、ここまで繁栄することができました。
大きな災害の前にヒトは己の無力さを知ると同時にヒトのありがたみや思いやりも同時に知ることができます。

自然は私達が生きるために必要な空気、水、光、知恵を与え、そして生きとし生けるものすべてが互いに依存しながら循環し、生かし合っていることを教えてくれます。

そのことに気づくことができると、私は隣人に対して少しだけ優しい気持ちで接することができます。

自然と遊ぶ 〜 サーフィンに学ぶ人生 〜

波にもまれながら、必死でバランスを保ち、時には厳しく拒まれ、ときには優しく包まれる。
一時も同じ波は来ない、風向き、天候、干潮、常に変化しているの中で、真ん中を保ち、安定を得る。
波が来るのをじっとまち、良い波が来たら波に同調するようにタイミングを合わせる。
タイミングが合えば板は走り出し、安定する。
波のスピードを殺さないように、力まず、美しく、身体の重心を移動させながら板をコントロールする。

よくサーフィンは人生に例えられますが、このようにサーフィンの動きを書いてみると、本当に人生の波にうまく乗るために必要なことも一緒のように思います。

私自身、私生活では「待つ」ということがとても苦手なのですが、サーフィンをしている間はほとんど「待つ」時間で、がむしゃらに波を追いかけてもただ疲れるだけで、ほとんど乗れません。
波をうまく見極め、人よりちょっとだけ先に動き出すことで、タイミングよく良い波に当たります。

ときにはじっと機会を「待つ」こと。
サーフィンをやって学んだことの1つです。

波があるからサーフィンは楽しい。
人生も波があるから楽しいのだと思います。

険しい山へ登る、冬の雪山でキャンプする、台風に海へ向かう、北極点を単独で目指す。
自然と遊ぶことはときに命がけです。
一見、やらない人から見たら、わざわざそんなリスクを負い、過酷なことをすることの意味はわからないでしょう。

私の好きな作者の一人、冒険家の角幡唯介さんの著書「極夜行」にこんな記述があります。

「常識や科学知識や因習や法律やテクノロジー等々の諸要素によって網の目のごとく構成されている目に見えない現人間界のシステムの外側に飛び出すこと、それこそが冒険と呼ばれる行為の本質である。〜中略〜 探検はシステムの内側にいてわからなくなった本来の意味を見つけようとする行為である。」
角幡 唯介「極夜行」より引用

自然と遊ぶことの本質はここにあるのだと思います。
あまりに便利で安全な世の中に慣れ、それがあたりまえの世界に生きているとその有り難さを感じることができません。
そしてそれが本当に自分にとって必要なものかどうかもわからなくなってしまいます。

そうした内側の世界から飛び出し、自分の身体と必要最低限の道具だけで、自然と向き合い、外側の世界の普遍性を経験することで、今の内側の幸せをより深く感じると共に、自分にとって本当に必要なものは何かということに気づけるようになるのだと思います。

まとめ

自然は人生に必要なことを教えてくれる。
自然を大切に、自然と共に、自然と生きる。


自然の恩恵を感じる本

自然の厳しさを知る本



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