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飲酒のマナーと人生のマナーの先にあるもの~緊急事態に酒愛を⑥

僕の分析では、酒で性格が悪くなる人というのは存在しない。
たまに「あの人酒飲まなければね~」という場面に出くわすのだが、それは酒が原因ではなく、もともとその人の性格が悪い。かまってほしい人は酒を飲まなくてもかまってほしいし、暴言を吐く人は普段から吐き出すための暴言を体内に貯えている。酒を飲むことで境界線がおかしくなるのは確かだが、ただそれだけのことなんじゃないかと思っている。そういう意味でも、お酒と言うツールは他人の判断材料として、かなり利用させていただいている。

今日もササキさんがヤバい。この人はどんな卑怯な手を使っても、お気に入りの女子を隣に配置する。やり方が稚拙なのでわかりやすく、女子社員の中では最重要事項として、毎年引継ぎされていることを僕らは既知している。
社会人の皆様には声を大にして言いたいが、信用を失いたくなければ、宴の席で異性を口説いてはならない。学生のコンパならともかく、大人は単なるマナー違反のポンコツ認定されて人生が終わる。そこんとこの切り替えができない人は、仲間たちとお酒をのんではならない。

「ぼちぼち介入しないとヤバいかな…。」と、同僚と小声で打ち合わせをしていた刹那、
バキイッッ!!!
という破壊音が響き渡ると、件の彼女が見たこともない怒りの形相で席を立ち上がるところだった。彼女は財布から5千円札をテーブルに叩きつけると静かに店を出ていってしまった。僕らは残った女子社員をフォローしながら、テーブルの5千円札を彼女たちに預け、今日の会費は必要ないから、彼女の後を追ってくれるようにとお願いをした。
またこの展開なのか…と肩を落とした視線の先には、
真っぷたつに、逆方向にぱっきり折られたササキさんの携帯電話が。
ササキさんは破壊された携帯電話をカバンに仕舞いながら、多めの会費を支払い、独り店を出ていった。
まだ飲み足りない僕らは、店にも迷惑かけた事だしと仕切り直し、此処で改めて二次会をすることにした。
なんだか空気が重い。ここは何か切り出さなくてはならないだろう。

「あの逆パカ携帯さ…、奥さんにどうやって説明すると思う?」

二次会はその後異常なほどの盛り上がりを見せた。

みんな気づき始めていると思うが、底意地の悪い僕の性格は、決して酒のせいなんかではない。


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