税理士とCFOの違い

みなさん、こんにちは！
財務実装士/中小企業診断士の中川です。

今回は、「税理士とCFOの違い」について書いていきます。

会社のお金のことだと税理士に相談されることが多いと思います。
というより、金融機関で働いていると良く言われるのが
「税理士の先生に相談します」ということです。

税理士の先生なら何でも知っているかのように
何でも税理士の先生に相談される経営者の方もおられます。

片や、税理士の先生と話すと
「資金調達とか労務のこと聞かれても分からんよ！」という声を良く聞きます。

なので、今回は税理士の先生と我々財務の分野との違いを書いていきたいと思います！

税理士の仕事

税理士の先生の仕事の主戦場は、
「会計と税務」になります。

「会計」「税務」とは？

「会計」とは、
「過去のお金の記録」と思ってください。

「サービスを提供してお金をもらった」
「商品を購入してお金を支払った」など
何かしらの商取引が行われた際に、帳簿に記帳をしていくことがベースです。

それを1年間通して行なって、
決算を行い、税金を計算して、確定申告を行う。

この決算を行うまでの部分を「会計」と呼び、
決算書を作って確定申告を行うまでを「税務」と呼びます。

この部分が税理士の先生の得意分野であり、主戦場なのです。

こんな質問を税理士さんにしてませんか？

金融機関で働いていると、
「ちょっと待ったー！」という場面に出くわします。

どんな場面かというと
「投資判断」について税理士の先生に相談すると経営者の方がいう時
「事業計画」について税理士の先生に相談すると経営者の方がいう時
です。

この二つとも
「未来のお金」のことなので、税理士の先生の得意分野ではなく、
我々財務の分野の人間の得意分野です。

もちろん、税理士の先生の中にも「未来のお金」について考えることができる先生もいます。
世間で「未来会計」という言い方でされている先生の中には居るかもしれません。

ただし、厄介なのが「できていないのに、できている」と勘違いしている先生が居ることなんですね。
過去の数字の横スライドとか、過去の平均成長率が続くと仮定しての試算とかですね。

これは最悪です。意味のない計画確定です。

過去の延長線上に未来は無いのに、
そのように計画を作る先生が居るんです。

今は人口が減少していく時代です。
AIの発展が急激に進んでます。
経営環境は劇的に変わっているのです。

行動経済成長期じゃあるまいし、
過去の延長線上に未来など描いてはダメなのです。

でも税理士の先生然り、金融機関の人間然り、
過去の実績を絶対的根拠として見るので困っちゃうなと、
財務分野の私は思います。

税理士の先生がなぜ未来の数字が得意では無いのか？

税理士業界について少し考えてみましょう。

先ず税理士になるための勉強科目です。

税理士になるためには平均2,500時間かかると言われており、
日本の難関資格の一つです。

その試験科目は
「簿記論」「財務諸表論」＋「法人税法」or「所得税法」＋「酒税」「相続税」などから2科目選択
となっています。

あなたは、この試験科目を見てどう思いましたか？
そうなんです、「戦略」的な科目は存在しないんです。

未来のお金を考えるにあたって、
「戦略」や「マーケティング」の観点が必須になります。

そういった勉強は、資格の取得上必要は無いんです。

次に税理士になってからですが、
そこでも「戦略」や「マーケティング」について経験することも、
一般事業者よりも小さいと思っています。

確かに税理士の数は増えており、
競争が激化しています。

しかし、税理士しかできない業務が存在するので、
一定数仕事が回ってくる仕組みとなっています。

なので、自身の経験としても学んでいない先生も居られます。

そういった背景もあり、
未来のお金を考えることが得意でない税理士の先生が居るのです。
というか多いのです。

CFOの仕事って？

スタートアップ、ベンチャー界隈でCFOというと、
「資金調達係」というような役割が強くでます。

CFOのサイトを見ると
「CFOを雇って、⚪︎⚪︎億円調達しました」みたいな
資金調達実績をアピールしていることも多くあります。

しかし、CFOの役割は
会社のお金の運用と調達のバランスを管理することなので、
決して調達だけを担う役割ではありません。

この運用サイドを考える際に、
戦略やマーケティングの知見が重要になるのです。

この役割を「財務」と呼びます。

私は、中小企業の方、個人事業主の方に財務を実装することを目的に仕事をしていますが、この「財務」という機能を構築する仕事をしています。