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検索窓とノスタルジー

初めてインターネットに触れた頃を回顧してみた。OSもWindows95が販売される前だったからMS―DOSの真っ黒い画面が思い出される。わりとぼんやりとその世界に入り込んでいたので、何時からという記憶が薄い。

ピーヒョロガゴガゴーゴーザー…のダイヤルアップ接続だし通信料は従量制でそこそこ高額たったりしたためストレスは多く、会社での使用も割と制限されていた。パソコンは一家に一台みたいな時代ではなかったし、インターネットという見えない鎖に繋がれた魔法の箱は、一部のオジサンにとっては「見ちゃなんねえ触れちゃなんねえ」村の掟並みの禁忌でもあった。
そのうち通信料も定額制に変更されていって、パソコン自体も比較的安価に設置できるようになってからは、遠巻きに小枝で蛇をつつくようなスタンスにあったオジサンたちも、徐々に触れることを怖がらなくなっていった。
会社には、まだまだ1人1台の必要性もなかったので、共用パソコンというものが主体だった頃のおはなし。

自分のパソコンの調子がいまひとつだったので、共用パソコンを借りて作業することになった。古いOSだが作業的には問題ない。インターネットに繋ごうとすると、ブラウザのスタートページはYahoo!に設定されている。検索ウィンドウにカーソルを合わせると、履歴が表示された。

”内田恭子”
”内田きょう子”
”うちだ きょうこ”

いやどんだけ好きなんだよ内田恭子。何を知りたかったんだよ内田恭子の。
哀れなりオジサンたちは履歴を削除するなどという知識がない。というかそんな、親切なのかおせっかいなのかわからない機能があることを知らないのだ。しかしながら、これはこれで楽しいオモチャを見つけた。しばらく検索履歴の秘密は明かさないでおこう。

さて、今日はオジサンたち何を検索してたのかな。Yahoo!の検索窓をクリックする。

”エロ本”

エロ本て、もう21世紀だというのに、インターネットで世界中のありとあらゆる情報と知識が集められるという時代だというのに、画像でも動画でもなく”エロ””本”て。
さっき腹に納めたばかりの昼食を戻しそうになるくらい、もんどり打って笑い転げた。
いつの時代もアナクロニズムというものは趣があっていいなあ、と感じた21世紀のはじめのころのおはなし。

(149日)

#エッセイ #コント部 #僕なりの幸福論 #毎日note #はじめてのインターネット #検索窓

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