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希望の種

長い間傷つけられていた
それが普通だと思っていた
悪いのは自分だからと諦めていた

でも違った
それは「言葉の暴力」だと
知り合ったばかりの
おばあさんが教えてくれた

ずっと前から薄々感じてた
違和感の意味が
やっと理解できたような気がした

今までの私は崖の淵に追いやられ
何度も言葉のナイフで突き刺され
血だらけのまま震えながら
立っていることしか出来なかった

苦しむ私を見て
「気にしすぎだよ」と笑う人は
幸せを誓ったはずの人だった
その人は「幸せは自分のためだけにある」と
勘違いしている人だった

突然、私は自分の考えとは別の
見えない何かによって肩を押された

私の未来は崖から落ちることしか
選択肢はなかったのだ
私は深く青い海の水面に
導かれながら
身を委ねてただ涙を流すことしか
出来なかった

今まで無駄に過ごしてきた後悔
彼への憎しみと苦しみと
解放された安堵が
グチャグチャに絡み合って
何が何だか分からなくなった


ふと目が覚めた
私は相変わらず生きている
でも落とされたのは
不安と恐怖の海の底ではなく
ふかふかの柔らかい土が
一面に広がった場所だった

「ここに種を蒔いてごらん」
知らないおじいさんが
知識と覚悟と勇気という種を
たくさん手のひらに乗せてくれた
「もっと優しい人は、たくさんいるよ」と
優しい言葉の栄養剤も渡してくれた

私はこれから人生という大地を
自分で耕していかなくてはいけない
私を傷つける大きな邪魔な岩を取り除き
可能性という希望の種を
たくさん蒔いてゆく
どんな花が咲くか想像しながら

これからは今までみたいに
せっかく綺麗に咲かせた花を
誰かにもぎり取られ
その花を周りの人たちが
称賛しているのを
遠くから見ている人生はもう歩まない


本当は誰かの優しい手が欲しい
1人では立ち上がれない
でも私の周りには誰もいない
どんなに泣き叫んでも
誰の耳にも届かない

優しい日の光が
泣きつかれた私を優しく包む
今まで優しくしてくれた人たちと
一緒に過ごした幸せの日々を
思い出しながら
温かい気持ちを感じながら
少しずつ未来へと進んで行こう

顔を見上げると遠くの方で
おじいさんが私に向かって
大きく頷いた


運命がゆっくりと動き出した
大丈夫、大丈夫
今までとは違う素敵な人生へと
導いてくれるはずだから

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