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『渋谷凪咲は女性タレントの完全体なのか』 テレビかじりつきVol.19

渋谷凪咲の勢いが止まらない。

ダイアンのことを尊敬し、2人を「笑いの完全体」と称える彼女だが、もはや自身がバラドル、広くは女性タレントとしての完全体になりつつある。

アイドルグループ・NMB48の中心メンバーでありながら関西でテレビに引っ張りだこ。
ここ1〜2年は東京での露出も一気に増えた。

どれぐらい出てるかというと…調べるのが面倒なので割愛するが、まあとにかくめちゃくちゃ出ている。TVerのバラエティ一覧をスクロールしているとサムネに彼女の笑顔や名前を見かけることは珍しくない。

私は関東の人間なので、関西での活躍をろくに知らない。なのではじめはダウンタウンの浜ちゃんがMCを務める『トリニクって何の肉!?』で、そのボケっぷりや独特のセンスをフィーチャーされていた印象が強い。

彼女の回答は天然とかズレとかいうレベルではなく、芸人顔負けの"大喜利"の域に達していて、他の番組でもその斬れ味ある大喜利力やコメントはしばしば注目を浴びた。

『アメトーーク』では、麒麟の川島さんが名前を出すなど、芸人さんが固有名詞を出して讃える場面も目についた。

彼女は両親の影響で幼少期からお笑い芸人のラジオやテレビを自然に浴びるような環境だったという。笑いの栄養を英才教育のように摂取し続け、図らずとも血肉となっていたのかもしれない。

NMBのメンバーとして自らの個性や嗜好と向き合う時間が多くあったことや、場数をいくつも踏んで本番に対する度胸が備わったのも大きかったはずだ。そして百戦錬磨の吉本芸人ひしめく関西のバラエティで揉まれて地肩がメキメキとついた。これらは雑な想像でしかないが、そんな過程があって今の活躍に結びついてるのだろう。

家庭とNMB48というダブルの恵まれた環境がポテンシャルの開花に起因したとはいえ、チャンスで結果を出し続けてきたのは本人の努力やセンスによるもの。

環境と才能と努力、それに愛される人柄まで掛け合わさってくれば、頭角を現してくるのも当然かもしれない。

以前放送された『あちこちオードリー』にてAKBグループの大先輩でもある峯岸みなみはオードリーにこんな質問をしていた。

「女性タレントで自分が面白おかしい人、たとえば滝沢カレンちゃんや王林ちゃんのような自家発電タイプの人と、気の利いたコメントが言えて、立ち振る舞いが上手なみちょぱとか指原さんみたいなタイプと、どっちが好きですか?」

ここに名前が挙がった4人はバラエティを見れば見るほど凄みが分かる決定力やバランス感覚に長けた4人だ。

滝沢カレンと王林ちゃんについては、過去にそれぞれ自分もnoteに書いたほど面白いと感じているし、テレビで見かけるとついつい目を止めてしまう。この2人がハズしてるところはほぼ見たことがない。衒いや厭味のない魅力があるのだ。

峯岸みなみが「自家発電型」と称したのは腑に落ちる。一方で、さっしーとみちょぱの立ち振る舞いの巧さもやはりずば抜けたものを感じる。

その点、渋谷凪咲は「自家発電型」であり「立ち振る舞いにおいてもミスのない」両輪備えた万能タイプなのではないか。ゆえに最近のバラエティにおける女性タレントの完全体に近い。
そう断定するのは大袈裟だろうか。

実際に彼女はイジりやツッコミを誘発して上手に受け身が取れる。かと思いきや、自発的に角度のついたシャープなコメントで相手をタジタジにさせることも出来る。

大喜利に至っては、数多の芸人さんを凌ぐほど上手い。おそらく計算とか天然とかセンスとか瞬発力とか全てが混ぜ合わさっていて、渋谷凪咲の場合はその本質がハッキリと読めない。NMB48をアイドルとして応援し続け、現場まで足を運ぶファンの人たちだけが本質に迫れていると思う。それはライブ会場での彼女を知るファンたちの特権だろう。テレビのイチ視聴者としては、その得体の知れなさまでが掴みどころのない魅力に映る。

秋からは深夜のテレ朝で冠番組『凪咲と芸人マッチング』がスタートした。彼女が愛してやまない芸人さんをゲストに招いてトークや企画にチャレンジし、互いの相性を確かめたり距離を縮めたりする番組なのだが、まあ面白い。

ダイアンを招いた初回から渋谷凪咲ワールド全開で、手練れの芸人を軽やかに翻弄しつつ、彼女にしか引き出せないであろう魅力を引き出していた。

結果的にゲスト側も終始楽しそうで笑顔になっているし、バラエティとしても成立している。無垢な笑顔と癒しのトーンで芸人さんをマジ照れさせる場面もあれば、急に鋭いツッコミを入れて慌てさせる場面もあり、見所は多い。

ダイアンだけでなく、オンエアされたばかりの回では三四郎の2人からもそのスキルを賞賛されていた。素人目に見ても明らかに返しから緩急の付け方、お約束を読んだ流れの持っていき方までムダがなかった。

感嘆する相田さん

彼女はよく「"アイドルにしては"という前置きが付くから評価されているだけ」と謙遜する。
けれどもうそんなことはないと思う。

相手にとっては耳の痛いこともサラッと言うのも渋谷節のひとつ。
それが許されて笑いにも繋がるのは、ちゃんと核心を突く精度が高いことに加えてあの柔らかで優しい声と笑顔、そして纏う雰囲気がナチュラルにオブラートになっているから

インタビューを読むと、昔は笑顔も喋り方もコンプレックスだったらしい。ファンの人が褒めてくれることで「これでいいんだ」と売りに思えるようになったという。

それは昨日オンエアされたばかりの『ロンドンハーツ』での発言にも繋がる。

堂々とした立ち振る舞いを見せる彼女もまだまだ不安や緊張がつきまとうといい、そういう時は携帯にメモしてある尊敬する芸人さんたちからの言葉を見返すという。

自分で自信が持てないところも、尊敬する人や大切な人が認めてくれたのなら素直に受け止め、それに見合う自分であろうとする。

一般人でも参考になる素晴らしい考え方。

インタビューでは"初心と感謝を大切にしている"とも語っていた。

イケイケの時こそ見失ってはいけないその2点を大事にする渋谷凪咲が、人から見放されたり躓いたりする姿はこの先も想像できない。

女性タレント全体はさておき、バラドルとしては間違いなく完全体に近く現時点で最強だろう。

サポートが溜まったらあたらしいテレビ買います