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【あれこれ】ロックマン&ゼルダ


連載3人目はメンバーの馬場貴也さんです。不登校経験者の彼に、当時から好きだったゲームを題材に、文章を書いてもらいました。






馬場貴也のフィクションについて感じること

~『ロックマンエグゼ』『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』編~


 みなさんはじめまして。今回より不登校ラボ月間連載を始めます、ラボメンバーの馬場貴也と言います。
 僕はアメリカのシカゴに2歳から9歳まで住んでいて、そこでは自然環境が豊かで一緒に遊べる友だちも多く、楽しい日々を過ごしていました。しかし日本に帰国した後、環境が大きく変わったことでカルチャーショックを受け、同級生や先生からの暴行や言葉による暴力などもあり、小学4年生の頃に不登校になりました。その後も中学生から高校生の間、断続的に不登校を経験して体や心を崩し、適応障害、不安障害にかかりました。
 そんな学生時代、特撮やアニメ、映画、漫画、ゲームなどが心の支えとなっていました。今でもそういったフィクションを体感することが自分の人生の生きがいとなっています。
 今回はその中から、最近やったゲームを紹介していきたいと思います。紹介するゲームソフトは今年発売された『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』(以下、『アドバンスドコレクション』)、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(以下、『ティアキン』)です。

 『アドバンスドコレクション』は、過去に発売された『ロックマンエグゼ』(以下『エグゼ』)シリーズの『1』~『6』までを収録しています。最初の『1』は、ゲームボーイアドバンスで2001年に発売され、従来の『ロックマン』シリーズが横スクロールアクションでゲームを進めていたのに対して、『エグゼ』は当時流行っていたカードバトルとアクションゲームを融合させ、限られたマスの中で敵と戦う「データアクションRPG」です。ネットワークが高度に発展した近未来を舞台に、小学生の主人公・光熱斗が人格を持ったプログラム「ネットナビ」の“ロックマン”と共に冒険を繰り広げる物語であり、それまでの『ロックマン』にはない斬新な設定とストーリーは数多くのプレイヤーを魅了しました。アニメや漫画でも長期間メディアミックスされ、当時プレイしていた僕ら20代~30代にとっては、今でも高い人気を誇るシリーズです。
 『エグゼ』は従来の『ロックマン』と比べ、各々のキャラクターを掘り下げる描写が強く、ストーリー性が強い話でしたが、今回『1』~『3』をプレイして特に印象に残ったのが『1』の終盤でロックマンの正体が明かされるシーンでした。熱斗には心臓病によって幼い頃に命を落とした双子の兄・光彩斗がいて、それが科学者である光兄弟の父親がプログラムとして蘇らせたのがロックマンということが明かされます。科学者である父親が死んだ息子をロボットとして蘇らせるというのは、『鉄腕アトム』でも描かれ、キャラクター設定やテーマが似ているということでアトムとロックマンはよく比較をされますが、その系譜を『エグゼ』で引き継いでやるのは度肝を抜かれました。
 ロックマンは、熱斗が自身の双子の兄だと知れば、自分を戦いに使ったりすることをためらってしまうと考えたため、その事実を『1』の終盤まで伏せていました。幼い頃は現実の世界で生きられなかったロックマンがネットナビとして弟を支えていたという事実が発覚し、それを聞いて熱斗はショックを受けますが、受け入れ、より強い絆で結ぶことになったこの2人の関係性は、子どもの頃プレイしていた時にはわからなかった感動を味わいました。この2人の関係性は『1』~『3』を経て強く掘り下げて描かれていて、まさに『エグゼ』というシリーズの大きな見所と言えるでしょう。

 もう1つ紹介するゲーム、『ティアキン』は2017年に発売された『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(以下、『BOW』)の続編です。広大な大自然が広がるハイラルという地上を舞台にオープンワールドを採用した圧倒的なクオリティだった『BOW』の続編ということで、発売前から大きな期待が寄せられましたが、今回も『BOW』に負けない密度でした。基本的なフィールドは『BOW』と変わりませんが、今回地上だけではなく、空と地底世界が舞台として追加され、マップが大きく拡張されました。この地上のマップを埋めていくだけでも10時間ほど消費したので、それに加え、空と地底のマップを全て埋めていくのだと数週間かかるでしょう。空を舞台にした過去作では『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』がありましたが、これまで以上によりフィールドを拡大して自由度を広げたと言えます。
 また今回主人公・リンクの特殊能力として遠く離れた物を持ち上げたり、物と物の付け外しができる「ウルトラハンド」や武器、盾にアイテムを付着させることで性能を向上させたり、特殊効果を発現させることが可能な「スクラビルド」などが追加されました。こういったクラフトを行うことでフィールド中の移動や戦闘がスムーズになり、どのクラフトをしていくかだけでも、無限に選択肢があります。これを自由に考えることができるのも『ティアキン』の楽しみの1つでしょう。
 今作のストーリーは、リンクの宿敵・ガノンドロフの力により、リンクは本来の力と右腕を失い、一緒にいたヒロインであるゼルダは崩れゆく城の中、拾い上げた謎の秘石と共に地底に消え去っていくという衝撃的な幕開けとなります。それぞれ離れ離れになり、リンクは空と地上、地底を駆けゼルダを探し、ゼルダは秘石の力で過去へタイムスリップします。リンクは各地を巡る中で、ハイラルにいる各種族の4人の仲間の助けを借り、それぞれ賢者として覚醒します。冒険を進める中で、リンクは過去にゼルダが体験したガノンドロフを封印するよう、奮闘する記憶「冒険の記憶」を見ます。やがて封印から目覚めたガノンドロフとリンクは最終的に一騎討ちします。
 このように各賢者の力を借りて冒険を進め、過去と現在を行き来するこの構成は64で発売した『ゼルダの伝説 時のオカリナ』から引き継いでいると言え、17年ぶりに『ゼルダの伝説』を代表する敵、ガノンドロフがラスボスとして登場したのも王道的と感じます。今作は、このように新しく導入した要素とこれまでのフォーマットを引き継いだ王道的なシナリオを上手く複合させながら、『BOW』以上にボリュームが多い一作を世に出したと言えるでしょう。
 さて、今回は2つのゲームについて紹介しましたが、今後も僕が体験したフィクションなどについて連載していきたいと思います。それでは、今日はここまで!





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