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レールの外にいる人が救ってくれた

僕は若いころ、正解の人生というレールがあると思っていた。
おそらく、今でもそう思っている人は多いのではないかと思う。

そのレールというのは、いわゆる、学校の成績を上げて、いい高校、いい大学にいって、大きな会社に就職するとか公務員になって、定年まで勤め上げて、安定した人生を送るというもの。

今でも多くの人が、そのルートが正解であると思っていると確信するのは、子育てをしていると、子供の将来についての情報のほとんどが、受験に関することであるということだ。

子育て中の親にとって、子どもの成績と受験が関心ごとのほとんどを占めている。成績が良ければ安心し、成績が悪ければ不安になる。
僕が子どもだったころと何も変わっていない。もう、40年も経っているというのにだ。

レールの中にいるとその外側の世界が見えない

僕自身も、その真っただ中で育った。
中学に入ると、学校の成績が親の最大の関心ごとになった。
そして、自分自身でも、少しでもいい高校、少しでもいい大学に行く事がいい事であると思うようになった。

もちろん、違和感はあった。
しかし、周りの人間のほとんどがそういう価値観を持っていると、それが当たり前に思えてくるのだ。

高校に行けば、同じような価値観が支配している。
大学受験をするのが当たり前で、それ以外の道は考えられなかった。
それからあとは、みんな同じような価値観を持っていた。
大企業の子会社に就職してからもからも同じだった。

学歴で比べられるされる。
年収で比べられる。
会社のネームバリューで比べられる。
(子会社は馬鹿にされているような感がある)
役職で比べられる。

このレール上では、いろいろな尺度でランク付けされる。
それが常態化しているように感じる。
そして、僕自身もその感覚に染められていた。

僕はずっとそれに対して違和感を感じていたのだけれど、このレールに乗っているのが正しいことなんだと自分に思い込ませるようなことをしていたように思う。
しかし、その違和感が耐え難いような状況になって、うつ状態に陥ったのだ。

趣味を通じて知り合った人たちが救ってくれた

僕には幸いにも、打ち込める趣味があった。
トライアスロンだ。

トライアスロンを通じて、実に様々な人たちと交流する機会を得ることになった。

そこにはもちろん、いわゆる正解のレールを歩いていない人たちがいた。
学業とか学歴に縛られず、最初からそこに価値を見出さず、本当に自由にやりたいことを追求している人たちがいた。

こういう人たちとは、とてもフラットな人間関係を構築することができた。僕は、彼らといると素直な自分でいることができたのだ。人と比べないでいい、変な尺度で自分の位置を規定しなくていい。そういう関係性を築くということがとても大切であると教えられたのだ。

僕を引きずり出してくれた人

そんなとても窮屈なレールの上から、僕を引きずり出してくれた人がいる。
その人も、趣味のトライアスロンを通じて知り合った人。
そして、その後も人生を共にすることになる僕の妻だ。

人生の一番ピンチの時に、彼女は僕の前に現れて、僕をレールの上から引きずりおろしてくれたのだ。

彼女は学校の成績とか、学歴とか、そういうものには全く興味がないような人だった。しかし、自分が好きなこと、興味を持ったことにはとことん突っ込んでく。そんな、エネルギーを持っていた。

僕が親から教え込まれていた、「そんな生き方をしてはいけない」という典型的な生き方をしていた。それでも、ちゃんと生きていた。しかも、好きなことを追求していた。

学校の成績や学歴が大事だと教えこまれていた僕にとっては、彼女のような生き方はあってはならない生き方だったのだ。それが僕にはとても新鮮だった。

彼女との出会いが、僕にいろいろな視点をもたらす結果になった。

僕とは何もかもが違う。
生い立ちも価値観も、いろいろなものが違い過ぎる。
僕がそれまでであった人たちと、何もかも違っていた。

世の中にはこんな人もいるんだ~。
という新鮮な驚きがあった。

同じレールの上にいる人には見えない世界

結局、同じレールの上にいる人には見えない世界が、レールに乗っていない人には見えているのだ。

もし、広い視野を得たいと思うのであれば、自分とは違う世界で生きている人と話をすることが大切だと思う。

同じ会社にいる人には、同じ世界しか見えない。
でも、違う会社にいる人には、違う世界が見えている。

同じ業界、同じ価値観、同じ国にいると同じ景色しか見えないが、違う業界、違う価値観、違う国にいる人からは、違う景色が見えている。

だから、いろいろな人に会う。
いつもとは違う場所に出かけて行って、違う人たちに会うことは、とても重要なことなのだ。

そういう交流の中から、今までは見えなかったことが見えてくるし、広い視野、別角度からの視点を得ることができる。

行き詰まりを感じた時に、そういう交流が解決の糸口を示してくれることがあるのだ。

(つづく)

自分がうつ状態に陥って、そこから這い上がってくる過程で考えたことなどを書いています。自分の思考を記録しておくことと、同じような苦しみを抱えている人の参考になればうれしいです。フォローとスキと、できればサポートをよろしくお願いします!