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聴講リポート「組織能力を高める採用人材戦略とは?」ファンリーシュアカデミア公開セミナー

2月8日に、株式会社ファンリーシュ主催でオンライン開催されたアカデミア公開セミナーを、聴講リポートとしてご紹介します。
今回は2021年3月から開講される、ファンリーシュアカデミア講師の一人でもある、佐藤優介さん(慶応義塾大学院特任助教)の「組織能力を高める採用人材戦略とは?」というテーマ講座の一部を体験しつつ、実務と実践へのアクションヒントが凝縮された企画となりました。
 
▼ 特別講師の佐藤優介さんのご経歴は下記です

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▼ ファシリテーターの志水静香さん・岡田美紀子さん略歴は、下記をご参照ください。
https://funleash.jp/team-2/

●ファンリーシュ・アカデミアとは

ファンリーシュは『事業戦略を達成するために戦略に深く関わり、事業と組織で働く人の両方の観点から組織の成長を促す「未来のリーダー」になるために、意思と情熱を持っている人たちが集まるコミュニティ』です。

そのための理論と実践を経験豊富な講師陣から学び、一緒に学ぶ仲間との議論を通じて自分自身のリーダーとしての在り方につなげるのが、ファンリーシュアカデミアです。

この公開セミナーでは、講師である佐藤さんが培われた、前職での幅広い業務経験とアカデミック理論を掛け合わせた、濃く深い内容が紹介されました。
その開始にあたり提案されたのが、オンラインセミナー環境でのメリットを活かした、自己紹介と質問共有。参加者の方々からの声(今日の場への期待や、いま知りたい事など)には、コロナ禍によるトレンドの変化や組織戦略、タレントマネジメントなどへの関心が寄せられました。

●単純に採用するだけではない関わり

セミナーの冒頭では、人事戦略や採用戦略をテーマに講演が進みました。
前職でプロジェクトリーダーなど実務経験を経て、アカデミックな分野に興味を持つようになられた佐藤さんから伝えられたのは、Evidence-Based Managementという考え方からの、経験・勘・度胸ではなくEvidenceに基づいてアプローチすることの重要性
また、人材を採用する時の以下のポイントも、とても興味深いものです。

個人がイキイキと活躍できるように意識するための採用での関わりが重要
・採用時の業務期待値のすり合わせが大切
・対象者にリアルな情報を伝えるほど、入社後のギャップが抑えられる

このポイントを聞いた時に、私は自分自身が前職に新卒で採用された時の経験を思い起こしました。ある印象的なコミュニケーションがあったことで、なぜココに私がいるのか、という出発点が入社初期の頃から明確だったようにも感じられます。

また採用戦略においては、空中戦と地上戦という観点も紹介されました。
下記のような捉え方は、一個人として日常で触れている今後の情報にも新しい視点が持てそうです。

【空中戦】・・・SNS発信や広告活動
【地上戦】・・・1対1で対面する機会

セミナーで伝えられるアカデミック要素の多くは、
人事目線での「採用する」という視点である一方で、
組織に加わる個人としては「採用される」という視点で考えることも出来る
印象を持ちました。
ネガティブに働くギャップは、双方にとって少ない方が良いものなので、
人事担当者だけが学びやスキルを磨けば良いテーマではないとも感じます。

●社内で活躍する人材の共通項目を活用

次に実践方法として、佐藤さんがご経験プロジェクトの中からも具体策が紹介されました。
詳細はアカデミア講座内の限定につき、このリポート内ではお伝えできませんが、自社で活躍している人材 数百人に共通する要素を分析された際に、ある10項目が組織カルチャーとして現れた事例は、大変興味深いものでした。

このアプローチ結果を更に効果的に活用するために、コピーライターの協力も得て表現をブラッシュアップし、外部向け発信ツールとしても整備されたとのこと。
また新卒採用時の選考においても、この10項目から最も共感するものについて、学生時代のエピソードを交えて伝えてもらうという活用を徹底されたそうです。

このような活用できるデータに辿り着くためには、過去に集めたデータで活用できていないものを見直すという実践も、欠かせない視点として触れられました。

また最近では、新しく組織に加わったメンバーが組織に適応していくプロセスでもある「オンボーディング」や「組織社会化」に関する問い合わせや相談も、佐藤さんのもとには増えているとのこと。コロナ禍からのリモートワーク環境によって、これらの施策の充実が、より一層求められていきそうです。

●正しい戦略でなければ、結果が出せない

データの見直しなどを「やりきるための実行力」が求められる中で、視点や考え方について触れられた以下のポイントも印象的でした。

・走りながら考える、考えながら走るには、正しい戦略が必要
正しい戦略でなければ、結果が出せない
・目の前のことを実行しがちだが、俯瞰して構造化することが重要
・世の中にある選択肢や、その課題は何かを考える
・実行への時間軸も、企業規模によって変化する(大企業とスタートアップの違いなど)

●既存情報を一例として、自らの思考を掛け合わせる

理論と実践の必要性は、多くの場で耳にしますが、その具体的な方法を知ることは簡単ではないかもしれません。
その理由の1つとして挙げられるのが「時間の確保」ではないでしょうか。
既に取り組んでいることや、ミッションとして急務な案件も多々ある中で、どのように理論と実践を効果的につなげていくのか。

その課題へのアプローチとして、
実務に向けた「アカデミックな理論の活用」も、大きなヒントを得られるようです。
セミナーの終盤で、佐藤さんの好きなフレームワークが紹介されたシーンがあり、そこで伝えられたことに
「既存のものを使いながら、自分(自社)に合うかを考える時間が重要」という点がありました。
今まで以上に多くの情報があふれる時代に、この視点はフレームワークに限らず研究機関が発表している白書なども、その対象として該当するようです。

このセミナーでは、日頃に人事担当者の方々が
「学びたいけど、どこで学べるのか」「ともに学び合える場はないのか」と感じている問いへのヒントが、アカデミア講義内容の一部として届けられました。

お互いが学びの場やコミュニケーションから得たインプットを、単なる理論として溢れさせず、自分のものにするために思考を実践する。その実践を加速していくために仲間やコミュニティ共有の大切さを感じる時間は、今まで以上に増えていくのではないでしょうか。

同じ組織のメンバーが、どのようなことに興味を持ち、スキルを高めているのか、それが自分の所属する組織にとってどのような意味を持つのか。
それを組織の中の一人ひとりが知る機会も、個人と個人が立場を越えて理解し合いつつ、幸せな環境を作っていくキッカケになるように感じています。

📝Report by  Mai Todagishi( Funleashコミュニケーションリーダー)

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