【短歌】まだ夜のいき
行き先は、まだ夜の息吸い込んで粋な私の域を生きつつ
口遊むまだない歌を受け取って編んで結んで僕らを繋ぐ
2番線から見る月ははんぶんこしたビスケット片方あげる
日も暮れて冬の予感の長袖をはらりと遊ぶ通過列車かな
ドア開けるのボタン誰も押さなくてやや静かなまま進み始める
先輩が引っ越し荷物をメモしてて行先表示も懐かしくなる
ドアが開き流れ込んでくる現実を交わしながら踏むうたかたステップ
明日すら曇り硝子の向こうだがただ息をして朝日を探す
黄昏は世界が異世界誰そ彼そ幼気な彼語らば出会い
「10年後なにしてんだろ」「わかんない笑」「独身だったら?」「だったら何よ」