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ふたしきの小説

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「ものかき筋トレ」作品たちです。 どうぞ読んでやってくださいませませ。 (ㅅ˙³˙)オネガイダカラサ
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2021年9月の記事一覧

掌編小説(21)『クロミミとウォルナット』

掌編小説(21)『クロミミとウォルナット』

 風に吹かれた人形が、カタカタ音を立てました。
 パカっと開いた頭の蓋が、風の力で開いたり閉じたりを繰り返します。
 露天で売りに出されていた頃は、大きな飴を頭に入れられていましたが今は空っぽ。飴を失った人形は用無しとばかりに、道端に投げ捨てられてしまったのです。たまたまそこに生えていた、大きな胡桃の木の下に。

 偶然とは不思議なものです。それに、不思議であるからこそ偶然といえます。
 言い方を

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