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虎、この旅行を合宿と称してみる。

1泊2日で箱根へ合宿に行こうと言い出したのは11月だった。箱根の某所にでたらめでオススメの旅館があるのだとニヤつく伊久磨さんが教えてくれた。すぐに旅館を予約し、いよいよ年末を迎えた。

都内で集まって行くのではなく箱根湯本に現地集合。薄々予感はしていたが、13時集合のはずが清水さん必殺「今、起きた」により14時過ぎに現れた。蕎麦を食い、特に湯本を見物することもなく、登山鉄道に乗り込む。山間を鉄道が進む。こんな凪の時間を過ごすのもずいぶん久しぶりだった。

旅館に着いた。その異様さについて書き始めたらキリがない。しかし、とにかく最高である。僕も清水さんも、すぐにその旅館のファンになってしまう。こういうことがあるのだ。人を惹きつけるクセのある場所。

さっそく温泉に入る。この時点で薄々気付いていた。疲れているのかもしれない、と。稽古を阻む色んな誘惑が待ち受ける中、あっさり誘惑に負けたりしつつ(単純に遊んでしまう、飯を食い続けてしまう)、深夜に掛けて稽古をした。やはり、疲れていた。決定的だった。虎の館で疲れていたわけではない。3人とも2017年が終わる今になって一年間の色んな疲れがドバドバと噴出する。

「温泉旅館で仕事なんかできない」

そう、誰かがが言った。いや、誰も言ってないのかもしれない。色々なことが自分の意思とは真逆の方向に進む。半強制的に「休め、休め」と迫って来る。そこに抗い稽古をし、その一方で何度も温泉に浸かる。アンビバレントな往復を繰り返している内に、もう何が何だか分からなくなった。

僕も僕で「明け方5時から稽古をする」と言い出す。眠い目をこすり起床して、いきなり稽古をしてみた。ボロボロだった。尋常じゃないほど気温が低い。そもそも口が回らない。そりゃそうだ。人間が稽古をする時間帯じゃない。間違っていた。そこでようやく言葉に出す。

「僕ら…疲れが噴出したね」って。

ようやく疲れを認め合い労をねぎらった。というわけで、虎の館の一年も終わる。このタイミングで良い時間を過ごせた。と、いうことにしておこうと思う。今更、仲を深めるという間柄でもないが「疲れたら箱根のあの旅館に行こうよ」という合言葉めいたものが生まれた気がする。疲れをごっそり落として、来る2018年に挑みたい。

TPAM2018 横浜公演

『虎の館』

2018年 2月10日(土)・11日(日)・17日(土)・18日(日)

公演詳細は、https://goo.gl/nzyF85

チケットのご予約は、https://www.quartet-online.net/ticket/tora

横浜で最高のパフォーマンスを御見せする。

<文・フルタジュン


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