013話:靴のオーダーメイドの経験から2
過去、大塚製靴でオーダーたことがありました。
こちらも前のNoteと同じく、「高価なオーダーなのだから、特別な一足を!」と、やらかしてしまった一足です。
おなじく、「ぼくのかんがえた、さいきょうのくつpart2」ですね。
スペックでいえば、
・🇩🇪カールフロイデンベルグ・アニリンA級カーフのデッドストック
・底付けは、大塚製靴が誇る坂井栄治さん
・ヴェヴェルドウェスト・10分仕立て
・縫い糸はステッチの狂いが許されない白を指定
でも、こちらは「しくじり」にはなりませんでした。
坂井さんから教えてもらったこと
当時、新橋にあった大塚製靴本社に併設されていたショップでは、坂井さんが店の中で作業をしていました。私は何日もひたすら通って、その様子をずっと眺めていて、様々なことを学ぶことができました。
底付けで大切なのは縫いではない
メンズ雑誌では、坂井さんの出し縫い(アウトソールを縫い付けるステッチ)の細やかさを取り上げていたことが多かったのです。
でも、真横で作業を眺めていたら、それ以外の仕込みが随所に見られました。たとえば、インソールに使う厚革をよく手で揉みこんでからセットすること。靴の甲革も手で揉みこんでいました。
革は素の状態ではコシがあり、硬くもあるのですが、手で揉むことで新品ながら履いた瞬間に履き主になじむようにと、教えていただきました。
何のために、その工程があるのか?
坂井さんの作業には、一つ一つの作業が、常に履き良さと結びついていました。一見、腕の見せ所と思う様な出し縫いはスピーディにリズムよく。
底付けする前の、部材の仕込みは凄く丁寧に処理されていました。
今思えば、手をかけること・履いて良いこと。手間や丁寧さを誇る一般的な職人達とは全く違う存在だった。
そのため、私は常にその工程に何の意味があるのか、その木型の線にはどのような機能があるのか、を問い続けています。それが姿勢の原点でもありました。
今この靴は?
幸い縫い糸以外はスタンダードだったので、オールソールを3回した今ではすっかり糸は黒くなり、通常のストレートチップとして愛用しています。
今現在も週一で履いており、そろそろ4回目のオールソールを迎えます。
気軽にカジュアルに履く方も作る方も革靴を楽しんでいただきたいので、有益な靴や革の情報を基本的には無償で公開していきたいと思います。 皆様のスキやサポートのおかげもあり、何とか続けてこれました。今後とも応援していただければ嬉しいです!何卒よろしくお願い致します!