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ふたしき
2022年2月13日 16:13
ある日のことだ。 私はいつものように、広場の片隅に屋台を設置した。人の姿はまばらで、それぞれが思い思いに休日の昼下がりを楽しんでいる。 私が商品を陳列していると、高級そうな衣服を身にまとった、恰幅の良い男がやってきた。後ろをついて歩く使用人と思わしき青年は、気づかわし気に主人の額に浮かぶ汗をぬぐっている。 その日初めてのお客とあって、私は張り切って接客に臨んだ。「ようこそいらっしゃいまし