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違いが、ふたりの幅を広げる。夫婦の危機から辿りついた新境地。

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夫婦やカップルの本音をシェアするコミュニティ「フタリノ」です!

今回は、新連載「ふうふのA面・B面」第2回のゲストである
松尾さんご夫妻のB面として、夫のリキさんにお話を伺いました。

ふうふのA面・B面」とは?
夫婦それぞれの視点から「ふたりの転機」について取材をするインタビュー企画。夫婦の人生の重要な局面での喜びや葛藤、決断の背景にはどんな想いがあったのかを、それぞれの視点から紐解いていきます。

▼妻 マナさんのA面はこちら

「ハイスペックで完璧な夫婦」と思われていたおふたりが長年抱えていた根深い問題。A面では、妻のマナさんが涙ながらに当時の葛藤や想い、夫婦第2章までの道のりについて語ってくださいました。

そして今回は夫(リキさん)視点で、夫婦のすれ違いの背景や、結婚10年目で気づいた価値観の違いの受け止め方。そしておふたりが実践してきた、常識にとらわれない「新しい家族の形」についてお届けします。

ぜひ最後までご覧ください。


彼女といると、人生の幅が広がるかもしれない。

ーーーリキさん、よろしくお願いします。
まず最初に、リキさんからみたマナさんはどんな存在でしょうか?

リキ:
僕にないものをたくさん持っている人です。
とてもピュアで、仕事もプライベートも妥協しない性格ですね。

大きい組織で働いていると、1人の意見や正論って通らない場合がありますが、それでも自分がこうだ! と思ったことは曲げないところもピュアだなと思います。

大人って、”これが社会だ”みたいに、自分の思いが届かなくても「そんなもんか」と折り合いをつけようとするじゃないですか。

でも彼女は、ある意味折り合いをつけるのが苦手で、白黒つけたいと思ってしまうが故に、悩んだり泣いたりするんですよ。その代わりに行動力もあるので、周りを巻き込んでいくのは上手だな、と近くにいて思います。

僕はすぐ行動するよりも、計画して自分の手の届く範囲からやっていくタイプですが、彼女と一緒にいることで、物理的にもいろんな場所に行ったり、色んな人に会えるなと感じています。

たぶんシェアハウスもマナとじゃなかったらできなかったかなと思っていて。なので割と最初の頃から「この人といると自分の人生の幅が広がるかもしれない」みたいな感覚はあったんですよ。

転職も、経産省から当時無名の中小企業にいくとなったときは、途中迷いもあったのですが、そのときも背中を押してくれました。自分にとって心地よいコンフォートゾーンにいようとすると、一石を投じてくれるんですよね(笑)

そうやってツッコんでくれるところは、僕にとったらめちゃくちゃ大切で、一緒にいて良くも悪くも飽きない存在です。千葉への移住も彼女と暮らしていなければ、なかったことだと思いますね。

結婚して10年経ち、一歩ずつ積み重ねて「家族」になってきた感覚があります。


年末に訪れた、夫婦の危機

ーーー年末の京都での夫婦の危機について、リキさんは当時どう感じられていたのでしょうか。

リキ:
実は、僕たちは喧嘩が多くて、ヒートアップするのも珍しくはなかったんです。いつもは僕が折れて、そんなに大ごとにはならないんですけど……。

でもその時は「あなたは私のことをどう思っているの?」と聞かれて「正直今はいっぱいいっぱいで、好きか嫌いかわからない」と僕から言ったんですよね。本音を言うと、急にそんな真正面から聞かれても……という感覚だったんですが「今はこれを言っておかなくちゃ」と無意識で感じていたんだと思います。

なぜ当時その言葉が出てきたのか、自分でもよくわからないのですが、今思うとあのとき気持ちを言えたからこそ、マナに当時の僕の気持ちが伝わって夫婦として変わるきっかけになれたので、言ってよかったなと思っています。


子どもが生まれてからの変化と、求めるものの違い

ーーー結婚されて10年ほど経ちますが、関係性の変化はありましたか?

リキ:
子どもが生まれてからは、お互いに自分の時間が全然なくなって、そのことが原因で喧嘩も増えました。

子どもが生まれる前と比べると、時間の濃度が濃くなったように感じます。
毎日目の前のことに必死な状態の中で、その頃から「夫婦関係の捉え方」にすれ違いが生まれてきました。

僕は、お互い忙しいし子どももいるから「一緒に生きていくチーム」みたいな感覚で、育児や家事を優先する分、ふたりの時間が減っていくのはある意味仕方ないと思っていました。

一方で彼女は、子どもがいたとしても、忙しくても「夫婦」や「恋人」であることを諦めたくない人。家族が増えても、ふたりの時間を減らしたくない気持ちが強かったんです。

そうすると、子どもが寝て自由時間が生まれたときに、すれ違いを実感することが多くて、喧嘩になったり……。

僕は、子どもが寝たら「ちょっと休憩しよう」と本を読もうとする。
でも彼女は、子どもが寝たら「30分でも1時間でもいいから、 ふたりの時間が欲しい」と思う。

そこで夫婦に求めるものや、お互いの時間の使い方についてギャップが生じて「何のために夫婦をやっているのか」「夫婦関係に何を求めているか」という内容で話し合うことが多かったですね。


気づかせてくれた、両親の言葉

ーーー年末当時の心境を教えてください。

リキ:
普段から喧嘩や話し合いの中で、「結婚した意味はあるの?」という深い話し合いをすることも多いのですが、今回はいつもより深刻に受け止めて、両親に「もうダメかもしれない」と伝えました。

すると両親から、「夫婦だからって、1〜100まで合うはずだと思っているから、合わないところが目立ってしまう。そもそも夫婦だって他人なんだから、全部合うわけじゃないよ」と言われたんです。

そして「今のあなたには、マナさん以上の人はおらへんで」とも言われて。そのとき素直に「他に一緒にいたいと思う人はいないな」と思いました。

彼女のご両親も「求めている愛の形とはちがうかもしれないけど、家事や育児を分担してくれたり、仕事を応援してくれることは、愛があるからこそじゃないのか」という話をしてくださったみたいです。

お互いの親のおかげで、冷静にお互いについて感謝しあえるようになったと思います。


夫婦それぞれの、愛の形

ーーーリキさんにとって「夫婦の愛」ってなんだと思われますか?

リキ:
僕にとっての夫婦は、相手がいることで新しい世界が見れる存在。必ずしも本当のことを言うことだけが愛ではない、と思っています。

一方で彼女は、家族であっても仕事であっても、白黒つけないと自分自身が苦しい人なんです。全力でぶつかることが、彼女の愛情表現だということは頭ではわかってるんですが、僕は、世の中は白黒つくものばかりではないと思っていて……。

ーーーお互いの価値観は、やはり生まれ育った環境によるものなのでしょうか?

リキ:
そうですね。お互い違うタイプの家庭で育ったと思っています。
彼女の家は「家族だからこそ真正面から向き合って、言いたいことは白黒つける。その結果傷ついたとしても、それが家族だ!」という考え方。

僕の家は、「縁があって一緒にいるんだから、みんなで楽しくやっていこう」という家族観がありました。本音をぶつけると傷つく場面もあるし、それで悩んできた過去が僕にはあったので、全部白黒つけるより、多少ゆるくてもいいんじゃないか、という価値観を持っていました。

でも今回の一件で改めて、縁あって出会って、お互い自立しているのに、それでも一緒にいるってすごいことだなと思いました。「自分がいることで少しでも相手がいい人生をおくれる」というのが夫婦としての理想なので、一緒にいるからには「ふたりで良かった」と思いたいし、思ってもらいたいですね。

結婚して10年。やっと違いを受け止められるようになった。

ーーーその後、今の心境を教えてください。

リキ:
今まで10年間ずっと「本当はお互いにとって一致した家族観があって、喧嘩をして伝えていけば、その家族観が出来上がるはずだ」とお互い信じて、ずっと喧嘩してたんだなと思います。

でも、年末の京都の出来事を経て「家族に求めるものは、やっぱり違うし、変わるものではない」という事実を受け入れられるようになったんじゃないかな、と。

そのときに、家族観は全然違うし、これから先も交わる気はしない。でもやっぱり心地いい部分があって一緒にいるわけだし、自分の世界は確実に広がっている。彼女以外に、自分に合う人っているのかな?と思ったんですよね。

そしてある意味、人間って違うからこそいいんじゃないかな、とも思えたんです。それをやっと身をもって体験できたことでいうと、今回の件は一緒にいて良かったなと改めて気づけたタイミングでした。

あと僕は、寝たら大抵のことは忘れられるんですけど、けっこう粘り強い方なんです(笑)

今まで喧嘩を投げ出したいときもあったし、心身ともにしんどい部分も多かったけど、粘り強く諦めずに向き合い続けてきたからこそ、今の心境に立てたのかなとも思います。

お互いが白黒をつけたいタイプだったとしたら、すぐ関係性は終わってる気もするし、僕みたいに切り込まないタイプだったら、喧嘩は起きないかもしれないけれど、考え方がここまで変わることもなかった。そういう意味でもそれぞれ違いがあって良かったなと思いますね。

ーーー以前は喧嘩も多かったということでしたが、ふたりの関係性に変化はありましたか?

リキ:
お互いの考えを受け入れるようになって、喧嘩はかなり減りました。僕から怒ることはほとんどなくて、彼女が機嫌が悪くなったり、怒ることが多かったんですが、最近はイライラしてる姿も減った感じがしますね。それは我慢してもらってるのかもしれないですが……。

喧嘩が減った原因としては、千葉に引っ越してきたことで、僕が家族と顔を合わせる時間が今まで以上に減ってしまっていて。片道通勤に2時間半かかるので、平日は朝はやく僕は出ていって夜遅く帰ってくることがしょっちゅうなんです。そういう意味で喧嘩も減ったのかもしれないですね。

ただ、過ごす時間が減った割に仕事の相談にのることは多いんですよ。僕も仕事は好きなんで、話すことは楽しいし、それでマナが喜んでくれる姿をみると、嬉しくもなるし……。なんだかいい循環だなと思っています。


しんどいけど、ありがたい。

ーーー改めて、力さんにとって、マナさんはどんな存在でしょうか?

リキ:
一言で言うと「しんどいけど、ありがたい」存在です。

喧嘩がなかったらもっと楽だろうけど、喧嘩するからこそマンネリにならないし、常に刺激をくれる。

逆に、僕は彼女にないものを持っていると思うので、”似てないもの同士”な夫婦かもしれません。

でも相手がいるおかげで成長できたり、いろんな経験ができる良いパートナーだなと僕は思ってます。

似たもの同士だったら楽なのかなと思ったりもしますが、家族が増えて環境が変わってもお互いに足りないところをカバーし合えているので、お互い違っていて良かったなと思いますね。

あとは、ぶつかったからこそ見えてくることも多いなと思っていて。例えば、もっと価値観が似ている人と結婚したり、結婚せずに自分1人でいたらもっと楽だろうけど、この環境だからこそ、夫婦で人生の次のステージに進めているなと思います。

常に向き合うことはしんどいですが、今の自分は恵まれているなと思うし、改めて一緒にいれくれてありがとうと伝えたいですね。


ふたりだからこそ出来ることを、社会に還元していきたい

ーーーおふたりの今後のビジョンをぜひ教えてください。

リキ:
今は30代でそれぞれの組織で子どももいて……と慌ただしい日々を過ごしていますが、これから子どもも手が離れつつある年なので、少しずつ楽になっていくと思っています。

40代になったら、次は社会全体に働きかけるようなことをしたいし、発信もしていきたい。仕事の面を含めパートナーとしても、ふたりが一緒にいる意味がさらに強化されたらいいなと思っています。 

社会に発信していくこととしては、つい最近までやっていたシェアハウスも同じ意味合いでやっていたんですよ。

ーーー具体的にどんな思いで運営されていたのでしょうか?

リキ:
やっぱり子どもをシェアハウスで育てている人って、あまり聞かないんです。

全員がやることは難しいかもしれないですけど、実際にやってみるとすごく合理的なやり方だと感じました。共働きの夫婦が子どもを育てる場合、近くに頼れる両親がいなかったら、無理ゲーというか、めちゃくちゃしんどいんですよ。多分それは僕らだけじゃなくて、みんなそのはずなんですよね。

だから子どもを育てたいと思っても、なかなかハードルが高い。実際、出生率が下がってるけど、それも今の社会だと当たり前だと思うんです。

だけどシェアハウスで子育てをしてみると、頼れる身内が近くにいなくてもシェアメイトが代わりにお迎えに行ってくれたり、たまに日中遊んでくれたり……。もうそれだけでめちゃくちゃ助かるし、全然ありじゃない? と思うんですよ。

世の中ってまだまだ「子どもは自分たちだけで育てないといけない」とか「家族の血が繋がってない人と一緒に住むのってどういうこと?」っていう風潮があるじゃないですか。

僕らはふたりとも、そういう固定概念や常識に対して違和感を持っているので、ひとつの事例として、新しい家族の形やシェアハウスで子育てした経験を発信していきたいと思っています。そうすることで、新しい価値観が広がって、もっとみんな生きやすい社会になったらいいなと思いますね。

これからは、「ふたりだけで出会ってよかった」というよりは、「ふたりだからこそできること」でもっと周りに還元していきたいです。


ーーーリキさん、ありがとうございました!



喧嘩が多くなったり、価値観が違えば、不安になるもの。
ちがう環境で育った2人が、ひとつの家族になることは、思った以上に簡単ではないのかもしれません。

「ぶつかり合うのはしんどいけれど、諦めずに向き合い続けたからこそ今の家族がある」
寡黙に見えるリキさんからの言葉は、聞けば聞くほど、マナさんに対する愛情とリスペクトに溢れていました。

華々しいキャリアにシェアハウスでの子育てなど、周りからみると絵に描いたような理想の夫婦のおふたり。しかし実際は、どのご夫婦も泣き笑い、喧嘩しながらも一歩一歩「家族」をつくり続けているのだと感じました。

おふたりが挑戦していく「新しい家族の形」が10年、20年後どうなのか、今からとても楽しみです。

▼マナさんのA面記事はこちら


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