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マイクロ法人2年目で年商3200万円。ビジネスに必須の「共に稼ぐ意識」とは

こんにちは、フリーランス広報ユニット「ふたり広報」です。

「ふたり広報」は2022年1月から企業や個人の広報サポートを開始し、このたび、2周年を迎えることができました。そこでチーム発足2周年の記念に、お世話になっている経営者の方や尊敬している広報の方をお招きして「ふたり広報2周年特別対談企画」を開催します。

広報や編集、ライティング、デザインなどに関する悩みは尽きません。本企画では、代表の多葉田愛(@aitabata22)と経営者や広報パーソンが対談。具体的なノウハウやキャリアなど、さまざまな課題解決に役立つ情報をお届けします。

第1弾となる今回お招きしたのは、「株式会社バレー」代表の夏野かおるさん(@Natsuno_Kaoru)。「テック領域×BtoBに特化したコンテンツ制作」で年商3200万円を達成した秘訣から、組織づくり、マイクロ法人運営のコツまで、リアルな体験談とともに語っていただきました。

夏野かおる
京都大学大学院 人間・環境学研究科 博士課程 指導認定退学。博士号取得に向けて研究活動を継続中。シナリオ執筆やゲーム制作、Webサイト運営などの知見を活かして大学院在学中に個人事業主として開業。コンテンツ制作・編集・運営補助、ディレクション等を幅広く請け負う。売上規模拡大により2021年に法人化。テック系領域コンテンツの制作を強みとするほか、動画制作やプロジェクトマネジメント等、幅広い案件を取り扱う。
𝕏:https://twitter.com/Natsuno_Kaoru
note:https://note.com/natsunok/

「お客様を稼がせる」年商3200万円達成の秘訣

株式会社バレーのコーポレートサイト(ふたり広報で制作を担当させていただきました!)

── 夏野さんは開業された2018年から売上を伸ばし続け、2022年には年商3200万を達成されています。業績を右肩上がりに成長させるために、意識していることはありますか?

▼夏野さんのnoteでは定期的に売上報告がされています👀(クリーンな経営をされている証拠ですね...!)

夏野さん:お客様が儲かっているかぎり、私は切られないということです。

まずは、お客様が儲かることが最優先。「長期的に仲良くやりましょう」という関係が築けるのは、売上に貢献してからだと考えています。

「ブランディングには貢献しているけど、売上には1円も直結していない記事制作」の仕事などは、お客様の業績が傾けばすぐに終了しますから。

── なるほど。夏野さんはPMやコンサルのようにビジネスの上流工程から携わっています。ライターや編集者の立場から、どのように上流のポジションを目指されたのでしょうか?

夏野さん:素晴らしいお客様との出会いが大きかったですね。まだそこまで実績がない時期にもかかわらず、お客様のほうから「よかったら事業戦略会議に参加しないか」と誘ってくださって。そのおかげで、目標や私に求められていることを明確に認識できました。

また、どんな依頼も「なんでもやります」と引き受けていましたね。最初は選ばずにいろいろな仕事をしているうちに、メディアのビジネスモデルやKPI、課題に対するアプローチ法など、上流工程に必要な知見が身についていきました。

── お客様から業務を巻き取る力に長けていますよね。

夏野さん:実は、学生時代にゲームやオリジナル商品を自分で企画・販売した経験があって。そのときに培った、お客様の目線で「今何が求められているか」を考える力が今に活きているのかなと。

たとえば、メディアから取材記事作成のお仕事を受けたら、良い記事を書くことだけにフォーカスしがちですよね。

私の場合はメディアと取材先の関係性まで考えて、その関係をさらに発展させられるように手土産を用意したり、次の商談につながるコミュニケーションをとったりします。

クライアントワークの本質は、「案件」をこなすことではありません。お仕事の先にあるお客様の真の目的を理解して、提案や実行することだと考えています。

── ライターや編集者のときからお客様目線を徹底していたのですね。年商3200万円の規模感を出すにあたり、編集者からPMなどへ職種やレイヤーを上げることも意識していましたか?

夏野さん:とても大事にしていました。メディア事業のなかで、スポンサーが付く記事広告ならまだしも、売上に直結しない記事制作に割り当てられる予算は極めて少ないですから。

いち外部ライターでいるかぎり、ビジネスの拡大には限界がある。ライターとしてお仕事を受注したとしても、アフィリエイトで売上をつくる戦略を提案したり、 ライターチームを抱えてエージェント的な役割を担ったりするなどが重要です。

▼こちらの記事も参考になります!

「感情より仕組み」失敗から学んだ組織づくりの方程式

フリーランスの方を随時募集されています

── 事業拡大するなかで、組織づくりに苦労したと伺いました。具体的に何が大変だったのでしょうか?

夏野さん:組織化することで、納期や品質の面でお客様に迷惑をかけないかが不安だったんです。

ただ、個人で抱えられる仕事量には限界があるので…。最悪、パートナーと連絡が取れなくなっても、自分でカバーできる範囲の業務から少しずつ任せていきました。

── noteに「パートナーに1人で取材を任せるまでに、複数のプロセスを経てもらう」と書いていましたよね。

夏野さん:はい。最初に質問がこないほどの細かいマニュアルを作成します。そのうえで、依頼するときは、たとえば作業手順が5つあったら1か月間は手順1だけをお願いするイメージです。

オンボーディングに時間をかけるメリットは、パートナーの負担が減り、価値観のすり合わせもできることです。「パートナーと急に連絡が取れなくなったら…」という不安も解消されます。

── オンボーディングの過程で、ライターさんの応募文やポートフォリオだけではわからない、細やかな気づかいや汲み取り力も見られそうですね。

夏野さん:そうですね。長期的にコミットしてくれている方からは「オンボーディングが丁寧で安心します」「期待に応えられるようがんばります」との声も挙がっているので、見極め期間を長くとって損はないのかなと。

スキルレベルにかかわらず「ミスマッチ」は必ずあります。船に片足だけ乗せてみて、合わなければ気楽に降りられる環境を用意しておくのも組織づくりのコツです。

── 組織を拡大するうえで、意識していることはありますか?

夏野さん:感情ではなく、「仕組み」でドライブする組織にすることです。とにかく全員が得する仕組みづくりに注力しています。

具体的には、私はよくパートナーさんの立場で「この対応をされたらモチベーションが下がるな」というケースを考えています。

売上に直結する仕事をしているのに、ボーナスがないとかですね。そういうときは成果報酬を上乗せして、売上の一部を還元しています。

どれだけ気が合う仲間でも、相手の気持ちだけを頼りにしていては、より良い条件を提示するクライアントがいたらすぐに離れてしまいますからね。

── 「仕組みドリブン」の組織づくりは私も意識しています。

夏野さん:あとは、「属人化はリスク」だと思って日々仕事をしています。1人抜けたらプロジェクトが止まる状態では、お客様に迷惑をかけかねません。

ですので、1人でできる業務でもなるべく分割して発注しています。リライト案件であれば、指示書の作成・リライト・図解や画像の作成・原稿チェック、ライターさんへの支払いで5分割にするなどですね。

最初は「いい感じによろしく」とパートナーさんにすべてお任せしていたんです。でも、それだとリスクやトラブルが増えると気づいてからは、仕事を小さく分けるスタイルに変えました。

── 丸投げはリスクが大きいですよね。私もプロジェクトチームは"1人多め"くらいで組んで、誰かが体調不良で動けなくても他のメンバーがフォローできる体制にしています。

「ロジカルに腰は低く」経営者にとって大切なこと

── 2021年7月に株式会社バレーを設立してから、もうすぐ3年が経ちます。年商3200万円を突破した経験を踏まえて、経営者に必要な資質は何だと考えますか?

夏野さん:「感情のコントロール」と「偉そうにしないこと」の2つだと感じています。

感情のコントロールとは、感情頼りの判断をするのではなく、「次はこう対策をしよう」とロジカルに考えて成長につなげるということ。たとえば発注していたライターさんと連絡が取れなくなったとしても、その人に怒りをぶつけても何も前進しませんよね。ひとつのアンチパターンとして、次につなげないと意味がない。

そのほか、決断にあたって人からアドバイスをもらっても、「最終的にGOを出したのは自分」であることを忘れてはいけません。最終的な判断を下す役割を担うのが、経営者ですからね。

── 私も似た意味で、自責思考は大切にしています。「偉そうにしないこと」が重要だと思う理由はなぜですか?

夏野さん:大きな売上があっても偉そうにしていたら、仕事や資金が尽きたときに誰も手を差し伸べてくれないからです。そもそも、誰もそんな人と一緒には働きたくないじゃないですか(笑)。

「会社が失敗しても雑草を食べて生きていきます!」くらいの、謙虚さと雑草魂がある自分を保つほうが健全だと思います。

── 私もチームのメンバーに、「すごい」と言われたときほどシビアに考えます。気を使わせていないかとか我慢させていないかとか…。

夏野さん:そうそう。ただ、どうしても立場的に持ち上げられやすい方は、仕事と無縁の趣味を始めるのがおすすめです。初心を忘れないためにも、初めての分野に挑戦して失敗をしたり、自分より若い方から教えてもらったりする機会に出向くのは大事だと思います。

── 夏野さんは常にエネルギッシュなイメージがあります。自分自身のモチベーションを維持するポイントはありますか?

夏野さん:「人生=仕事」にしないことです。仕事に捧げる人生だと、仕事で失敗したときに、自分の存在まで否定されたと勘違いしがちですからね。

私の場合、本業は研究。ビジネスは副業や趣味のような位置づけです。2つの軸があることで、研究でつまずいてもビジネスの成功がモチベーションになる。逆もしかりです。

「夢があるなら群れるな」マイクロ法人3年目のビジョンと信念

出張先のベルギーにて(撮影:夏野さん)

── 夏野さんが目指す未来や今後のビジョンについても教えてください。

夏野さん:私の本業は研究です。今のところビジネスは、あくまで学費のためというスタンス。

ただ、将来的には若い研究者のための奨学金制度をつくりたいと考えています。研究に必要な文献が一冊数万円することもざらなので。

── 素敵な夢ですね。そのための次のチャレンジは、どんなことでしょう?

夏野さん:弊社はクライアントワークが100%です。いざ契約を打ち切られたときのために、自社商品やサービスをつくりたいと考えています。

ただ、お客様にその話をしたら「そんなこと言わないで」と追加発注をいただいて。ありがたいことに、商品づくりは一旦頭の片隅に置いている状況です。

私ばかり喋り過ぎているので、あいさんが目指されていることも聞いてみたいです!

── ありがとうございます(笑)。私の仕事のモチベーションは、ユニークな人に出会うこと。

昔から人の才能が好きで、自分にはないものを持った人に惹かれるんですよね。だから、「あの人と仕事してみたい」と思ったときに、それに見合う会社や自分であり続けることを、仕事でも人生においても目指しています。

夏野さん:友達3人を平均すると自分になる、と言いますからね。相互作用で努力していると、周りからもたくさん刺激をもらえたり。うん、興味深いです。

── 最後に、マイクロ法人1年目の方やこれから法人化する予定の方にメッセージをお願いします。

夏野さん:では、あえて現実的なメッセージを。起業して叶えたい夢があるなら「人と群れるな」ということです。一緒にお酒を飲んだからといって、仕事を依頼したり、入金遅れを許したりしていると、そこから会社が傾いていきます。

会社は人情ではなく、お金でまわるものですから。会社として成し遂げたいことがあるなら、人と群れず、自分の意志を貫いてください。

── 本当におっしゃるとおりですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

🤝 ふたり広報
企画やデザイン、ライティングなど、様々なスキルを持つフリーランスがチームを組み、広報活動を支援。既存の広報の枠組みにとらわれない“新しい広報のカタチ”をご提案します。
https://futari-kouhou.com/

✍️Marble
インタビュー、編集、広報など、「書く」+αのスキル を混ぜ合わせて、持続的なフリーランスライフを実現するスクール「Marble」を運営しています。
https://marble-school.studio.site/

🎤Interviewer:多葉田愛
✍️Writer:園田りょうや
📝Editor:おのまり

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