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Blue Giantsの感想

ジャズを題材にした石塚真一さんの人気漫画の映画化、音楽担当は上原ひろみさんということで、ワクワク期待して観に行ってきました。
そして、主人公の宮本大のサックス演奏シーンは、馬場智章さん。馬場智章さんの演奏は、映画を観る3日前に神戸のライブハウスで聴いたばかり。

仙台の高校生の宮本大が河原で熱く1人で練習しているところと、家族に見守られ東京行きバスに乗り込むシーンから始まりました。夢は大きくでよいですが、独学2年間でものになるとは考えにくいのですが、そこは物語なので、物語の中に素直に入っていきます。このようなストーリー展開の場合の多くは途中に現実がよぎり、ついつい批判的になりますが、Blue Giantsはその隙を与えず最後まで集中できました。漫画本10冊分ということですし、うまく凝縮されているのでしょう。

上京して、高校の同級生の部屋に転がり込むというのもどうよ、と思いますが、田舎から出てきた決して裕福ではないという設定だから有りです。しかも、そこからジャズ自体全然知らなかった部屋の人、玉田俊二がドラマーとして一緒に頑張っていくことになるなんで、作者の発想がぶっ飛んでますね。2人とは対照的な大学生ピアニスト沢辺雪祈とのキャラ設定もなかなか面白いです。
ライブを見に行ってお話しするところまではあるでしょうが、いきなりユニット組もうとは、まして大の演奏も聞いていないのに、ありえないストーリー展開だけど、逆にそこが面白いと思いました。雪祈のライブを聞くきっかけを与えたジャズバー「take two」のオーナーの女性の存在が最後まで大きいです。初めてそのバーを訪れて、ライブがなくてがっかりしたけど、膨大なレコードに感動し、その中からの1曲が一致するシーンは印象的でした。何の曲だったかなあ。。。この女性の物語が気になるところですが、オリジナル漫画の方には出てくるのでしょうか。

そして、3人はファーストライブを小さなライブハウスで行います。街中でフライヤーを配って宣伝するも、お客は少ない。ここまでは現実でもよくある話しです。
その後憧れの箱、「so blue」(どう見ても東京ブルーノート)に出れるチャンスを掴みました。ここで終わらないのが、なかなか渋い展開です。ハプニングが起こってしまうのですが、そのハプニング設定が強引な感じもあるものの、うまく結末につなげていたのは流石です。このあたりはネタバレするので詳しく書けませんが。
  
ピアニストの雪祈は、母親が音楽教室運営しており、子どもの
頃からその環境でピアノを弾いてきたという設定で、大とは対照的に描かれています。そのように環境が違う人たちが同じユニットで演奏するのは、ジャズならではとも言うことができるかもしれません。

全編に渡って音楽が効果的に用いられているこの映画を観てジャズに興味を持ったからジャズライブを探して行ってみようと思うと言っている友人もいました。
ジャズの魅力がぎっしり詰まっており、サクセスストーリーと言う部分においても面白い映画でした。
タイトルのブルージャイアントですが、本来は青色巨星のことで、輝く星のように素晴らしいソロプレイをするジャズプレーヤーのことという内容が映画の中にありました。インターネット検索すると、漫画の第3巻に大がブルージャイアントの意味を話すところが出てくるらしい(elite-media.jp 2019/01/06)です。漫画も読んでみなくては。

音楽ジャーナリストの原田和典さんがdiscovermusicに書いた記事に映画使用楽曲のことが詳しくありました。
https://www.udiscovermusic.jp/columns/blue-giant-three-points-that-will-make-jazz-fans-swoon


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