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心はひきこもったまま。不登校を経験した私が巡り合ったもの

 ピースボートのスタッフとしてこれまで数十カ国への船旅を経験し、現在はひきこもり女子会の開催などにも携わっている恩田夏絵さん。幅広く活動する恩田さんも、小学校2年生で不登校になり、その後はひきこもりを経験、自傷行為をしていた時期もあると言います。恩田さんは不登校・ひきこもりのその後をどのように生きてきたのか。恩田さんと10年の付き合いがある石井志昂・本紙編集長が、その半生を追いました(※写真は恩田夏絵さん)。

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 「着物は日本の文化ですが、『赤は縁起がよい色』というのはアジア共通です。日本のお正月文化を楽しんでもらいたいと思い、『赤』を指し色にして文化の交差点をテーマにコーディネートしてみました」。写真はバリ島に向けて航行する船の上で撮った一枚。選んだ着物のテーマを、恩田夏絵さんはそう説明してくれました。大胆な柄の着物にインパクトのある小物を合わせるなど、なかなかの着こなし上手です。

 そんなおしゃれな恩田さんの愛称は「ブイちゃん」。見た目がわりと派手な人に見え「ブイブイ言わせていそう」という印象からついたあだ名です。私が出会ったのは10年前、これまで何度も取材をし、いっしょに仕事をさせてもらいましたが「納得のあだ名だな」と感じています。

 「いわゆるひきこもりのイメージとはちがうな」と思われそうですが、こんなもんじゃありません。職場は世界一周の船旅でおなじみの「ピースボート」です。自身は「おうちが好きだし新しい場所へ行くのはしんどい」と語っていますが、仕事で旅した国々は数十カ国。これまで地球5周分の船旅をしてきました。

 ちなみに巡り巡った都市のうち、好きな地域のひとつと言っていたのが「ドバイ」。理由は「ドバイという街の持つダイナミックさが、これまで訪れた中東の地域とはまたちがった印象だったから」。あんなにも高層ビルが立ちならび、未来都市とも言われるところが好きだなんて、いよいよひきこもりとは無縁のように感じられるかもしれません。ところがブイちゃんも、ひきこもり経験者なんです。その半生を紹介します。

小2で不登校 ひきこもりに

 ひきこもりのきっかけは不登校でした。

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