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閱讀之旅2019之雙城故事・1

このnoteでは、昨年の夏の台南から今年3月の香港までの「閱讀之旅(日本語にすれば読書の旅)」で見たことや感じたこと、旅先で読んだり購入した本などについてまとめています。
このマガジンを元に、6月の文フリ岩手ではZINEを作成・販売する予定です。

はじめに―本を抱いて旅に出る


昨年の夏から今年の春までの中華圏の旅には、個人的に「閱讀之旅」というテーマを設けて旅しておりました。
「閱讀」とは「文章を調べながら読む」という意味の中国語で、かつて私も外語系の大学で中国語を学んでいた頃は、この名前のついた講座を受講しました。でも一般的な「読書」の意で用いられることが多いようです。
卒業後、中華圏関連の仕事には就かなかったのですが、香港や台湾の映画が好きになったり、弟が台湾に住み始めたことから、中華圏と中国語との縁も切れることはなく、ここ20年位の海外旅行はずっと香港と台湾でした。特に台湾は、震災以降手軽な海外旅行先として紹介される機会が一気に増加し、インバウンド需要も含めて注目が集まりました。
しかし、ある程度お決まりの観光コースを一通りこなすと、物足りなくなるのは確かだし、台湾好きが増えるのは嬉しくても、いつまでも「美味しい可愛いほっこり」ではまずいよな、と思うようになりました。ここ数年は過去にZINEを出してきた台南に通っておりますが、馴染みの街になっていくと共に、もっと違った視点から旅をしたくなりました。
またここ数年、台湾文学翻訳家の天野健太郎さんを中心に、出版界や書店界隈で本(特に文学)から台湾の文化を紹介するムーブメントが起こっており、もともと本が好きで一箱古本市にも参加している身としても注目して見ておりました。残念ながら天野さんは昨年11月にお亡くなりになりましたが、台湾の書店文化を紹介しているユニットの太台本屋さんなど、彼の遺志を継がれた方々が引き続き活動されております。
それらの動きに触発されたのと、ここ数年仕事が多忙すぎて職業の一部であるのにも関わらず本が読めていないことから、旅先でひたすら本を読みつつ、行く先で書店や本に関わる場所を訪れたいと思い、昨年の夏に花巻から定期便として就航したタイガーエアに、未読の本を詰め込んだキャリーと共に乗り込んで台湾へ向かいました。さらに今年の2月は台南、そして3月には2年ぶりに香港に向かい、一人旅ならぬ本との旅を楽しみました。
とはいえ、それほど専門的な深みもなく、紹介していただいた書店を回るので精一杯なところもありました。でも、こんな旅ができるということで読んで頂ければ幸いです。

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