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あわよくばで「欲が出ました」ヨシタケシンスケ

『情熱大陸』で初めて拝見したその人は、こう言うと何だが「情熱」という言葉からは程遠い存在に見えた。
長身なのにすごく猫背で、頭は坊主、書いているスケッチはとっても薄くて小さい。
家では執筆活動よりも2人の息子に振り回される気弱なパパという感じでよくえ繊細な人に見えた。
「りんごかもしれない」や「もうぬげない」で有名な絵本作家のヨシタケシンスケさんだ。
絵本の創作活動についても次男のズボンにおしっこの染みがついていたのが気になったから「おしっこちょっぴりもれたろう」というものを描いたと話していて、「これを書きたい!」という創作意欲が強いというよりも、「こういうのおもしろいかな」という種をメモ帳などに書いていて、それが膨らんで描いてみたという感じで出版社の打ち合わせでも「どうです? これ? 面白いですかね?」と自信なさげなように見えた。
そんなヨシタケさんが2作目のエッセイで『欲が出ました』とタイトルで宣言している。
これは気になると思い読んでみた所『自分の代わりに嫁にトイレットペーパーを使いすぎだと言ってくれる宇宙人』『どんな服を着ててもニャーウ(似合う)と言ってくれる猫』『舌を通るだけで寝癖が治る大きなブラシが天井にぶら下がっている部屋』が欲しいという内容にズッコケそうになりながらも気になる一文があった。

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