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心魅かれる港町 鞆の浦/海辺の水彩画

絵・文 岡本 幸雄

一瞬、江戸時代へタイムスリップしたかのような風景が広がる港町「鞆の浦とものうら」(広島県福山市)。美しい海と小島が点在する鞆の浦周辺は、瀬戸内海国立公園に指定されている景勝地です。

鞆の浦は、瀬戸内海の真ん中あたりに位置しており、干潮時や満潮時には、鞆沖を境にして潮の流れが逆転します。このため、古くから内海を航行する船の潮待ち港として利用されてきました。北前船や朝鮮通信使を乗せた船もたびたび寄港していたそうです。

心魅かれる港町、鞆の浦。白壁が映えます。

鞆の浦は、古い家並みがそのまま残されており、町全体が実に懐かしい佇まいをしています。町を貫く道は漁師町の特徴で狭く、そこから折れ入る路地は、人がやっと通れるぐらいの幅しかありません。

町のどこからでもすぐに港に出られますが、船着き場あたりは一段といにしえの雰囲気を醸し出しています。港ですぐに目に入るのは船着場の南端に立つ常夜燈。江戸末期、港湾施設として建設された常夜燈は船の出入りに欠かせないものでした。今では鞆の浦のシンボルであり、その大きさは日本一だとか。

常夜燈は江戸時代のものとしては、日本最大級といわれています。

船着場に設置された階段構造の雁木がんぎ、ドックの役目をした焚場たでば、長い波止場、そして船番所なども残っています。
ここは一日いても飽きることがない。どこを向いても心かれる絵になる風景ばかりです。

おかもと・ゆきお profile
1944年、姫路市生まれ。1967年古野電気入社。フルノ在籍時からマリンギアライターとしても活躍し、「須磨はじめ」のペンネームでフィッシング雑誌などに寄稿。著書に「魚探とソナーとGPSとレーダーと舶用電子機器の極意」、「魚探大研究」、「魚探・GPS 100%使いこなしブック」など多数。著書の挿絵から水彩画の世界へ。

本記事は2016年〜2022年までBoat Fishing誌にて連載されていた「海辺の水彩画(絵・文 岡本 幸雄)」を再編集したものです。
「心魅かれる港町 鞆の浦」は2016年2月号に掲載された内容です。
当時の面影とともに水彩画の世界観をお楽しみください。

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